1-5番の各ポジションのメンツで合コンに行く話
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Side.藤真健司
「はぁ…」
俺は、ため息をついて携帯を取り出した。
押しの強い女の先輩に合コンをセッティングするよう頼まれてしまった。
部員に声をかけてみるけれど、俺と一緒に合コンに行きたいなんていう物好きな奴はおらず、一つ下のチームメイト仙道彰だけが唯一、俺の誘いに乗って、
「藤真さんが困ってるから、いいですよ~」
なんて、飄々と引き受けてくれた。
あいつのことは、高校の頃から知っているとはいえ、考えていることがいまいち読めないところがある。
相変わらず遅刻は多いし、釣りがしたいからと部のイベントごとをドタキャンするなんてこともしょっちゅうで、その度に俺があいつをかばってやったりしているから、今回はいつものお礼だと思うことにする。
しかし、今回合コンに集めなければいけない人数は、5人。
俺と仙道を入れても、まだあと3人集めなければならない。
高校の同級生の顔を思い浮かべるが、長谷川は彼女がいるし、高野と永野は…一度合コンに誘われて顔を出した時に、藤真とはもう合コンには行かないときっぱり言われた過去がある。
何もこの顔に産まれたくて産まれたわけじゃねぇのに、この顔のせいで苦労するのは、いい加減…慣れたくても慣れない。
産まれてこの方、実は彼女が出来たこともなく、女の扱い方なんてもんもさっぱり分からない。
やはり頼りになるのは…花形、ただ一人。
高校3年間、親よりも頼りにしてきたこいつなら、絶対何とかしてくれるだろうと携帯で電話をした。
実際、何かあれば今のチームメイトよりも花形に相談している。
数回の呼び出し音の後、
「…また、困りごとか?」
なんて挨拶もなしで、分かり切ったような声で花形が出た。
「その通りだよ!」
そう言うと、後ろからがやがやと花形を呼ぶ声が聞こえる。
「悪い、今、部の飲み会中で。すぐ用件終わるか?」
「ああ、今度合コンしなくちゃいけなくなったから、お前とあともう二人、三人で来てくれ!」
「3人もか…?」
「じゃ、よろしくな!」
花形の返事も聞かずに電話を切る。
あいつなら何とかしてくれるだろう。
俺と仙道と花形と…あいつのとこには湘北出身の奴らがいたと思うが、花形のことだからちゃんとしたやつを連れてくるだろう。
俺は、携帯を放り投げて、ベッドへばたっと横になった。
合コン、めんどくせーな…
っつたく、バスケだけに集中させてほしいぜ…
俺は、また大きなため息を一つついて、目を閉じた。
***
Side.花形 透
「じゃ、よろしくな!」
と一方的に電話を切られた俺は、ふぅっと小さくため息をついた。
藤真とは高校時代の戦友だがバスケ以外には、無頓着でいつも雑用を押し付けられるのは俺だった。
…バレンタインのチョコレートの管理なんかも押し付けられたことまで思い出してしまう。
高3の時は、監督も兼任していたし、大変だからと世話を妬いていたことが仇となったのか、高校を卒業し、別々の大学に進学してからも何かがあると一番に俺に相談してくるというのが続いている。
いい加減、恋人でも作って世話を焼いてもらえばいいのにと思うが、俺も女には縁のない生活を送っているので藤真に助言することも出来ない。
「おう、花形!電話、もしかして彼女か!?」
酒が回って絡み酒になってきた三井が、焼酎のボトル片手に俺の隣にやってきた。
「いや…藤真だ」
「また藤真?おまえら、付き合ってんのか?」
「…三井、飲みすぎだぞ。藤真に合コンするからメンツを集めろって言われただけだ」
「メガネ…さん!ゴウコンって何だ?」
今度は、桜木がきて、俺の前に残っていた唐揚げをほおばって言った。
今年の春からうちの大学に来たが、同じ高校の三井ではなく俺がこいつの教育係に任命されて、やっと俺のことを名前ではないが「さん」をつけて呼べるようになって来たとこだ。
三井のことは、ミッチーさんに変えろと言っても、難しそうだが…
桜木のバスケの実力は、高校最後の夏に初めて対戦したあの荒削りの時から、驚異のスピードで上達し、1on1では俺と五分五分…いや、力勝負では俺の分が悪いくらいの実力だが、礼儀という面においては全くだめだ。
三井の方がまだマシだったように思えるくらいだ…
湘北の奴らはヤバいというのが大学バスケ界でも広まっているのは、三井や桜木のせいだろう。
そんな俺の胸中は全く知らない二人は、
「桜木は合コン行ったことねぇのか?女の子とイチャイチャ出来るぜ!」
「な…メガネさん、本当か?」
「三井、嘘はよくないぞ…桜木は彼女いるか?」
「カノジョ…いないっす…」
「赤木の妹はどうしたんだよ?」
「ハルコさんは…ハルコさんは…」
桜木は突然泣き出したかと思うと、三井の焼酎の瓶を取り上げて、一気に飲み干した。
「あの…キツネやろうと…」
「まさか…流川と…」
「うぉぉぉぉ!」
「桜木、落ち着け!!」
部員総出で桜木を押さえつけ、その場は何とか事なきを得た。
帰り道、三井は桜木をなだめながら、
「花形が合コン連れてってくれるっつーから、元気出せって!赤木の妹なんかより、可愛い女の子来るかもしれないぞ?」
「待て三井、俺は連れていくとは…」
「つっても、困ってるんだろ?」
「ま…まぁ…」
「何人だ?」
「俺を入れて3人だ」
「じゃ、決まりだな!」
「三井、おまえも行くのか?」
「当たり前だろ!」
「メガネさん…」
「仕方ないな…おまえたち二人、連れて行ってやるよ」
こうして、俺は、藤真にメールを送った。
【三人確保したから、合コンの詳細送ってくれ】
ふぅ…騒がしい合コンになりそうだと一人心配するのだった。
***
Side.藤真健司
待ち合わせに現れた三人を見て、俺はしまったと思った。
桜木と三井…どう見てもトラブルになりそうな二人だ。
俺が確認しなかったのも悪いのだが…
ムッとした視線を花形に投げかけてみると、そう来るのは分かっていたと言わんばかりに、スマンというポーズで返された。
「ぬ!?センドー」
「よう!桜木!久しぶりだな~」
と、のんきに嬉しそうな声の仙道のおかげで、まぁなんとかなるかと思ってみる。
「おい、藤真に仙道。なんでイケメン二人が合コンなんて行く必要あんだよ?」
昔の名残か相変わらずガラの悪い態度で、三井が聞いてきた。
「色々あんだよ!仙道も俺も、彼女いねぇしな…そういう三井も彼女はいいのか?」
「けっ…俺もいねぇっつーの!」
「ミッチー、メガネさん、女の子って言うのは…」
桜木にしては珍しく大人しくそわそわした様子なのが可笑しくて、
「桜木、おまえ、合コン初めてか?」
「ぬ?ホケツくん、悪いかね?」
「バカ!ホケツくんじゃない、藤真さんだ!」
花形に怒られても桜木は悪びれる様子もないことに、花形も大変だな…と、先ほどの溜飲を下げた。
花形はすかさず、
「そうだ、藤真、先に会費を集めておいた方がいいんじゃないか?」
「そうだな!」
花形が財布から3000円を俺に渡し、三井はポケットからくしゃくしゃの1000円札三枚を渡してきた。
「藤真さん、俺、万券しかないっす…」
そういう仙道から一万円を受け取り、釣りを渡してやる。
「おい、桜木。まさかおまえまた財布持ってきてないのか?」
「はははっ…メガネさん、今日はこれだけあるぜ!はい、ホケツくん!!」
そういうとポケットをごそごそ探って、100円玉を三枚俺の手に乗せた。
「桜木、これはどういうことだ…」
「藤真…悪い!桜木はいつも財布を持ち歩かないんだ…」
「桜木、さすがに合コンくれぇしっかり払った方がいいぞ?」
「ぬ?ミッチー、なんでだ?」
「相変わらずだなぁ~桜木は…藤真さん、そろそろ行った方がいいんじゃないですか?」
仙道のその言葉に俺は怒鳴り散らしたい気持ちを何とか静め、合コン会場となる居酒屋へと向かった。
「はぁ…」
俺は、ため息をついて携帯を取り出した。
押しの強い女の先輩に合コンをセッティングするよう頼まれてしまった。
部員に声をかけてみるけれど、俺と一緒に合コンに行きたいなんていう物好きな奴はおらず、一つ下のチームメイト仙道彰だけが唯一、俺の誘いに乗って、
「藤真さんが困ってるから、いいですよ~」
なんて、飄々と引き受けてくれた。
あいつのことは、高校の頃から知っているとはいえ、考えていることがいまいち読めないところがある。
相変わらず遅刻は多いし、釣りがしたいからと部のイベントごとをドタキャンするなんてこともしょっちゅうで、その度に俺があいつをかばってやったりしているから、今回はいつものお礼だと思うことにする。
しかし、今回合コンに集めなければいけない人数は、5人。
俺と仙道を入れても、まだあと3人集めなければならない。
高校の同級生の顔を思い浮かべるが、長谷川は彼女がいるし、高野と永野は…一度合コンに誘われて顔を出した時に、藤真とはもう合コンには行かないときっぱり言われた過去がある。
何もこの顔に産まれたくて産まれたわけじゃねぇのに、この顔のせいで苦労するのは、いい加減…慣れたくても慣れない。
産まれてこの方、実は彼女が出来たこともなく、女の扱い方なんてもんもさっぱり分からない。
やはり頼りになるのは…花形、ただ一人。
高校3年間、親よりも頼りにしてきたこいつなら、絶対何とかしてくれるだろうと携帯で電話をした。
実際、何かあれば今のチームメイトよりも花形に相談している。
数回の呼び出し音の後、
「…また、困りごとか?」
なんて挨拶もなしで、分かり切ったような声で花形が出た。
「その通りだよ!」
そう言うと、後ろからがやがやと花形を呼ぶ声が聞こえる。
「悪い、今、部の飲み会中で。すぐ用件終わるか?」
「ああ、今度合コンしなくちゃいけなくなったから、お前とあともう二人、三人で来てくれ!」
「3人もか…?」
「じゃ、よろしくな!」
花形の返事も聞かずに電話を切る。
あいつなら何とかしてくれるだろう。
俺と仙道と花形と…あいつのとこには湘北出身の奴らがいたと思うが、花形のことだからちゃんとしたやつを連れてくるだろう。
俺は、携帯を放り投げて、ベッドへばたっと横になった。
合コン、めんどくせーな…
っつたく、バスケだけに集中させてほしいぜ…
俺は、また大きなため息を一つついて、目を閉じた。
***
Side.花形 透
「じゃ、よろしくな!」
と一方的に電話を切られた俺は、ふぅっと小さくため息をついた。
藤真とは高校時代の戦友だがバスケ以外には、無頓着でいつも雑用を押し付けられるのは俺だった。
…バレンタインのチョコレートの管理なんかも押し付けられたことまで思い出してしまう。
高3の時は、監督も兼任していたし、大変だからと世話を妬いていたことが仇となったのか、高校を卒業し、別々の大学に進学してからも何かがあると一番に俺に相談してくるというのが続いている。
いい加減、恋人でも作って世話を焼いてもらえばいいのにと思うが、俺も女には縁のない生活を送っているので藤真に助言することも出来ない。
「おう、花形!電話、もしかして彼女か!?」
酒が回って絡み酒になってきた三井が、焼酎のボトル片手に俺の隣にやってきた。
「いや…藤真だ」
「また藤真?おまえら、付き合ってんのか?」
「…三井、飲みすぎだぞ。藤真に合コンするからメンツを集めろって言われただけだ」
「メガネ…さん!ゴウコンって何だ?」
今度は、桜木がきて、俺の前に残っていた唐揚げをほおばって言った。
今年の春からうちの大学に来たが、同じ高校の三井ではなく俺がこいつの教育係に任命されて、やっと俺のことを名前ではないが「さん」をつけて呼べるようになって来たとこだ。
三井のことは、ミッチーさんに変えろと言っても、難しそうだが…
桜木のバスケの実力は、高校最後の夏に初めて対戦したあの荒削りの時から、驚異のスピードで上達し、1on1では俺と五分五分…いや、力勝負では俺の分が悪いくらいの実力だが、礼儀という面においては全くだめだ。
三井の方がまだマシだったように思えるくらいだ…
湘北の奴らはヤバいというのが大学バスケ界でも広まっているのは、三井や桜木のせいだろう。
そんな俺の胸中は全く知らない二人は、
「桜木は合コン行ったことねぇのか?女の子とイチャイチャ出来るぜ!」
「な…メガネさん、本当か?」
「三井、嘘はよくないぞ…桜木は彼女いるか?」
「カノジョ…いないっす…」
「赤木の妹はどうしたんだよ?」
「ハルコさんは…ハルコさんは…」
桜木は突然泣き出したかと思うと、三井の焼酎の瓶を取り上げて、一気に飲み干した。
「あの…キツネやろうと…」
「まさか…流川と…」
「うぉぉぉぉ!」
「桜木、落ち着け!!」
部員総出で桜木を押さえつけ、その場は何とか事なきを得た。
帰り道、三井は桜木をなだめながら、
「花形が合コン連れてってくれるっつーから、元気出せって!赤木の妹なんかより、可愛い女の子来るかもしれないぞ?」
「待て三井、俺は連れていくとは…」
「つっても、困ってるんだろ?」
「ま…まぁ…」
「何人だ?」
「俺を入れて3人だ」
「じゃ、決まりだな!」
「三井、おまえも行くのか?」
「当たり前だろ!」
「メガネさん…」
「仕方ないな…おまえたち二人、連れて行ってやるよ」
こうして、俺は、藤真にメールを送った。
【三人確保したから、合コンの詳細送ってくれ】
ふぅ…騒がしい合コンになりそうだと一人心配するのだった。
***
Side.藤真健司
待ち合わせに現れた三人を見て、俺はしまったと思った。
桜木と三井…どう見てもトラブルになりそうな二人だ。
俺が確認しなかったのも悪いのだが…
ムッとした視線を花形に投げかけてみると、そう来るのは分かっていたと言わんばかりに、スマンというポーズで返された。
「ぬ!?センドー」
「よう!桜木!久しぶりだな~」
と、のんきに嬉しそうな声の仙道のおかげで、まぁなんとかなるかと思ってみる。
「おい、藤真に仙道。なんでイケメン二人が合コンなんて行く必要あんだよ?」
昔の名残か相変わらずガラの悪い態度で、三井が聞いてきた。
「色々あんだよ!仙道も俺も、彼女いねぇしな…そういう三井も彼女はいいのか?」
「けっ…俺もいねぇっつーの!」
「ミッチー、メガネさん、女の子って言うのは…」
桜木にしては珍しく大人しくそわそわした様子なのが可笑しくて、
「桜木、おまえ、合コン初めてか?」
「ぬ?ホケツくん、悪いかね?」
「バカ!ホケツくんじゃない、藤真さんだ!」
花形に怒られても桜木は悪びれる様子もないことに、花形も大変だな…と、先ほどの溜飲を下げた。
花形はすかさず、
「そうだ、藤真、先に会費を集めておいた方がいいんじゃないか?」
「そうだな!」
花形が財布から3000円を俺に渡し、三井はポケットからくしゃくしゃの1000円札三枚を渡してきた。
「藤真さん、俺、万券しかないっす…」
そういう仙道から一万円を受け取り、釣りを渡してやる。
「おい、桜木。まさかおまえまた財布持ってきてないのか?」
「はははっ…メガネさん、今日はこれだけあるぜ!はい、ホケツくん!!」
そういうとポケットをごそごそ探って、100円玉を三枚俺の手に乗せた。
「桜木、これはどういうことだ…」
「藤真…悪い!桜木はいつも財布を持ち歩かないんだ…」
「桜木、さすがに合コンくれぇしっかり払った方がいいぞ?」
「ぬ?ミッチー、なんでだ?」
「相変わらずだなぁ~桜木は…藤真さん、そろそろ行った方がいいんじゃないですか?」
仙道のその言葉に俺は怒鳴り散らしたい気持ちを何とか静め、合コン会場となる居酒屋へと向かった。
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