アイノカタチ【仙道彰】
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今年のバレンタインデーこそ、絶対告白するんだ!
私は密かに意気込んでいた。
私が想いを寄せているのは、陵南高校で一番モテると言っても過言でない男、仙道彰。
背が高いイケメンで、バスケ部のエースだ。
1年、2年とも、同じクラスで、自然と仲良くなって、勉強を教えてあげたり他愛もないことを喋っているうちに、自然と惹かれていった。
臆病な私は、自分の気持ちを伝えるのが怖くて、ずっと片思い。
仙道くんが彼女を作らないことにも安心していた。
一度、どうして彼女を作らないのか聞いてみた事があるけれど、「バスケで大変でさ」ってへらっと笑って流されてしまった。
3年生も一緒のクラスになれることを期待してたけれど、隣のクラスになってしまった時の絶望感といったら…
それでも、仙道くんは、ちょくちょく教科書を借りに私のところに来てくれたりしていたから、ちょっとは期待してもいいかな~なんて思ったりもしたけど、私は気持ちを伝えられなかった。
最後の夏のインターハイで、初めて全国大会出場を果たし、さらに有名人になってしまった仙道くんが遠くなってしまったようで尚更告白出来なかった。
そうこうしているうちに時間が過ぎて、年が明け、最後のテストが終わって自由登校になった。
私は推薦で東京の大学に進路を決めていたし、仙道くんもバスケの推薦で大学を決めて、その大学の練習に何回か行っているようで、喋るどころか接点がほとんどなくなっていた。
バレンタインデー前の登校日。
私は、今日は思い切って仙道くんに話しかけなくちゃと思っていた時、
「まどかちゃーん!」
ホームルームが終わった教室に仙道くんがやってきた。
『どうしたの?』
「最近、全然会えてねぇなって思って、何となくさ」
へらっと笑う仙道彰にドキドキが止まらない。
いつ見てもかっこいいんだよな~と思いながら、私は意を決して伝えた。
『仙道くんさ、今度の日曜日、渡したいものあるんだけど、時間ある?』
「あ…月曜日に実家に引っ越しだから、引っ越し準備してるけど、大丈夫!」
『もう、引っ越しちゃうんだ…ちょっとだけ、時間いい?』
もうすぐ離れ離れになってしまうんだと悲しくなる。
「じゃあさ、まどかちゃん、家まで来てくれね?」
『邪魔じゃない?』
「いや、大丈夫。待ってるから!じゃ、また!」
そう言って、仙道くんは去っていった。
そういえば、仙道くんの家には、友達と何度か遊びに行っているから知ってるけれど、一人で行くのは初めてだ。
告白するには絶好のシチュエーションだけど、あの部屋で二人きりになって、ちゃんと告白できるのだろうかと不安になった。
バレンタインまでの数日、私はそわそわして過ごしたが、とうとう日曜日が来てしまった。
昨日は、想いを込めてチョコを作り、思いの丈を手紙につづった。
チョコレートは、定番だけど、私の愛を込めたハート型。
食べやすいように一口サイズにして、箱に詰めた。
ラッピングは、仙道くんのツンツン頭によく似たハリネズミ柄。
引っ越しで忙しいだろうし、万一その場で告白できなくても、チョコと手紙をその場で渡せれば、大丈夫だ。
昨夜は、緊張でよく眠れなかったけれど、精一杯のオシャレをして出かけた。
ピンポーン。
仙道くんの家のチャイムを鳴らせば、すぐに彼が出てきた。
「さぁ、入って」
『ううん。引っ越しで忙しいだろうから、ここで大丈夫』
「いや、こうしてゆっくりまどかと話せるのも最後かもしれねぇしさ」
『じゃあ、ちょっとだけ…』
仙道くんの部屋に入れば、いつもの雑然とした部屋と違い、段ボールが詰まれ、ベッドとテーブル、最低限のものが残され、がらんとしている。
いつもと違う雰囲気の部屋に仙道くんと二人きりというだけで、緊張して、言葉がでない。
少し悩んで、テーブルのところに腰を下ろした。
「何か緊張してる?」
いつものへらっとした笑顔の仙道くんは、私の向かいに座る。
私は、勇気をふり絞って、仙道くんにチョコを渡した。
『これ、今日バレンタインだから!』
「おっ!サンキュ」
軽く笑って受け取った仙道くんは、さっそく袋からチョコと手紙を取り出した。
やっぱり、告白の言葉は言えなかったけれど、仙道くんは、
「これ、今読んでいい?」
と聞いてきたので、私はすぐにでも逃げ出したい気持ちを抑えて、頷いた。
とうとう、私の気持ち伝わっちゃう…
手紙を読む仙道くんの顔を、私は緊張して見られなかった。
「…まいったな…」
手紙を読み終わったらしい仙道くんが呟くので、彼の顔を見ると、心なしか赤い顔をしてる仙道くんに、私の顔もかぁっと熱くなる。
このチャンス逃がしたくないけれど、返事を聞くのも怖くて、
『ねぇ…チョコ、食べて欲しいな…』
それだけ伝えた。
静かな部屋に包みを開ける音だけが、カサカサと響く。
「いただきます」
仙道くんの長い指が、私の作ったハート型のチョコを摘まんで、口に入れる。
チョコを食べるだけで、ものすごく絵になるなぁ…なんてぽーっと彼を見つめていると、
「はい、あーん」
彼の指に摘ままれたチョコが私の前に差し出された。
『えぇっ?』
「口、開けて…」
おずおずと口を開ければ、彼の指に摘ままれたハート型のチョコが私の口に入る。
自分で作ったチョコだけど、仙道くんの手から食べたチョコは何倍も甘くおいしく感じる。
『あまっ…』
うっとり目を閉じれば、いつの間にか隣にやってきた仙道くんに顎をとられた。
「なぁ…俺、今日、誕生日だから、まどかもくれねぇ?」
『え…誕生日なの?私をって…』
言い終わらないうちに、仙道くんの唇が私の唇に重なった。
初めてのキスはチョコの味だと味わう余裕もなく、唇が離れたと思ったら、服に手をかけられた。
『ちょっと…待って……私、好きの返事聞いてない…』
「やべ…嬉しすぎて、飛んじまった」
仙道くんの目は熱っぽく潤んで、より一層彼の色っぽさを引き立てる。
「まどか、俺、ずっと好きだった。だから、今、俺のものになって…」
いつも余裕でどこかのんびりとした仙道くんが、余裕のない表情で私を見つめている。
『うん。私もずっと好きだった。仙道くんのものにして…』
「彰って呼んでよ」
『彰、大好き』
再び唇を重ねる。
服の裾から、彰の手が入って、私の素肌に触れる。
あの綺麗な指が私の素肌に触れていると感じるだけで、ぞくりと快感が駆け抜ける。
ピンポーン。
「げっ……」
彰は、私の服を整えると、玄関に向かった。
「母さんさ…来るのはえーよ…」
文句を言う彰に私の身体が強張る。
私、恋人になったばかりで、お母様にご挨拶するの!?
ぎこちなく笑顔を作って、玄関を見ると、バチっと彰のお母さんと目が合った。
こうして私たちは、この日、仙道家公認の恋人同士になれたのだった。
***
2021.2.
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こぼれ話→アイノカタチ【仙道彰】
私は密かに意気込んでいた。
私が想いを寄せているのは、陵南高校で一番モテると言っても過言でない男、仙道彰。
背が高いイケメンで、バスケ部のエースだ。
1年、2年とも、同じクラスで、自然と仲良くなって、勉強を教えてあげたり他愛もないことを喋っているうちに、自然と惹かれていった。
臆病な私は、自分の気持ちを伝えるのが怖くて、ずっと片思い。
仙道くんが彼女を作らないことにも安心していた。
一度、どうして彼女を作らないのか聞いてみた事があるけれど、「バスケで大変でさ」ってへらっと笑って流されてしまった。
3年生も一緒のクラスになれることを期待してたけれど、隣のクラスになってしまった時の絶望感といったら…
それでも、仙道くんは、ちょくちょく教科書を借りに私のところに来てくれたりしていたから、ちょっとは期待してもいいかな~なんて思ったりもしたけど、私は気持ちを伝えられなかった。
最後の夏のインターハイで、初めて全国大会出場を果たし、さらに有名人になってしまった仙道くんが遠くなってしまったようで尚更告白出来なかった。
そうこうしているうちに時間が過ぎて、年が明け、最後のテストが終わって自由登校になった。
私は推薦で東京の大学に進路を決めていたし、仙道くんもバスケの推薦で大学を決めて、その大学の練習に何回か行っているようで、喋るどころか接点がほとんどなくなっていた。
バレンタインデー前の登校日。
私は、今日は思い切って仙道くんに話しかけなくちゃと思っていた時、
「まどかちゃーん!」
ホームルームが終わった教室に仙道くんがやってきた。
『どうしたの?』
「最近、全然会えてねぇなって思って、何となくさ」
へらっと笑う仙道彰にドキドキが止まらない。
いつ見てもかっこいいんだよな~と思いながら、私は意を決して伝えた。
『仙道くんさ、今度の日曜日、渡したいものあるんだけど、時間ある?』
「あ…月曜日に実家に引っ越しだから、引っ越し準備してるけど、大丈夫!」
『もう、引っ越しちゃうんだ…ちょっとだけ、時間いい?』
もうすぐ離れ離れになってしまうんだと悲しくなる。
「じゃあさ、まどかちゃん、家まで来てくれね?」
『邪魔じゃない?』
「いや、大丈夫。待ってるから!じゃ、また!」
そう言って、仙道くんは去っていった。
そういえば、仙道くんの家には、友達と何度か遊びに行っているから知ってるけれど、一人で行くのは初めてだ。
告白するには絶好のシチュエーションだけど、あの部屋で二人きりになって、ちゃんと告白できるのだろうかと不安になった。
バレンタインまでの数日、私はそわそわして過ごしたが、とうとう日曜日が来てしまった。
昨日は、想いを込めてチョコを作り、思いの丈を手紙につづった。
チョコレートは、定番だけど、私の愛を込めたハート型。
食べやすいように一口サイズにして、箱に詰めた。
ラッピングは、仙道くんのツンツン頭によく似たハリネズミ柄。
引っ越しで忙しいだろうし、万一その場で告白できなくても、チョコと手紙をその場で渡せれば、大丈夫だ。
昨夜は、緊張でよく眠れなかったけれど、精一杯のオシャレをして出かけた。
ピンポーン。
仙道くんの家のチャイムを鳴らせば、すぐに彼が出てきた。
「さぁ、入って」
『ううん。引っ越しで忙しいだろうから、ここで大丈夫』
「いや、こうしてゆっくりまどかと話せるのも最後かもしれねぇしさ」
『じゃあ、ちょっとだけ…』
仙道くんの部屋に入れば、いつもの雑然とした部屋と違い、段ボールが詰まれ、ベッドとテーブル、最低限のものが残され、がらんとしている。
いつもと違う雰囲気の部屋に仙道くんと二人きりというだけで、緊張して、言葉がでない。
少し悩んで、テーブルのところに腰を下ろした。
「何か緊張してる?」
いつものへらっとした笑顔の仙道くんは、私の向かいに座る。
私は、勇気をふり絞って、仙道くんにチョコを渡した。
『これ、今日バレンタインだから!』
「おっ!サンキュ」
軽く笑って受け取った仙道くんは、さっそく袋からチョコと手紙を取り出した。
やっぱり、告白の言葉は言えなかったけれど、仙道くんは、
「これ、今読んでいい?」
と聞いてきたので、私はすぐにでも逃げ出したい気持ちを抑えて、頷いた。
とうとう、私の気持ち伝わっちゃう…
手紙を読む仙道くんの顔を、私は緊張して見られなかった。
「…まいったな…」
手紙を読み終わったらしい仙道くんが呟くので、彼の顔を見ると、心なしか赤い顔をしてる仙道くんに、私の顔もかぁっと熱くなる。
このチャンス逃がしたくないけれど、返事を聞くのも怖くて、
『ねぇ…チョコ、食べて欲しいな…』
それだけ伝えた。
静かな部屋に包みを開ける音だけが、カサカサと響く。
「いただきます」
仙道くんの長い指が、私の作ったハート型のチョコを摘まんで、口に入れる。
チョコを食べるだけで、ものすごく絵になるなぁ…なんてぽーっと彼を見つめていると、
「はい、あーん」
彼の指に摘ままれたチョコが私の前に差し出された。
『えぇっ?』
「口、開けて…」
おずおずと口を開ければ、彼の指に摘ままれたハート型のチョコが私の口に入る。
自分で作ったチョコだけど、仙道くんの手から食べたチョコは何倍も甘くおいしく感じる。
『あまっ…』
うっとり目を閉じれば、いつの間にか隣にやってきた仙道くんに顎をとられた。
「なぁ…俺、今日、誕生日だから、まどかもくれねぇ?」
『え…誕生日なの?私をって…』
言い終わらないうちに、仙道くんの唇が私の唇に重なった。
初めてのキスはチョコの味だと味わう余裕もなく、唇が離れたと思ったら、服に手をかけられた。
『ちょっと…待って……私、好きの返事聞いてない…』
「やべ…嬉しすぎて、飛んじまった」
仙道くんの目は熱っぽく潤んで、より一層彼の色っぽさを引き立てる。
「まどか、俺、ずっと好きだった。だから、今、俺のものになって…」
いつも余裕でどこかのんびりとした仙道くんが、余裕のない表情で私を見つめている。
『うん。私もずっと好きだった。仙道くんのものにして…』
「彰って呼んでよ」
『彰、大好き』
再び唇を重ねる。
服の裾から、彰の手が入って、私の素肌に触れる。
あの綺麗な指が私の素肌に触れていると感じるだけで、ぞくりと快感が駆け抜ける。
ピンポーン。
「げっ……」
彰は、私の服を整えると、玄関に向かった。
「母さんさ…来るのはえーよ…」
文句を言う彰に私の身体が強張る。
私、恋人になったばかりで、お母様にご挨拶するの!?
ぎこちなく笑顔を作って、玄関を見ると、バチっと彰のお母さんと目が合った。
こうして私たちは、この日、仙道家公認の恋人同士になれたのだった。
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2021.2.
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