ナツコイ【牧紳一SS】
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久しぶりのオフ。
俺は、サーフボードを積んだクーペを海辺に止めた。
久しぶりの波音にオレの心も弾み、この夏、初めての波乗りを思う存分楽しんだ。
サーフィンを終え、帰宅しようと出発しようとしたその時、
『乗せて!』
突然、女性が俺の車の助手席に乗ってきた。
『早く!出発して!追われてるの!』
その女性の勢いに押されて、俺は、車を発進させた。
後ろから男が追いかけてきているようだが、その男から逃げているのだろうか…?
スピードを上げて高速道路に入り、落ち着いたところで、ミラー越しに女性の顔を確認する。
自分の腕で自分を抱きながらもほっとした表情の彼女を見て、守ってやりたいと思うのは、傲慢だろうか。
「…大丈夫か?」
『うん…ありがとう…』
大人びた見た目とは異なり幼い声で彼女は、答えた。
車内に沈黙が流れる。
『ねぇ…名前は?』
「牧 紳一。そっちは?」
『…まどか』
まどかは、名前だけ名乗ると目を閉じた。
何か触れたくないこともあるのだろうと、俺は、帰路を急いだ。
自宅の最寄り駅に車を止めて、ぐっすりと眠ったまどかを見た。
あどけない寝顔をもっと見ていたいとも思うが、そっと肩をゆすって起こそうとすると、
『もっと…優しくして…』
うわ言のように呟くまどかが語りかけているのは、さっき追いかけていた男だろうか…
出会ったばかりの、しかもこれっきりの関係かもしれないまどかが、夢の中で語りかける見ず知らずの男に嫉妬している自分に気付いた。
ふと思い立って、連絡先を書いた紙をまどかの鞄に忍ばせる。
もし、俺に連絡が来ることがあれば、この気持ちを伝えようと決意した。
***
年上の彼氏と酷い別れ方をして、勢いに任せて牧と名乗る男の車に乗り込んでいた。
何故だか妙に落ち着く彼の横で、すっかり寝てしまったのに、襲われることもなく、紳士的に送り届けてくれた彼のこと、何となく忘れられないでいた。
鞄に入っていた連絡先にお礼だけ…と電話をすれば、また会う約束をさせられてしまった。
また年上の男に、しかも一度会っただけの牧さんに恋をしそうなこの状況に正直戸惑っている。
あっという間に約束の日が来て、夕方、待ち合わせをした海辺のショッピングモールに来た。
牧さんは、女性の扱いが上手い。
さりげなく肩を抱いてリードしてくれようとするし…
何となく気まずくて、その腕をすり抜けて、
『牧さんって、おいくつですか?年齢不詳な感じ…』
「俺か?…22歳、大学4年だ」
『えっ!同い年!?…さん付けするんじゃなかった…』
「そうか…」
驚かれるのは慣れていると笑う牧さん…いや牧くんと海辺のデッキを歩く。
どちらからともなくデッキに置かれたベンチに座って、水平線に沈む夕日を眺める。
「まどか…俺と…」
牧くんの真剣なまなざしに、言いたいことが分かって、笑っておどけられそうにない私は、その先の言葉を遮った。
『その先は…まだ…聞きたくない…』
牧くんに惹かれている自分の気持ち、まだ認めたくない。
『今は…もうちょっとだけ…このまま、曖昧な関係でいさせて…』
ずるいのは、分かってる…
「もうちょっと…か…俺はこう見えて気が早い方なんでな…」
ふっと笑った牧くんの横顔に見惚れていると、ザーッという潮風と共に牧くんの温かな唇が私の唇に触れた。
***
2021.6.4.
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Inspired by 池/田政/典 「 NI/GHT OF SUM/MER SID/E」
こぼれ話→ナツコイ【牧紳一SS】
俺は、サーフボードを積んだクーペを海辺に止めた。
久しぶりの波音にオレの心も弾み、この夏、初めての波乗りを思う存分楽しんだ。
サーフィンを終え、帰宅しようと出発しようとしたその時、
『乗せて!』
突然、女性が俺の車の助手席に乗ってきた。
『早く!出発して!追われてるの!』
その女性の勢いに押されて、俺は、車を発進させた。
後ろから男が追いかけてきているようだが、その男から逃げているのだろうか…?
スピードを上げて高速道路に入り、落ち着いたところで、ミラー越しに女性の顔を確認する。
自分の腕で自分を抱きながらもほっとした表情の彼女を見て、守ってやりたいと思うのは、傲慢だろうか。
「…大丈夫か?」
『うん…ありがとう…』
大人びた見た目とは異なり幼い声で彼女は、答えた。
車内に沈黙が流れる。
『ねぇ…名前は?』
「牧 紳一。そっちは?」
『…まどか』
まどかは、名前だけ名乗ると目を閉じた。
何か触れたくないこともあるのだろうと、俺は、帰路を急いだ。
自宅の最寄り駅に車を止めて、ぐっすりと眠ったまどかを見た。
あどけない寝顔をもっと見ていたいとも思うが、そっと肩をゆすって起こそうとすると、
『もっと…優しくして…』
うわ言のように呟くまどかが語りかけているのは、さっき追いかけていた男だろうか…
出会ったばかりの、しかもこれっきりの関係かもしれないまどかが、夢の中で語りかける見ず知らずの男に嫉妬している自分に気付いた。
ふと思い立って、連絡先を書いた紙をまどかの鞄に忍ばせる。
もし、俺に連絡が来ることがあれば、この気持ちを伝えようと決意した。
***
年上の彼氏と酷い別れ方をして、勢いに任せて牧と名乗る男の車に乗り込んでいた。
何故だか妙に落ち着く彼の横で、すっかり寝てしまったのに、襲われることもなく、紳士的に送り届けてくれた彼のこと、何となく忘れられないでいた。
鞄に入っていた連絡先にお礼だけ…と電話をすれば、また会う約束をさせられてしまった。
また年上の男に、しかも一度会っただけの牧さんに恋をしそうなこの状況に正直戸惑っている。
あっという間に約束の日が来て、夕方、待ち合わせをした海辺のショッピングモールに来た。
牧さんは、女性の扱いが上手い。
さりげなく肩を抱いてリードしてくれようとするし…
何となく気まずくて、その腕をすり抜けて、
『牧さんって、おいくつですか?年齢不詳な感じ…』
「俺か?…22歳、大学4年だ」
『えっ!同い年!?…さん付けするんじゃなかった…』
「そうか…」
驚かれるのは慣れていると笑う牧さん…いや牧くんと海辺のデッキを歩く。
どちらからともなくデッキに置かれたベンチに座って、水平線に沈む夕日を眺める。
「まどか…俺と…」
牧くんの真剣なまなざしに、言いたいことが分かって、笑っておどけられそうにない私は、その先の言葉を遮った。
『その先は…まだ…聞きたくない…』
牧くんに惹かれている自分の気持ち、まだ認めたくない。
『今は…もうちょっとだけ…このまま、曖昧な関係でいさせて…』
ずるいのは、分かってる…
「もうちょっと…か…俺はこう見えて気が早い方なんでな…」
ふっと笑った牧くんの横顔に見惚れていると、ザーッという潮風と共に牧くんの温かな唇が私の唇に触れた。
***
2021.6.4.
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Inspired by 池/田政/典 「 NI/GHT OF SUM/MER SID/E」
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