◆◇◆シンプル・100のお題◆◇◆
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*022:焼きたてのパン*高野昭一*
パン屋のお姉さんに憧れてるお話。
朝練に行く前の楽しみは、キレイなお姉さんのいるパン屋に寄ること。
母ちゃんには朝は早く行きたいからつって、弁当とは別に朝飯代をもらっている。
ちょっとこじゃれたパン屋のドアを開けるのは未だに少し緊張するけれど、中にお姉さんがいることを確認すれば、はやる気持ちを押さえきれずに勢いよくドアを開けた。
『高野くん、おはよう。今日も早いね!』
「苗字さん、おはようございます!」
いらっしゃいませじゃなくて、名前を呼んで挨拶してもらえれば、嬉しくなってついハイテンションで、返してしまう。
俺はこの店の常連だから、お姉さんの名前も知ってるし(名字だけだけど)、俺の緑のジャージに刺繍してある名字に気付いてくれた苗字さんは、毎日名前を呼んでくれる。
もちろん、学校の奴らには秘密だ。
だから、買ったパンは学校に着く前に食っちまわなくてはいけない。
いつものように甘いパンとしょっぱいパンをひとつづつトレイに乗せて、レジへと持っていく。
手提げの袋はもらわずにポリ袋に入れられただけのパンを鞄に入れたところで、
『このパン、新作なんだけど、お店に出す前に食べて感想もらってもいい?高野くんみたいな男子高校生に食べて欲しくて作ったんだ。バスケだっけ?チームメイトの子たちの分も作ったから…』
そう言って、お店のロゴの入った紙袋いっぱいのパンを渡される。
「あ、ありがとうございます…明日、感想言いにきます」
そう言って店を出たものの、これを渡すことで俺の秘密を部員に知られることになりそうで、がっくりと肩をおとす。
いつもなら、幸せな味のするパンも何だかしょっぱい。
朝練前に、3年の部員にそのパンを配ってやった。
「ここのパン屋のお姉さん、めっちゃくちゃキレイだって噂だよな!高野、常連なのすげーな!」
キャプテンであり監督でもある藤真にそう言われて、みんな知っていたのかという思いと、俺だけが常連でそのお姉さんの名前だって俺だけが知っているんだという優越感が混じって複雑な気持ちになる。
もちろんパンはめちゃくちゃ美味しくて、みんな口々にうめぇを連発している。
「監督として、お姉さんにお礼を言わなくちゃな!」
藤真の一言に俺は凍りつく。
「ダメだ!監督は忙しいんだから俺が代わりにお礼言っとく!」
「いや、みんなで行こーぜ!」
藤真の提案にみんな頷くのをみて俺は頭を抱えた。
***
2022.4.20.
パン屋のお姉さんに憧れてるお話。
朝練に行く前の楽しみは、キレイなお姉さんのいるパン屋に寄ること。
母ちゃんには朝は早く行きたいからつって、弁当とは別に朝飯代をもらっている。
ちょっとこじゃれたパン屋のドアを開けるのは未だに少し緊張するけれど、中にお姉さんがいることを確認すれば、はやる気持ちを押さえきれずに勢いよくドアを開けた。
『高野くん、おはよう。今日も早いね!』
「苗字さん、おはようございます!」
いらっしゃいませじゃなくて、名前を呼んで挨拶してもらえれば、嬉しくなってついハイテンションで、返してしまう。
俺はこの店の常連だから、お姉さんの名前も知ってるし(名字だけだけど)、俺の緑のジャージに刺繍してある名字に気付いてくれた苗字さんは、毎日名前を呼んでくれる。
もちろん、学校の奴らには秘密だ。
だから、買ったパンは学校に着く前に食っちまわなくてはいけない。
いつものように甘いパンとしょっぱいパンをひとつづつトレイに乗せて、レジへと持っていく。
手提げの袋はもらわずにポリ袋に入れられただけのパンを鞄に入れたところで、
『このパン、新作なんだけど、お店に出す前に食べて感想もらってもいい?高野くんみたいな男子高校生に食べて欲しくて作ったんだ。バスケだっけ?チームメイトの子たちの分も作ったから…』
そう言って、お店のロゴの入った紙袋いっぱいのパンを渡される。
「あ、ありがとうございます…明日、感想言いにきます」
そう言って店を出たものの、これを渡すことで俺の秘密を部員に知られることになりそうで、がっくりと肩をおとす。
いつもなら、幸せな味のするパンも何だかしょっぱい。
朝練前に、3年の部員にそのパンを配ってやった。
「ここのパン屋のお姉さん、めっちゃくちゃキレイだって噂だよな!高野、常連なのすげーな!」
キャプテンであり監督でもある藤真にそう言われて、みんな知っていたのかという思いと、俺だけが常連でそのお姉さんの名前だって俺だけが知っているんだという優越感が混じって複雑な気持ちになる。
もちろんパンはめちゃくちゃ美味しくて、みんな口々にうめぇを連発している。
「監督として、お姉さんにお礼を言わなくちゃな!」
藤真の一言に俺は凍りつく。
「ダメだ!監督は忙しいんだから俺が代わりにお礼言っとく!」
「いや、みんなで行こーぜ!」
藤真の提案にみんな頷くのをみて俺は頭を抱えた。
***
2022.4.20.