◆◇◆シンプル・100のお題◆◇◆
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*019:捨てられた宝物*河田雅史*
付き合ってます。高校生設定。
『あー!!』
部活の練習前、彼女の名前に大きな声を出して呼び止められた。
「何だ?」
彼女はパタパタと駆け寄ってきて、俺のバスケ部のTシャツを引っ張った。
『この練習着、新しいやつ?』
「そうだべ」
『古いの、捨てちゃった?』
「あぁ、もうキツいしボロボロだったからな。弟にもまわせねぇし…」
高校3年間でぐんぐんと背が伸び、鍛えて身体もデカくなり、かなり大き目サイズを買ってもらったTシャツもついに限界が来た。
弟にお下がりにしようにも、弟の美紀男は、2メートル越えの巨体だ。
何より、もったいないからとよれよれになるまで着ていたので、雑巾にするくらいしか使い道がない練習着は昨日捨ててしまった。
『そんなぁ…もらおうと思ったのに!!』
「は?」
『宝物にしようと思ったのに…』
「どういうことだ?」
『雅史は、私の彼氏でしょ?』
「んだ…」
付き合っていることを隠しているわけではないけれど、やっぱり彼氏・彼女という言葉には照れてしまう。
それはそうと、何故あんなボロボロのTシャツを欲しがるのかさっぱり分からない。
『その彼氏が大切に着ていた服は、私も大切にしたい訳』
「ボロボロだったべ」
『んー、だからこそ欲しかったの。分かる?私は雅史のことが大好きなの。どのくらいかというと、このTシャツが私の恋心だとしたら、少なくともトラック7台分はあるの!』
「7台…」
『ちなみに雅史の背番号とかけて7台だから!』
「おぉ…」
さっぱり理論が分からないけれど、とにかく俺のことを好いていてくれて、俺のボロボロになったTシャツが欲しいことはよく分かった。
『雅史は、彼氏のTシャツ着た彼女が見たいとかそういうのはないの?』
「彼氏のTシャツ…?」
つまりは、俺の大きいサイズのTシャツを名前が着るということか。
『ぶかぶかすぎて、だらしないべ』
「はぁー」
名前は大きなため息をついた。
『雅史が大切に着ていたTシャツの価値が全然分かっていないことがよく分かった。でも、私はとにかく欲しいの。だから、もしまだゴミ箱に残ってたら、くれない?』
「そこまで言うなら、まだあったら渡す」
『ありがとう!』
満面の笑みの名前に俺も嬉しくなる。
こんなに俺のことを大切に思ってくれる彼女がいて幸せだと思う。
俺だって、Tシャツを大型トラック7台分以上積み込めるくらいの愛情は持っていると自負しているんだがな。
名前の後ろ姿を見送って、俺は部活へと向かった。
***
2023.7.21.
愛が深い彼女がいて欲しい妄想。
万葉集より広河女王
「恋草を力車に七車積みて恋ふらく我が心から」
約:恋を草に例えるなら大車七台に積めるレベルで恋をしています心から
(訳は、「エモい古語辞典」堀越英美著よりお借りしました。)
付き合ってます。高校生設定。
『あー!!』
部活の練習前、彼女の名前に大きな声を出して呼び止められた。
「何だ?」
彼女はパタパタと駆け寄ってきて、俺のバスケ部のTシャツを引っ張った。
『この練習着、新しいやつ?』
「そうだべ」
『古いの、捨てちゃった?』
「あぁ、もうキツいしボロボロだったからな。弟にもまわせねぇし…」
高校3年間でぐんぐんと背が伸び、鍛えて身体もデカくなり、かなり大き目サイズを買ってもらったTシャツもついに限界が来た。
弟にお下がりにしようにも、弟の美紀男は、2メートル越えの巨体だ。
何より、もったいないからとよれよれになるまで着ていたので、雑巾にするくらいしか使い道がない練習着は昨日捨ててしまった。
『そんなぁ…もらおうと思ったのに!!』
「は?」
『宝物にしようと思ったのに…』
「どういうことだ?」
『雅史は、私の彼氏でしょ?』
「んだ…」
付き合っていることを隠しているわけではないけれど、やっぱり彼氏・彼女という言葉には照れてしまう。
それはそうと、何故あんなボロボロのTシャツを欲しがるのかさっぱり分からない。
『その彼氏が大切に着ていた服は、私も大切にしたい訳』
「ボロボロだったべ」
『んー、だからこそ欲しかったの。分かる?私は雅史のことが大好きなの。どのくらいかというと、このTシャツが私の恋心だとしたら、少なくともトラック7台分はあるの!』
「7台…」
『ちなみに雅史の背番号とかけて7台だから!』
「おぉ…」
さっぱり理論が分からないけれど、とにかく俺のことを好いていてくれて、俺のボロボロになったTシャツが欲しいことはよく分かった。
『雅史は、彼氏のTシャツ着た彼女が見たいとかそういうのはないの?』
「彼氏のTシャツ…?」
つまりは、俺の大きいサイズのTシャツを名前が着るということか。
『ぶかぶかすぎて、だらしないべ』
「はぁー」
名前は大きなため息をついた。
『雅史が大切に着ていたTシャツの価値が全然分かっていないことがよく分かった。でも、私はとにかく欲しいの。だから、もしまだゴミ箱に残ってたら、くれない?』
「そこまで言うなら、まだあったら渡す」
『ありがとう!』
満面の笑みの名前に俺も嬉しくなる。
こんなに俺のことを大切に思ってくれる彼女がいて幸せだと思う。
俺だって、Tシャツを大型トラック7台分以上積み込めるくらいの愛情は持っていると自負しているんだがな。
名前の後ろ姿を見送って、俺は部活へと向かった。
***
2023.7.21.
愛が深い彼女がいて欲しい妄想。
万葉集より広河女王
「恋草を力車に七車積みて恋ふらく我が心から」
約:恋を草に例えるなら大車七台に積めるレベルで恋をしています心から
(訳は、「エモい古語辞典」堀越英美著よりお借りしました。)