◆◇◆シンプル・100のお題◆◇◆
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*002:笑顔が見たくて*鉄男*
同級生、付き合ってません。
『鉄男くーん!』
「…んだよ?」
不機嫌そうな顔だけど、呼べばちゃんと振り向いてくれるとこは優しいよね。
なんて心の中で思うだけで、声には出さない。
だって、そんなこと言ったら、怒ってまたすぐどっか行っちゃうだろうし。
せっかく高校に入ったのにすぐ辞めて、ケンカばっかりしてる鉄男くんのことが心配で、見かけるたびに声をかける。
友達には、「あんな不良やめときなよ」って言われるけれど、私はがただ、また笑った顔が見たいだけなんだけどな。
ニヒルな笑みもカッコいいけど、そうじゃなくて、心の底から笑った顔。
鉄男くんのとびっきりの笑顔が好きだから。
「用が無いならもう行く」
『待って!』
そう呼び止めてみたものの、用事は全くなくて…
ちゃんとヘルメットかぶるんだよ。とか、ケンカはダメだよ。とかそんな優等生なセリフを伝えたい訳じゃない。
ただ、『また元気な顔を見せて』なんておばさんじみたこと言うのもなんか変だ。
『久しぶりなんだから、何か話そうよ』
「何かって何だよ」
「うぅ……」
何を言おうか口ごもっているうちに、
「じゃあな!」
鉄男くんは今度こそ私に背を向けた。
次、いつ会えるかわからないのに、鉄男くんが笑顔になるような話が出来なかった。
それどころか、気のきいたセリフを一つもかけられない自分にため息が出る。
「苗字、いつも心配してくれてありがとな…」
風と共に聞こえてきた言葉は、私に聞かれないように言った言葉なのかもしれないけれど、鉄男くんにありがとうなんて言われて、むず痒い気持ちだ。
『次は、話題用意しとくから!』
私はその背中に向かって声をかける。
鉄男くんは、もう振り返ってはくれないけれど、右手を上げて応えてくれた。
表情は見えないけれど、少しだけでも笑っていてくれたらいいな。
私はそう思わずにはいられなかった。
***
2022.9.29.
同級生、付き合ってません。
『鉄男くーん!』
「…んだよ?」
不機嫌そうな顔だけど、呼べばちゃんと振り向いてくれるとこは優しいよね。
なんて心の中で思うだけで、声には出さない。
だって、そんなこと言ったら、怒ってまたすぐどっか行っちゃうだろうし。
せっかく高校に入ったのにすぐ辞めて、ケンカばっかりしてる鉄男くんのことが心配で、見かけるたびに声をかける。
友達には、「あんな不良やめときなよ」って言われるけれど、私はがただ、また笑った顔が見たいだけなんだけどな。
ニヒルな笑みもカッコいいけど、そうじゃなくて、心の底から笑った顔。
鉄男くんのとびっきりの笑顔が好きだから。
「用が無いならもう行く」
『待って!』
そう呼び止めてみたものの、用事は全くなくて…
ちゃんとヘルメットかぶるんだよ。とか、ケンカはダメだよ。とかそんな優等生なセリフを伝えたい訳じゃない。
ただ、『また元気な顔を見せて』なんておばさんじみたこと言うのもなんか変だ。
『久しぶりなんだから、何か話そうよ』
「何かって何だよ」
「うぅ……」
何を言おうか口ごもっているうちに、
「じゃあな!」
鉄男くんは今度こそ私に背を向けた。
次、いつ会えるかわからないのに、鉄男くんが笑顔になるような話が出来なかった。
それどころか、気のきいたセリフを一つもかけられない自分にため息が出る。
「苗字、いつも心配してくれてありがとな…」
風と共に聞こえてきた言葉は、私に聞かれないように言った言葉なのかもしれないけれど、鉄男くんにありがとうなんて言われて、むず痒い気持ちだ。
『次は、話題用意しとくから!』
私はその背中に向かって声をかける。
鉄男くんは、もう振り返ってはくれないけれど、右手を上げて応えてくれた。
表情は見えないけれど、少しだけでも笑っていてくれたらいいな。
私はそう思わずにはいられなかった。
***
2022.9.29.