バタフライキス【堀田徳男SS】
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年に一度だけ、私たちは会うことが出来る。
と言っても織姫と彦星とは違って、2カ月くらいは毎日のように顔を合わせられるけれど、私にとってはこの特別な二カ月間のために、他の月を過ごしているといっても過言ではない。
産まれた時から両親の仕事の都合でアメリカで暮らしている私は、長い夏休みだけ日本のグランマの家で過ごすことになっている。
グランマの家の隣の家に住む同い年の男の子、堀田徳男は、私の初めての日本人のお友達だ。
2カ月の帰国の間、日本のエレメンタリーに少しだけ通うことになった時も徳男は何も分からない私のお世話を焼いてくれた。
見た目はいかついけれど、私にはめちゃくちゃ優しくて、いつの頃からか恋心を抱くようになっていた。
それは、二カ月だけしか会えない特別な関係だからなのかもしれないけれど、徳男以上の男がアメリカのハイスクールにはいない。
今年も、ハイスクールのセカンドイヤーを終えて、夏休みを過ごすため、日本にやってきた。
9月からは、サードイヤーだけれど、日本の大学に行きたいと両親を説得中だ。
徳男もユニバに行くかと思っていたが、まだ決めていないようだ。
徳男と一緒のユニバに通いたいって思っていた私は、ちょっとむっとしてしまう。
それに、三っちゃん三っちゃんと私との会話の最中に、他の人の名前が何度も出るのも何か嫌だ。
三っちゃんは、ガールフレンドでもペットでもなく、クラスメイトの名前らしいが、バスケットボールがうまくて、ダチ…なんだそうだ。
せっかく一日一緒にすごせると思った徳男の休日もその三っちゃんの試合の応援で台無しだ。
その三っちゃんに対して、私はめちゃくちゃ黒い感情をもっている。
ジェラシーってやつだ。
でも、今日は海で花火大会があるからと徳男が誘ってくれて、二人でデートだ。
いつまでも、幼馴染のお友達でいるのは…そろそろ私も限界。
今までだって、匂わせてみたりしたけれど、私のLOVEの気持ちに徳男は全然気付いていない。
だから、今日こそは…
そう思って、浴衣は苦手だからお気に入りのちょっとセクシーな格好をしてみたけど、徳男は全然目を合わせてくれない。
海岸沿いには、カップルがいっぱいで、私たちもその中の一組だと思うと嬉しくて、私は徳男に腕を絡めて歩いた。
「なぁ…うさぎちゃん、恥ずかしいぜ…」
なんて徳男は言うけれど、腕を振り払われないから、こうやって歩いてもいいってことだろう。
徳男は本当に私の気持ちに気付いてないのかな…
隣を歩く徳男を見上げても、少し赤い顔をしているだけで何を考えているか全然分からない。
『ねぇ、のりお、気付いてる?…私、徳男のこと好きってこと…』
「ちょ…うさぎちゃん!?すすすす…好きって…!」
『I love you...ってことだよ』
「まっ…待ってくれ…俺、どうしたら…」
徳男は、狼狽えて真っ赤な顔をしている。
…私のこと、徳男は好きじゃないのかな。
そんな風に不安になってしまう。
『徳男は、私のこと嫌い?』
「すまん!」
そっか…やっぱり、私のこと…
「うさぎちゃん!俺、うさぎちゃんのこと好きだ!!その、つ…付き合ってくれ!!…またすぐアメリカ帰っちまうから、ずっと言えなかった…」
『徳男…!』
私は、嬉しく思いっきり抱きついた。
「うおっ…」
私が勢いよく抱きついたせいで、徳男は後ろに倒れてしまった。
二人でくすくすと笑っていると、
「あっ…あれは、センドー…」
『誰?知り合い?』
「いや…三っちゃんのライバルで…」
『私、三っちゃん嫌い!』
私は、勢いに任せて徳男の唇をふさいだ。
唇を離すと、真っ赤な顔の徳男と目が合う。
「誰かに見られたら…」
『見られたっていいじゃん!』
立ち上がって、きょろきょろ辺りを見回して、挙動不審な徳男の動きが急に止まる。
徳男が見つめる先には、センドーと呼ばれた男とガールフレンドがピッタリとくっついていた顔を離したところだった。
「バタフライキス…やっぱくすぐったい…」
と声が聞こえる。
『Batterfly Kiss、したいの…?』
徳男はうつむいたまま、固まった。
さっき唇のキスもしたことだし、アメリカではよく見かけるこのキスを徳男とするのもいいかもしれない。
『ねぇ…しようよ!ほら!』
少し屈んだ徳男に私は、ぐっと顔をよせる。
『もうちょっと…んっ…瞬きは?』
ぎゅっと目をつぶってはずかしそうな徳男は、恐る恐る瞬きをしたようだが、
『…あれっ?』
私がが更に顔を寄せて瞬きをすると、
「いてっ!」
マスカラを塗った私の睫毛が徳男の目に入ってしまったようだ。
ぐっと徳男の顔を覗き込むと、
『徳男、睫毛ないんだねぇ…』
私はやれやれと笑うと、また徳男に顔を寄せて、目元にチュッとキスをした。
また、あわあわと慌てた表情の徳男に私はふふっと笑いが込み上げる。
来年は、徳男ともっと沢山いられますように…
そう願うと同時に花火が上がり、満天の星空に大きな音とともに大輪の花が咲いた。
***
2021.7.15. Thank you for hino usagi-sama
と言っても織姫と彦星とは違って、2カ月くらいは毎日のように顔を合わせられるけれど、私にとってはこの特別な二カ月間のために、他の月を過ごしているといっても過言ではない。
産まれた時から両親の仕事の都合でアメリカで暮らしている私は、長い夏休みだけ日本のグランマの家で過ごすことになっている。
グランマの家の隣の家に住む同い年の男の子、堀田徳男は、私の初めての日本人のお友達だ。
2カ月の帰国の間、日本のエレメンタリーに少しだけ通うことになった時も徳男は何も分からない私のお世話を焼いてくれた。
見た目はいかついけれど、私にはめちゃくちゃ優しくて、いつの頃からか恋心を抱くようになっていた。
それは、二カ月だけしか会えない特別な関係だからなのかもしれないけれど、徳男以上の男がアメリカのハイスクールにはいない。
今年も、ハイスクールのセカンドイヤーを終えて、夏休みを過ごすため、日本にやってきた。
9月からは、サードイヤーだけれど、日本の大学に行きたいと両親を説得中だ。
徳男もユニバに行くかと思っていたが、まだ決めていないようだ。
徳男と一緒のユニバに通いたいって思っていた私は、ちょっとむっとしてしまう。
それに、三っちゃん三っちゃんと私との会話の最中に、他の人の名前が何度も出るのも何か嫌だ。
三っちゃんは、ガールフレンドでもペットでもなく、クラスメイトの名前らしいが、バスケットボールがうまくて、ダチ…なんだそうだ。
せっかく一日一緒にすごせると思った徳男の休日もその三っちゃんの試合の応援で台無しだ。
その三っちゃんに対して、私はめちゃくちゃ黒い感情をもっている。
ジェラシーってやつだ。
でも、今日は海で花火大会があるからと徳男が誘ってくれて、二人でデートだ。
いつまでも、幼馴染のお友達でいるのは…そろそろ私も限界。
今までだって、匂わせてみたりしたけれど、私のLOVEの気持ちに徳男は全然気付いていない。
だから、今日こそは…
そう思って、浴衣は苦手だからお気に入りのちょっとセクシーな格好をしてみたけど、徳男は全然目を合わせてくれない。
海岸沿いには、カップルがいっぱいで、私たちもその中の一組だと思うと嬉しくて、私は徳男に腕を絡めて歩いた。
「なぁ…うさぎちゃん、恥ずかしいぜ…」
なんて徳男は言うけれど、腕を振り払われないから、こうやって歩いてもいいってことだろう。
徳男は本当に私の気持ちに気付いてないのかな…
隣を歩く徳男を見上げても、少し赤い顔をしているだけで何を考えているか全然分からない。
『ねぇ、のりお、気付いてる?…私、徳男のこと好きってこと…』
「ちょ…うさぎちゃん!?すすすす…好きって…!」
『I love you...ってことだよ』
「まっ…待ってくれ…俺、どうしたら…」
徳男は、狼狽えて真っ赤な顔をしている。
…私のこと、徳男は好きじゃないのかな。
そんな風に不安になってしまう。
『徳男は、私のこと嫌い?』
「すまん!」
そっか…やっぱり、私のこと…
「うさぎちゃん!俺、うさぎちゃんのこと好きだ!!その、つ…付き合ってくれ!!…またすぐアメリカ帰っちまうから、ずっと言えなかった…」
『徳男…!』
私は、嬉しく思いっきり抱きついた。
「うおっ…」
私が勢いよく抱きついたせいで、徳男は後ろに倒れてしまった。
二人でくすくすと笑っていると、
「あっ…あれは、センドー…」
『誰?知り合い?』
「いや…三っちゃんのライバルで…」
『私、三っちゃん嫌い!』
私は、勢いに任せて徳男の唇をふさいだ。
唇を離すと、真っ赤な顔の徳男と目が合う。
「誰かに見られたら…」
『見られたっていいじゃん!』
立ち上がって、きょろきょろ辺りを見回して、挙動不審な徳男の動きが急に止まる。
徳男が見つめる先には、センドーと呼ばれた男とガールフレンドがピッタリとくっついていた顔を離したところだった。
「バタフライキス…やっぱくすぐったい…」
と声が聞こえる。
『Batterfly Kiss、したいの…?』
徳男はうつむいたまま、固まった。
さっき唇のキスもしたことだし、アメリカではよく見かけるこのキスを徳男とするのもいいかもしれない。
『ねぇ…しようよ!ほら!』
少し屈んだ徳男に私は、ぐっと顔をよせる。
『もうちょっと…んっ…瞬きは?』
ぎゅっと目をつぶってはずかしそうな徳男は、恐る恐る瞬きをしたようだが、
『…あれっ?』
私がが更に顔を寄せて瞬きをすると、
「いてっ!」
マスカラを塗った私の睫毛が徳男の目に入ってしまったようだ。
ぐっと徳男の顔を覗き込むと、
『徳男、睫毛ないんだねぇ…』
私はやれやれと笑うと、また徳男に顔を寄せて、目元にチュッとキスをした。
また、あわあわと慌てた表情の徳男に私はふふっと笑いが込み上げる。
来年は、徳男ともっと沢山いられますように…
そう願うと同時に花火が上がり、満天の星空に大きな音とともに大輪の花が咲いた。
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2021.7.15. Thank you for hino usagi-sama
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