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*023:哀しい笑顔*安田靖春*
映画の世界感、宮城リョータバイク事故の後のやっちゃんのお話。付き合っていないクラスメイトとの一コマ。
いつも一番乗りの教室なのに、今日はそうではなさそうだ。
『安田くん…?』
一人席に座って俯いているのは、隣の席の安田くんだ。
普段、穏やかな表情の安田くんだけど、今日は何か思いつめているような…
私が小さく名前を呼んだ声は、彼の耳には届いていないようで、うつむいたまま、こぶしをきつく握りしめている。
そんな彼に声をかけるなんてことはできないし、私が教室にいるのが悪いような気さえしてくる。
けれど、帰宅部の私が教室以外に行く当てがあるわけもなく、出来る限りそうっと机上に鞄を置いた。
そして、なるべく音をたてないように椅子を引いて座ってみるけれど、隣の席なのだから当然、気付かれてしまう。
はっと顔を上げた安田くんと目が合う。
「……」
『…お、おはよう』
「あ……おはよ」
『なんか、ごめんね』
「いや…俺の方こそ、ごめん」
安田くんの哀しくてたまらないのに必死で微笑もうとしている表情にぎゅっと心を掴まれて、私も苦しくなってしまう。
私…何も知らないのに……
「苗字さん…?」
『な…に?』
「涙…」
『え…?』
慌てて手で涙をぬぐうけれど、全然涙は止まってくれない。
恥ずかしくなって、顔を覆う。
『ごめん。どうして安田くんが苦しんでいるかも何も知らないのに、バカみたいに泣いちゃって…』
「いや、ありがと…リョータが事故で入院したらしくて…」
リョータ…と安田くんが名前を出したのは、安田くんと同じバスケ部の宮城リョータくんだったっけ?
いつも二人でいるから、親友なんだと思う。
安田くんは、宮城くんがいないことを再度確認するみたいに廊下に目をやって続けた。
「先輩に呼び出されて殴られてケガした時も、俺に相談してくれなかったし、その上事故まで……リョータはもっと頼ってくれてもいいのにな…って、こんな話、ごめん」
本当に友達想いのいいヤツだとまた鼻の奥がツンとする。
『そっか……安田くんの気持ち、届くと…といいね』
なんて、訳の分からないことを口走って、また恥ずかしくなってしまう。
つつっと安田君の目からきらりと光るものが頬を伝うのを見て、私はさらに焦る。
『ゴメン!無責任なこと、言っちゃった…』
「えっ…と、あ…ごめ…そう……だったらいいんだけどね」
涙を流してることは気付いていないのだろう。
やっぱり、笑顔を無理やり作って、私に心配かけないようにしてくれている。
『本当に……ごめん』
「いや、こっちこそごめん。はは、涙まで流して、俺、こんなんじゃまた、リョータに頼ってもらえないよな…」
『そんなことない…と思う……』
といって、今度は嗚咽が漏れそうになって、机に突っ伏した。
本当はもっと慰めになるような言葉をかけるべきなんだと思ってみても、涙ばかりがあふれて、どうしようもない。
「本当にありがとう」
カタンと音が聞こえたので、ちらっと腕の隙間から隣を見ると、安田くんも机に突っ伏したようだ。
ここにはいない宮城くんを想って二人で涙を流す。
ただ、今は、安田くんの大切なお友達の宮城くんが早く良くなりますようにと祈るだけ。
***
2022.2.4.
映画の世界感。事故にあったと聞いた時のやっちゃんの心境を思うと苦しい…妄想。
映画の世界感、宮城リョータバイク事故の後のやっちゃんのお話。付き合っていないクラスメイトとの一コマ。
いつも一番乗りの教室なのに、今日はそうではなさそうだ。
『安田くん…?』
一人席に座って俯いているのは、隣の席の安田くんだ。
普段、穏やかな表情の安田くんだけど、今日は何か思いつめているような…
私が小さく名前を呼んだ声は、彼の耳には届いていないようで、うつむいたまま、こぶしをきつく握りしめている。
そんな彼に声をかけるなんてことはできないし、私が教室にいるのが悪いような気さえしてくる。
けれど、帰宅部の私が教室以外に行く当てがあるわけもなく、出来る限りそうっと机上に鞄を置いた。
そして、なるべく音をたてないように椅子を引いて座ってみるけれど、隣の席なのだから当然、気付かれてしまう。
はっと顔を上げた安田くんと目が合う。
「……」
『…お、おはよう』
「あ……おはよ」
『なんか、ごめんね』
「いや…俺の方こそ、ごめん」
安田くんの哀しくてたまらないのに必死で微笑もうとしている表情にぎゅっと心を掴まれて、私も苦しくなってしまう。
私…何も知らないのに……
「苗字さん…?」
『な…に?』
「涙…」
『え…?』
慌てて手で涙をぬぐうけれど、全然涙は止まってくれない。
恥ずかしくなって、顔を覆う。
『ごめん。どうして安田くんが苦しんでいるかも何も知らないのに、バカみたいに泣いちゃって…』
「いや、ありがと…リョータが事故で入院したらしくて…」
リョータ…と安田くんが名前を出したのは、安田くんと同じバスケ部の宮城リョータくんだったっけ?
いつも二人でいるから、親友なんだと思う。
安田くんは、宮城くんがいないことを再度確認するみたいに廊下に目をやって続けた。
「先輩に呼び出されて殴られてケガした時も、俺に相談してくれなかったし、その上事故まで……リョータはもっと頼ってくれてもいいのにな…って、こんな話、ごめん」
本当に友達想いのいいヤツだとまた鼻の奥がツンとする。
『そっか……安田くんの気持ち、届くと…といいね』
なんて、訳の分からないことを口走って、また恥ずかしくなってしまう。
つつっと安田君の目からきらりと光るものが頬を伝うのを見て、私はさらに焦る。
『ゴメン!無責任なこと、言っちゃった…』
「えっ…と、あ…ごめ…そう……だったらいいんだけどね」
涙を流してることは気付いていないのだろう。
やっぱり、笑顔を無理やり作って、私に心配かけないようにしてくれている。
『本当に……ごめん』
「いや、こっちこそごめん。はは、涙まで流して、俺、こんなんじゃまた、リョータに頼ってもらえないよな…」
『そんなことない…と思う……』
といって、今度は嗚咽が漏れそうになって、机に突っ伏した。
本当はもっと慰めになるような言葉をかけるべきなんだと思ってみても、涙ばかりがあふれて、どうしようもない。
「本当にありがとう」
カタンと音が聞こえたので、ちらっと腕の隙間から隣を見ると、安田くんも机に突っ伏したようだ。
ここにはいない宮城くんを想って二人で涙を流す。
ただ、今は、安田くんの大切なお友達の宮城くんが早く良くなりますようにと祈るだけ。
***
2022.2.4.
映画の世界感。事故にあったと聞いた時のやっちゃんの心境を思うと苦しい…妄想。