◆◇◆シンプル・100のお題◆◇◆
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*011:傷跡*藤真健司*
高校二年生、付き合ってます。
セミがけたたましく鳴くお盆の終わりの日。
練習休みだから…と何故か翔陽のバスケ部の体育館に呼び出された。
体育館どころか学校中に私と健司の二人きりしかいないだろう。
生暖かい体育館の床に腰を下ろしてすぐに、健司は私の膝にゴロンと寝転んで大きく息をついた。
その健司の髪をサラサラと掬うように撫でれば、額が露になると傷跡が表れる。
健司は、先日のインターハイの試合でこめかみの辺りに縫うほど大怪我を負ったのだ。
ガーゼが取れたばかりの傷跡は生々しく、思わず聞いてしまう。
『痛い?』
「痛くねぇよ…」
『悔しい?』
「当たり前だろ…でも、まだ来年がある!」
『強いね…』
「そう見えるか?」
『うん。監督も兼任するって聞いたから…』
傷跡にそっと触れると、痛いというより苦々しい顔をした。
『監督も引き受けたこと、後悔してる?』
「ちょっと違ぇ…」
『じゃあ、プレイに専念できなくて寂しいとか?』
「寂しい……それも何か違うな。今はちょっとだけ、誰かに甘えてぇだけ」
そう言うと、健司は私の膝に顔を埋めるように身体をひねる。
そして腕を伸ばして、ギュっと抱きついてきた。
私も健司の背中に手を伸ばして、ぽんぽんとあやすように背中を叩く。
今日は健司の誕生日だって知ってるけど、おめでとうって言われたって嬉しくないよね。
『応援してる。また甘えたくなったら頼ってね』
「あぁ…サンキュ…」
健司はそう言うと、ぐいっと身体を起こして私の唇を塞いだ。
健司の背負ってるものが少しでも軽くなりますように……
そんな祈りを込めたキスは、ちょっとだけほろ苦い味がした。
***
2022.4.20.
2022.8.15.加筆修正。Happy Birthday!!
高校二年生、付き合ってます。
セミがけたたましく鳴くお盆の終わりの日。
練習休みだから…と何故か翔陽のバスケ部の体育館に呼び出された。
体育館どころか学校中に私と健司の二人きりしかいないだろう。
生暖かい体育館の床に腰を下ろしてすぐに、健司は私の膝にゴロンと寝転んで大きく息をついた。
その健司の髪をサラサラと掬うように撫でれば、額が露になると傷跡が表れる。
健司は、先日のインターハイの試合でこめかみの辺りに縫うほど大怪我を負ったのだ。
ガーゼが取れたばかりの傷跡は生々しく、思わず聞いてしまう。
『痛い?』
「痛くねぇよ…」
『悔しい?』
「当たり前だろ…でも、まだ来年がある!」
『強いね…』
「そう見えるか?」
『うん。監督も兼任するって聞いたから…』
傷跡にそっと触れると、痛いというより苦々しい顔をした。
『監督も引き受けたこと、後悔してる?』
「ちょっと違ぇ…」
『じゃあ、プレイに専念できなくて寂しいとか?』
「寂しい……それも何か違うな。今はちょっとだけ、誰かに甘えてぇだけ」
そう言うと、健司は私の膝に顔を埋めるように身体をひねる。
そして腕を伸ばして、ギュっと抱きついてきた。
私も健司の背中に手を伸ばして、ぽんぽんとあやすように背中を叩く。
今日は健司の誕生日だって知ってるけど、おめでとうって言われたって嬉しくないよね。
『応援してる。また甘えたくなったら頼ってね』
「あぁ…サンキュ…」
健司はそう言うと、ぐいっと身体を起こして私の唇を塞いだ。
健司の背負ってるものが少しでも軽くなりますように……
そんな祈りを込めたキスは、ちょっとだけほろ苦い味がした。
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2022.4.20.
2022.8.15.加筆修正。Happy Birthday!!