Emulsification【森重寛】
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雨の中を我が家へと急ぐが、私は駆け足でも、彼はゆったりと歩いても十分私に追い付いけるようで、のしのしと私の後に続いた。
『ここです。どうぞ』
びしょ濡れになった彼に、私は玄関入ってすぐのバスルームからタオルをとって渡した。
自身もタオルでざっと濡れた髪や体をぬぐい、お風呂にお湯を張った。
『お風呂、先にどうぞ。濡れたものも洗濯しますから、脱衣所の洗濯機に入れてください』
「うい。悪ぃな…」
そう言って、スポーツバッグを持ったままお風呂に向かった。
改めて見ると、かなり大きい彼は、お風呂場へと続くドアにも腰を屈めて入らないとぶつかりそうだ。
彼がお風呂場に入ったのを確認すると、私は急いで濡れた服を脱ぎ、部屋着に着替えた。
洗濯機を回すため 、さっと脱衣所に入って洗濯機をセットした。
扉一枚隔てた向こうに名前も知らない男が裸でいる…そう考えるだけで落ち着かない私は、そそくさと脱衣所を後にし、お客さん用の布団を出した。
そして、ワンルームの狭い部屋にベッドからなるべく離れるように布団を敷いた。
思ったより早くお風呂を出た彼に、お茶をだして、お風呂に入った。
いつもならのんびりと湯船に浸かるが、今日は、さっとすませる。
お風呂を出ると同時に洗濯が終了し、私は浴室乾燥機のスイッチをいれて、洗濯を干した。
自分のものと明らかに違う大きさのジャージにズボン…
そして……パンツ…
父親のパンツですら干したことのない私は、彼のボクサーパンツにどぎまぎしてしまうが、えいっと干した。
そして彼のいる部屋へと向かった。
『先に寝てても大丈夫だったんですが…』
「さすがに悪ぃ…」
くわっと眠そうにあくびする彼は、かなり眠そうだ。
『電気、消しますね…』
消すと同時に、また一際大きい雷が鳴った。
『きゃあ!』
思わず、近くにいた彼にしがみついてしまった。
「なぁ…誘ってんのか?」
その彼の言葉の意味が分からず、
『どういう…』
ことですか?という言葉は続けることが出来なかった。
彼の唇に塞がれたと分かったのは、少し経ってから…
『んっ…く…』
私、名前も知らない男の人とキスしてる…
軽く触れるキスではなく、深く絡みつくようなキスに私は苦しくて頭の中がぼーっとしてくる。
頭が混乱し、抵抗することもできないでいると、同意したと思われたのだろう。
キスされたまま、服の裾から、大きな手が素肌に触れた。
背中を撫でるその手が、段々と上に上がり、肩甲骨あたりまで辿り着くと、唇が離れた。
『下着…着けてないのか…』
やっとキスから解放されたと安心する間もなく、いつもお風呂上がりの癖でブラをしていないことに気付く。
『やぁ…』
彼の手が胸に触れ、私は初めての感覚に体をこわばらせた。
これから、起こるであろうことへの恐怖でからだが震える。
「おい…まさか…初めてなのか?」
私は、涙を浮かべてコクコクと頷くことしか出来なかった。
「悪かった…」
そう言うと、彼の身体が離れ、明かりが点される。
「じゃあな」
部屋を出ていこうとする彼のTシャツの裾を思わず掴んだ。
「続き、すんのか?」
『ちがっ…そういうつもりじゃ…でも…外、雷だし、朝まで…いて欲しい…です…』
「変な奴…」
しどろもどろの私に、ふっと微笑んだ気がしたのは気のせいだろうか?
すぐに元の無愛想な表情に戻った彼は、私をベッドに入るよう促した。
「朝までいてやるから、寝ろ。んで、さっきのこと、忘れろ」
『はい…あの、名前…』
「一晩だけの男の名前なんて、知らねぇ方がいい」
そう言われると、それ以上は聞けなかった。
私がベッドに入ると、彼が明かりを消してくれた。
彼が布団に入ったのを確認し、目を閉じる。
いつの間にか雷は止み、ザーザーと降りつける雨音だけが部屋に響く。
眠れない…と思っていたのに、私はいつの間にか眠りに落ちていた。
朝、目覚めて携帯を確認すると、もう10時を回っていた。
ぐっすり眠れて、目覚めもいい。
でも…何か大事なこと、忘れてる。
ガバッと起き上がり、部屋を見回すと、畳まれたお客さん用の布団とメモ。
あっ…あの大男…
ベッドから降りて、メモを確認すると、
【鍵、ドアポストにいれとく】
とだけ書かれていた。
いつの間にか彼は帰ってしまったらしい。
浴室を確認すると、彼の洗濯物も無くなっている。
急に寂しさに襲われる。
もう彼に会うこともないのかな…
鍵を回収しに玄関に向かうと、下駄箱の上に彼のキャップが忘れられていた。
私はそのキャップにそっと触れる。
…もう一度、会いたい。
胸が苦しくなるほどにその感情に私は支配された。
『ここです。どうぞ』
びしょ濡れになった彼に、私は玄関入ってすぐのバスルームからタオルをとって渡した。
自身もタオルでざっと濡れた髪や体をぬぐい、お風呂にお湯を張った。
『お風呂、先にどうぞ。濡れたものも洗濯しますから、脱衣所の洗濯機に入れてください』
「うい。悪ぃな…」
そう言って、スポーツバッグを持ったままお風呂に向かった。
改めて見ると、かなり大きい彼は、お風呂場へと続くドアにも腰を屈めて入らないとぶつかりそうだ。
彼がお風呂場に入ったのを確認すると、私は急いで濡れた服を脱ぎ、部屋着に着替えた。
洗濯機を回すため 、さっと脱衣所に入って洗濯機をセットした。
扉一枚隔てた向こうに名前も知らない男が裸でいる…そう考えるだけで落ち着かない私は、そそくさと脱衣所を後にし、お客さん用の布団を出した。
そして、ワンルームの狭い部屋にベッドからなるべく離れるように布団を敷いた。
思ったより早くお風呂を出た彼に、お茶をだして、お風呂に入った。
いつもならのんびりと湯船に浸かるが、今日は、さっとすませる。
お風呂を出ると同時に洗濯が終了し、私は浴室乾燥機のスイッチをいれて、洗濯を干した。
自分のものと明らかに違う大きさのジャージにズボン…
そして……パンツ…
父親のパンツですら干したことのない私は、彼のボクサーパンツにどぎまぎしてしまうが、えいっと干した。
そして彼のいる部屋へと向かった。
『先に寝てても大丈夫だったんですが…』
「さすがに悪ぃ…」
くわっと眠そうにあくびする彼は、かなり眠そうだ。
『電気、消しますね…』
消すと同時に、また一際大きい雷が鳴った。
『きゃあ!』
思わず、近くにいた彼にしがみついてしまった。
「なぁ…誘ってんのか?」
その彼の言葉の意味が分からず、
『どういう…』
ことですか?という言葉は続けることが出来なかった。
彼の唇に塞がれたと分かったのは、少し経ってから…
『んっ…く…』
私、名前も知らない男の人とキスしてる…
軽く触れるキスではなく、深く絡みつくようなキスに私は苦しくて頭の中がぼーっとしてくる。
頭が混乱し、抵抗することもできないでいると、同意したと思われたのだろう。
キスされたまま、服の裾から、大きな手が素肌に触れた。
背中を撫でるその手が、段々と上に上がり、肩甲骨あたりまで辿り着くと、唇が離れた。
『下着…着けてないのか…』
やっとキスから解放されたと安心する間もなく、いつもお風呂上がりの癖でブラをしていないことに気付く。
『やぁ…』
彼の手が胸に触れ、私は初めての感覚に体をこわばらせた。
これから、起こるであろうことへの恐怖でからだが震える。
「おい…まさか…初めてなのか?」
私は、涙を浮かべてコクコクと頷くことしか出来なかった。
「悪かった…」
そう言うと、彼の身体が離れ、明かりが点される。
「じゃあな」
部屋を出ていこうとする彼のTシャツの裾を思わず掴んだ。
「続き、すんのか?」
『ちがっ…そういうつもりじゃ…でも…外、雷だし、朝まで…いて欲しい…です…』
「変な奴…」
しどろもどろの私に、ふっと微笑んだ気がしたのは気のせいだろうか?
すぐに元の無愛想な表情に戻った彼は、私をベッドに入るよう促した。
「朝までいてやるから、寝ろ。んで、さっきのこと、忘れろ」
『はい…あの、名前…』
「一晩だけの男の名前なんて、知らねぇ方がいい」
そう言われると、それ以上は聞けなかった。
私がベッドに入ると、彼が明かりを消してくれた。
彼が布団に入ったのを確認し、目を閉じる。
いつの間にか雷は止み、ザーザーと降りつける雨音だけが部屋に響く。
眠れない…と思っていたのに、私はいつの間にか眠りに落ちていた。
朝、目覚めて携帯を確認すると、もう10時を回っていた。
ぐっすり眠れて、目覚めもいい。
でも…何か大事なこと、忘れてる。
ガバッと起き上がり、部屋を見回すと、畳まれたお客さん用の布団とメモ。
あっ…あの大男…
ベッドから降りて、メモを確認すると、
【鍵、ドアポストにいれとく】
とだけ書かれていた。
いつの間にか彼は帰ってしまったらしい。
浴室を確認すると、彼の洗濯物も無くなっている。
急に寂しさに襲われる。
もう彼に会うこともないのかな…
鍵を回収しに玄関に向かうと、下駄箱の上に彼のキャップが忘れられていた。
私はそのキャップにそっと触れる。
…もう一度、会いたい。
胸が苦しくなるほどにその感情に私は支配された。