Heartful First Year【藤真健司】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「合格発表、どうだった?」
『うん、合格した!』
「おめでとう!良かったじゃん!!藤真くんにはもう伝えた?」
『うん、電話で伝えたよ』
「まだ会ってないの?」
『まぁね…4月からも一緒の大学に通えるし…』
「あっちは会いたがってるんじゃないの?」
『どうかなぁ…相変わらずバスケ忙しそうだからね…』
「もう!消極的なんだから…」
『だって、未だに藤真くんと付き合ってるって信じられないし…』
「乙女だねぇ…」
俺は身を潜めて、真後ろの席で楽しそうな二人の会話を聞いていた。
俺の彼女の古屋とは付き合って一カ月半。
俺は推薦で大学を決めたけれど、彼女の古屋は、一般受験で俺と同じ大学を受験することになっていた。
合格したと連絡が来たのは、一昨日の合格発表の夜。
朝からそわそわしていた俺は、自分の合格以上に嬉しくなって、「よっしゃー!」って電話口で大声を出して、古屋に笑われた。
『藤真くんと一緒の大学に通えるの夢みたいだよ…』
と電話越しに言われて、今すぐにでも抱きしめたくてたまらなかった。
終業式のクリスマスイブに告白して、半ば強引に付き合おうぜって俺から持ちかけたけれど、彼女からは未だに【好き】の二文字を言ってもらったことはない。
だから、俺と一緒の大学に行けることを喜んでくれていることが何より嬉しいし、嫌われている訳じゃないことを知れて安心した。
今は自由登校になって毎日会えるわけじゃないし、古屋は俺に遠慮しているのかまだよそよそしい態度の時もあるし、正直、俺のことどう思っているのかめちゃくちゃ気になる。
そこで学校でバスケ部の練習に顔を出した時に、同じクラスで古屋と仲がいい女子に偶然会ったので頼んでみると、なんとバイトしているというカフェで古屋の本音を聞き出してくれることになったにだ。
「藤真くんでも自分の彼女に好かれているか不安になることがあるんだねぇ…」
ニヤリと言われて、ばつが悪い気持ちになるが、背に腹は代えられない。
「頼む!古屋が俺のことどう思ってるか聞き出してくれないか?」
「咲は、ずっと藤真くんのこと好きだったから、自信もっていいと思うけど?」
「本人の口から聞きてえんだよ!」
「はいはい…」
こうして、バイト先のこじゃれたカフェで、古屋の本当の気持ちを聞くことが出来ることになった。
変装もかねて、ニット帽を深めに被って、マスクをしているからバレないだろう。
カフェなんて行ったことがない俺は、洒落たメニューにくらくらしながら、懐かしいクリームソーダにでもしようと思ったが、目立ちそうで、飲めもしないコーヒーを頼んだ。
ちょうどコーヒーが運ばれてきたタイミングで、古屋と友達がやってきたのが店の窓越しに見えた。
一瞬、友達の方とは目が合うが、古屋は気付いていないようだ。
バレやしないかと冷や冷やしながら、帽子を目深まで隠れるように直しながら、立ち上るコーヒーの湯気をじっと見つめていた。
ちょうど、俺と背中合わせになるような形で古屋が座り、彼女達が慣れた様子で注文を済ませたところで、俺はマスクを外して水を一口飲んだ。
そして、冒頭の会話に戻るという訳だ。
飲み物が運ばれてきて、他愛のない会話を始めたので、少しほっとしていると、
「それでさ、改めて聞きたいんだけど…」
「え?何?」
「藤真くんのどこが好きなの?」
その会話を聞いて、再び肩に力が入る。
急に喉が乾いてきて、ぬるくなったコーヒーに口を付けた。
ちびりと飲んだだけなのに余りの苦さに咽そうになるが、ぐっとこらえて水を飲む。
ふぅ…と小さく息を吐いて、耳をそばだてた。
『え?えっと…いっぱいあるよ』
恥ずかしそうな古屋の声に俺まで恥ずかしくなって、ニット帽も外した。
(まったく…エアコン効きすぎ…)
心の中で悪態をつきながらも、古屋の次の言葉をそわそわと待つ。
『…バスケに一生懸命なとこでしょ、普段は子どもっぽいのにバスケになるとめちゃくちゃ大人っぽくなるとこでしょ、顔はもちろんなんだけど…』
一つ一つの言葉が嬉しいけれど、恥ずかしすぎて、うぉーって走り出したくなるのを必死にこらえて、何でも良いから飲み物を飲もうと目の前のカップを持ち上げた。
『…これ言うの恥ずかしいんだけど、もう全部好きなんだよね…』
ーガッシャーン!
ヤバいと思った時には、動揺した俺の手からコーヒーカップは落ちていて、盛大に音を立てて割れた。
もちろん、ほとんど口をつけていないコーヒーはなみなみと入っていたから、辺り一面に派手に飛び散る。
「す、すいません!」
『大丈夫ですか?……って、藤真くん!!??』
「よう…ってか、服大丈夫か?」
『う、うん…』
妙な空気になってしまうが、
「ほら、どいて!掃除するから!」
古屋の友達はさすがここでバイトしているだけあって、すぐに掃除道具を持って来て片づけ始めたのを俺と古屋はただ立ち尽くして見ているしかなかった。
「二人とも服が濡れてるじゃん!風邪ひくといけないからさっさと帰って着替えてよね!お会計は、私が立て替えとくからさ~」
俺達はドンと背中を押されて、慌てて荷物を抱えて店から出た。
二人で駅へ向かって、ゆっくり歩き始める。
「…ごめんな。俺、古屋の気持ち知りたくて…」
『私こそ、ゴメン!会って合格報告したかったけど、藤真くん忙しいと思って…』
「いや、こそこそするなんて、バカみたいだよな…」
『あのね…私こそ、ずっと言わなくちゃって思ってたから…』
「何を?」
『藤真くん、ずっと好きでした』
「へぁっ!?」
俺は、素っ頓狂な声をあげて古屋の方を見れば、古屋はまっすぐ前を見たまま耳まで真っ赤にして、少し歩くペースを上げる。
『今も…これからも…ずっと好きでいていい?』
「もちろ…」
ゴツンっ!
突然、目の前が真っ白になる。
「イってーっ!」
よそ見をして歩いていたから、電柱にぶつかってしまったようだ。
…今日はツイてないしダサすぎる。
『大丈夫?』
心配そうな古屋の顔に、無理やり笑顔を作る。
「こんなダサい俺でもいい?」
『もちろん!』
少し赤くなったおでこを古屋によしよしと撫でられながら、こんな幸せもアリかもな…なんて考えてみるのだった。
***
2021.1.4.
お題ガチャより
「ヒロインの友人と画策して、カフェでこっそりふたりの会話を聞くことに成功したふじまくん。「ふじまくんのどこが好きなの?」と聞かれたヒロインが恥ずかしそうに「え?えっと…いっぱいあるよ」と素直にちょっとずつ教えてくれるので、身悶えすぎたふじまくんがコーヒーを盛大にこぼしてバレた。」
『うん、合格した!』
「おめでとう!良かったじゃん!!藤真くんにはもう伝えた?」
『うん、電話で伝えたよ』
「まだ会ってないの?」
『まぁね…4月からも一緒の大学に通えるし…』
「あっちは会いたがってるんじゃないの?」
『どうかなぁ…相変わらずバスケ忙しそうだからね…』
「もう!消極的なんだから…」
『だって、未だに藤真くんと付き合ってるって信じられないし…』
「乙女だねぇ…」
俺は身を潜めて、真後ろの席で楽しそうな二人の会話を聞いていた。
俺の彼女の古屋とは付き合って一カ月半。
俺は推薦で大学を決めたけれど、彼女の古屋は、一般受験で俺と同じ大学を受験することになっていた。
合格したと連絡が来たのは、一昨日の合格発表の夜。
朝からそわそわしていた俺は、自分の合格以上に嬉しくなって、「よっしゃー!」って電話口で大声を出して、古屋に笑われた。
『藤真くんと一緒の大学に通えるの夢みたいだよ…』
と電話越しに言われて、今すぐにでも抱きしめたくてたまらなかった。
終業式のクリスマスイブに告白して、半ば強引に付き合おうぜって俺から持ちかけたけれど、彼女からは未だに【好き】の二文字を言ってもらったことはない。
だから、俺と一緒の大学に行けることを喜んでくれていることが何より嬉しいし、嫌われている訳じゃないことを知れて安心した。
今は自由登校になって毎日会えるわけじゃないし、古屋は俺に遠慮しているのかまだよそよそしい態度の時もあるし、正直、俺のことどう思っているのかめちゃくちゃ気になる。
そこで学校でバスケ部の練習に顔を出した時に、同じクラスで古屋と仲がいい女子に偶然会ったので頼んでみると、なんとバイトしているというカフェで古屋の本音を聞き出してくれることになったにだ。
「藤真くんでも自分の彼女に好かれているか不安になることがあるんだねぇ…」
ニヤリと言われて、ばつが悪い気持ちになるが、背に腹は代えられない。
「頼む!古屋が俺のことどう思ってるか聞き出してくれないか?」
「咲は、ずっと藤真くんのこと好きだったから、自信もっていいと思うけど?」
「本人の口から聞きてえんだよ!」
「はいはい…」
こうして、バイト先のこじゃれたカフェで、古屋の本当の気持ちを聞くことが出来ることになった。
変装もかねて、ニット帽を深めに被って、マスクをしているからバレないだろう。
カフェなんて行ったことがない俺は、洒落たメニューにくらくらしながら、懐かしいクリームソーダにでもしようと思ったが、目立ちそうで、飲めもしないコーヒーを頼んだ。
ちょうどコーヒーが運ばれてきたタイミングで、古屋と友達がやってきたのが店の窓越しに見えた。
一瞬、友達の方とは目が合うが、古屋は気付いていないようだ。
バレやしないかと冷や冷やしながら、帽子を目深まで隠れるように直しながら、立ち上るコーヒーの湯気をじっと見つめていた。
ちょうど、俺と背中合わせになるような形で古屋が座り、彼女達が慣れた様子で注文を済ませたところで、俺はマスクを外して水を一口飲んだ。
そして、冒頭の会話に戻るという訳だ。
飲み物が運ばれてきて、他愛のない会話を始めたので、少しほっとしていると、
「それでさ、改めて聞きたいんだけど…」
「え?何?」
「藤真くんのどこが好きなの?」
その会話を聞いて、再び肩に力が入る。
急に喉が乾いてきて、ぬるくなったコーヒーに口を付けた。
ちびりと飲んだだけなのに余りの苦さに咽そうになるが、ぐっとこらえて水を飲む。
ふぅ…と小さく息を吐いて、耳をそばだてた。
『え?えっと…いっぱいあるよ』
恥ずかしそうな古屋の声に俺まで恥ずかしくなって、ニット帽も外した。
(まったく…エアコン効きすぎ…)
心の中で悪態をつきながらも、古屋の次の言葉をそわそわと待つ。
『…バスケに一生懸命なとこでしょ、普段は子どもっぽいのにバスケになるとめちゃくちゃ大人っぽくなるとこでしょ、顔はもちろんなんだけど…』
一つ一つの言葉が嬉しいけれど、恥ずかしすぎて、うぉーって走り出したくなるのを必死にこらえて、何でも良いから飲み物を飲もうと目の前のカップを持ち上げた。
『…これ言うの恥ずかしいんだけど、もう全部好きなんだよね…』
ーガッシャーン!
ヤバいと思った時には、動揺した俺の手からコーヒーカップは落ちていて、盛大に音を立てて割れた。
もちろん、ほとんど口をつけていないコーヒーはなみなみと入っていたから、辺り一面に派手に飛び散る。
「す、すいません!」
『大丈夫ですか?……って、藤真くん!!??』
「よう…ってか、服大丈夫か?」
『う、うん…』
妙な空気になってしまうが、
「ほら、どいて!掃除するから!」
古屋の友達はさすがここでバイトしているだけあって、すぐに掃除道具を持って来て片づけ始めたのを俺と古屋はただ立ち尽くして見ているしかなかった。
「二人とも服が濡れてるじゃん!風邪ひくといけないからさっさと帰って着替えてよね!お会計は、私が立て替えとくからさ~」
俺達はドンと背中を押されて、慌てて荷物を抱えて店から出た。
二人で駅へ向かって、ゆっくり歩き始める。
「…ごめんな。俺、古屋の気持ち知りたくて…」
『私こそ、ゴメン!会って合格報告したかったけど、藤真くん忙しいと思って…』
「いや、こそこそするなんて、バカみたいだよな…」
『あのね…私こそ、ずっと言わなくちゃって思ってたから…』
「何を?」
『藤真くん、ずっと好きでした』
「へぁっ!?」
俺は、素っ頓狂な声をあげて古屋の方を見れば、古屋はまっすぐ前を見たまま耳まで真っ赤にして、少し歩くペースを上げる。
『今も…これからも…ずっと好きでいていい?』
「もちろ…」
ゴツンっ!
突然、目の前が真っ白になる。
「イってーっ!」
よそ見をして歩いていたから、電柱にぶつかってしまったようだ。
…今日はツイてないしダサすぎる。
『大丈夫?』
心配そうな古屋の顔に、無理やり笑顔を作る。
「こんなダサい俺でもいい?」
『もちろん!』
少し赤くなったおでこを古屋によしよしと撫でられながら、こんな幸せもアリかもな…なんて考えてみるのだった。
***
2021.1.4.
お題ガチャより
「ヒロインの友人と画策して、カフェでこっそりふたりの会話を聞くことに成功したふじまくん。「ふじまくんのどこが好きなの?」と聞かれたヒロインが恥ずかしそうに「え?えっと…いっぱいあるよ」と素直にちょっとずつ教えてくれるので、身悶えすぎたふじまくんがコーヒーを盛大にこぼしてバレた。」