Heartful First Year【藤真健司】
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今日は、元旦。
同じクラスの藤真くんと一緒に初詣に行こうと待ち合わせ中だ。
お友達じゃなくて、彼氏…なんだけど、まだ付き合い始めて日の浅いし、翔陽の王子様みたいなキラキラした存在の藤真くんの彼女ですって堂々と言い切れる度胸は私には全くない…
それに私は受験生で、センター試験を控えた身としては、恋にうつつを抜かしている場合でもないんだけど、初詣デート出来るなんて夢みたいだし、今日は息抜きってことで楽しんでもいいよね。
藤真くんは推薦で大学を決めて入るけれど、バスケ部の後輩の指導や自身の練習で忙しくしている。
藤真くんは、3年生では夏のインターハイも冬の選抜も全国大会に出場は叶わなかった。
唯一、国体で神奈川選抜として、全国の舞台を経験したのみ。
選手兼監督として、自分のことだけじゃなく色んなことを背負って戦っていた藤真くんのこと陰ながら応援していたから、藤真くんの涙を見て、客席で涙を流したうちの一人だ。
そんな藤真くんと恋人同士になったのは、クリスマスイブの終業式。
受験勉強のために教室に残って一人追い込みをしていたところに、バスケ部に顔を出して練習を終えたらしい藤真くんが、忘れ物か何かで戻ってきた。
「あれ?まだいたのか?」
『うん。受験勉強してる』
「古屋の志望校ってどこ?」
『実は…藤真くんが行くとこと同じとこ』
「…まじか」
藤真くんは飴色の瞳をさらに大きくさせて、驚いた後に、ぱぁっと嬉しそうな顔をした。
整った綺麗な顔でそんな顔されたら、ときめいちゃうじゃん。
試合中は監督として冷静な面とプレイヤーとして熱い面を見せてくれるけれど、普段の藤真くんはちょっと子どもっぽいくらいに感情豊かで分かりやすい。
だれとでもすぐに打ち解けるタイプだから、当然、友達も多いしめちゃくちゃモテる。
だけど、誰に告白されてもバスケが恋人だ!なんて言いきっちゃうし、実際、監督を兼任してまでバスケに打ち込んでいる、告白しようなんて女子は、ほとんどいない。
私も密かに恋心を抱いているけれど、これはずっと心の中にキラキラした想い出として取っておこうって思ってるんだ。
だから、
「なぁ、俺と付き合う気はねぇ?」
なんて言われて、
『…はい?』
と素っ頓狂な声を上げてしまった。
「俺さ、古屋のこと好きなんだけど…」
『ちょっとストップ!』
混乱した私は、自分のほっぺを強くつねってみる。
『何で…痛いの…?』
藤真くんの顔をまともに見られなくて、固まっていると、
「そういうとこ、めちゃくちゃ好きなんだって!」
藤真くんは私の両手を握って、真剣な目で訴えてくる。
「しかも俺と一緒の大学行くんなら、運命ってやつだぜ!」
『でも…』
「俺の事、そういう目で見れない?」
『そんなことないよ…藤真くんは…私の王子様だし!』
「じゃ、今日から彼氏と彼女な!」
藤真くんは、嬉しそうに笑って、連絡先を書いてくれる。
「忙しいだろうし、次は元旦な!初詣行こうぜ!」
『初詣?』
「元旦くらいいいだろ?」
私はコクリと頷いた。
そんな約束をして、どこか夢見心地のまま、あっという間に元旦となった。
初めてのデートが初詣なんて…
いや、藤真くんとデート出来ること自体がめちゃくちゃ贅沢なことだよな。
新年の華やかな雰囲気でにぎわう駅前で道行く人をぼんやり眺めながら待っていると、
『きゃっ!』
いきなり後ろから抱きしめられて、私はビクッと身体をこわばらせた。
「お待たせ!」
上から降ってくる声に、藤真くんだって認識すれば、心臓はさらにドキドキしてくる。
いきなり、しかもぎゅってしてくるなんてずるいよ…
『あ、あけましておめでとう!』
私は藤真くんが抱きしめている腕に手を添えて、そっと引き離そうとするけれど逞しい腕はびくともしない。
「あけおめだな!」
表情は見えないけれど、嬉しそうな藤真くんの声が聞こえる。
こんな人がいっぱいいるの中で、めちゃくちゃ目立つ人に抱きしめられて、嬉しいよりも恥ずかしくて仕方ない気持ちでいっぱいになって、
『藤真くん、恥ずかしい…!』
今度は身をよじって、ちょっと強めに腕を引き離そうとするけれど、さらにぎゅっと抱きしめられてしまう。
「会いたかった…」
私の肩に顎を置いて、藤真くんは耳元でささやいてくる。
正直なんて言われたかなんて分からないくらい緊張してしまって顔を覆った。
「今年も近くにいてくれよな…」
私の心臓はバクバクしてるし、顔も真っ赤だし、やっぱり、藤真くんの言葉は頭に入ってこない。
しばらくそのまま抱きしめられていると、藤真くんは満足したのか身体を離した。
「ははっ!顔真っ赤!」
『藤真くんも赤いよ…!』
二人して、顔を見合わせて笑いあった。
「さ、古屋の合格祈願に行こうぜ!絶対、俺と一緒の大学入れよ!」
『う、うん!』
藤真くんは私の手を取って歩き出した。
冷たい北風が吹き付けているけれど、火照った顔には心地よかった。
***
2022.1.1.
お題ガチャより
「健司に抱きしめられて耳元で何かを囁かれたけれど、どきどきして何を言われたか頭に全然入ってこないchococo」
Thank you for Kisaragi-sama!
同じクラスの藤真くんと一緒に初詣に行こうと待ち合わせ中だ。
お友達じゃなくて、彼氏…なんだけど、まだ付き合い始めて日の浅いし、翔陽の王子様みたいなキラキラした存在の藤真くんの彼女ですって堂々と言い切れる度胸は私には全くない…
それに私は受験生で、センター試験を控えた身としては、恋にうつつを抜かしている場合でもないんだけど、初詣デート出来るなんて夢みたいだし、今日は息抜きってことで楽しんでもいいよね。
藤真くんは推薦で大学を決めて入るけれど、バスケ部の後輩の指導や自身の練習で忙しくしている。
藤真くんは、3年生では夏のインターハイも冬の選抜も全国大会に出場は叶わなかった。
唯一、国体で神奈川選抜として、全国の舞台を経験したのみ。
選手兼監督として、自分のことだけじゃなく色んなことを背負って戦っていた藤真くんのこと陰ながら応援していたから、藤真くんの涙を見て、客席で涙を流したうちの一人だ。
そんな藤真くんと恋人同士になったのは、クリスマスイブの終業式。
受験勉強のために教室に残って一人追い込みをしていたところに、バスケ部に顔を出して練習を終えたらしい藤真くんが、忘れ物か何かで戻ってきた。
「あれ?まだいたのか?」
『うん。受験勉強してる』
「古屋の志望校ってどこ?」
『実は…藤真くんが行くとこと同じとこ』
「…まじか」
藤真くんは飴色の瞳をさらに大きくさせて、驚いた後に、ぱぁっと嬉しそうな顔をした。
整った綺麗な顔でそんな顔されたら、ときめいちゃうじゃん。
試合中は監督として冷静な面とプレイヤーとして熱い面を見せてくれるけれど、普段の藤真くんはちょっと子どもっぽいくらいに感情豊かで分かりやすい。
だれとでもすぐに打ち解けるタイプだから、当然、友達も多いしめちゃくちゃモテる。
だけど、誰に告白されてもバスケが恋人だ!なんて言いきっちゃうし、実際、監督を兼任してまでバスケに打ち込んでいる、告白しようなんて女子は、ほとんどいない。
私も密かに恋心を抱いているけれど、これはずっと心の中にキラキラした想い出として取っておこうって思ってるんだ。
だから、
「なぁ、俺と付き合う気はねぇ?」
なんて言われて、
『…はい?』
と素っ頓狂な声を上げてしまった。
「俺さ、古屋のこと好きなんだけど…」
『ちょっとストップ!』
混乱した私は、自分のほっぺを強くつねってみる。
『何で…痛いの…?』
藤真くんの顔をまともに見られなくて、固まっていると、
「そういうとこ、めちゃくちゃ好きなんだって!」
藤真くんは私の両手を握って、真剣な目で訴えてくる。
「しかも俺と一緒の大学行くんなら、運命ってやつだぜ!」
『でも…』
「俺の事、そういう目で見れない?」
『そんなことないよ…藤真くんは…私の王子様だし!』
「じゃ、今日から彼氏と彼女な!」
藤真くんは、嬉しそうに笑って、連絡先を書いてくれる。
「忙しいだろうし、次は元旦な!初詣行こうぜ!」
『初詣?』
「元旦くらいいいだろ?」
私はコクリと頷いた。
そんな約束をして、どこか夢見心地のまま、あっという間に元旦となった。
初めてのデートが初詣なんて…
いや、藤真くんとデート出来ること自体がめちゃくちゃ贅沢なことだよな。
新年の華やかな雰囲気でにぎわう駅前で道行く人をぼんやり眺めながら待っていると、
『きゃっ!』
いきなり後ろから抱きしめられて、私はビクッと身体をこわばらせた。
「お待たせ!」
上から降ってくる声に、藤真くんだって認識すれば、心臓はさらにドキドキしてくる。
いきなり、しかもぎゅってしてくるなんてずるいよ…
『あ、あけましておめでとう!』
私は藤真くんが抱きしめている腕に手を添えて、そっと引き離そうとするけれど逞しい腕はびくともしない。
「あけおめだな!」
表情は見えないけれど、嬉しそうな藤真くんの声が聞こえる。
こんな人がいっぱいいるの中で、めちゃくちゃ目立つ人に抱きしめられて、嬉しいよりも恥ずかしくて仕方ない気持ちでいっぱいになって、
『藤真くん、恥ずかしい…!』
今度は身をよじって、ちょっと強めに腕を引き離そうとするけれど、さらにぎゅっと抱きしめられてしまう。
「会いたかった…」
私の肩に顎を置いて、藤真くんは耳元でささやいてくる。
正直なんて言われたかなんて分からないくらい緊張してしまって顔を覆った。
「今年も近くにいてくれよな…」
私の心臓はバクバクしてるし、顔も真っ赤だし、やっぱり、藤真くんの言葉は頭に入ってこない。
しばらくそのまま抱きしめられていると、藤真くんは満足したのか身体を離した。
「ははっ!顔真っ赤!」
『藤真くんも赤いよ…!』
二人して、顔を見合わせて笑いあった。
「さ、古屋の合格祈願に行こうぜ!絶対、俺と一緒の大学入れよ!」
『う、うん!』
藤真くんは私の手を取って歩き出した。
冷たい北風が吹き付けているけれど、火照った顔には心地よかった。
***
2022.1.1.
お題ガチャより
「健司に抱きしめられて耳元で何かを囁かれたけれど、どきどきして何を言われたか頭に全然入ってこないchococo」
Thank you for Kisaragi-sama!
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