＊100：さよなら＊お好きなキャラで＊
Image song：「sayonara sayonara」Kick the can crew　プロポーズのお話。うじうじした男の子なので、お好きなキャラでと言いつつ合わないキャラもいるかもです。


♪さよなら　さよなら　俺の嫌いなところだけ・・・

アーケード街で流れるこの音楽は、まさに俺のことだ。

一生に一度しかないであろうプロポーズの失敗。

指輪をパカってする時に、ワイングラスを倒して、パリンッって割れて、真っ赤な色に彼女のワンピースが染まって……

『カッコ悪いところもカワイイんだから大丈夫』って彼女は笑ってくれたけれど、俺はため息をつくしかねぇ。

プロポーズの思い出が、指輪を渡すときにワインかけられただなんて、恥ずかしすぎるだろ？

一歩後ろを歩く彼女は、このことをまったく気にしていないかのように、鼻歌を歌いながら着いてくる。

『さよなら』って別れを切り出されてもおかしくない状況だったのに……

ぶっちゃけ怒ったりしてくれた方が気が楽だったのかもしれない…と思うくらいに沈んだ俺とは反対に彼女はご機嫌だ。

『あっ…綺麗……！』

そう言うと、彼女は俺の手を取った。

俺が顔を上げると、少し前に煌びやかなクリスマスツリー。

「おぉ…！」

『やっと少し元気になった』

ふふふっと笑う彼女は、クリスマスツリーに向かって左手をかざす様にした。

『指輪、ありがとう。さっきは、お礼をちゃんと言えなかったから』

「いや……」

『これからも、ずっと…よろしくね！』

クリスマスツリーより綺麗な彼女の微笑みに、ここからまた新たに始まるんだと思いだす。

「改めて、俺と結婚してください」

『もちろん！』

幸せな未来は、もうすぐそこ。

***
2022.11.12.
プロポーズの時に失敗しちゃうのもまた思い出かなと。