Christmas Costume【南 烈】

ピンポーン。

モニターに映るのは、サンタクロース…

じゃなくて、サンタの格好をした実理くんと友人…

相変わらず、イベント大好きな二人らしいけど、あの格好で、ここまで来たのかな。

定番のフライドチキンとサラダなんかを買って来てくれた。


烈は、ケーキとお酒を買いに行ってまだ戻ってきていない。

テーブルに料理を並べていると、実理くんが、

「南おらへんの、ちょうどええやん。サプライズやろうや!」

二人は、私の分までサンタの衣装を準備していたらしく、手渡された。

『これ…スカート短くない?』

「南、絶対こういうん好きやで!」

「私も着てみたんだけど、ここまで着てくるには寒くてさ!それに椿の方がスタイルいいし、絶対似合うって!」

『そうかな…』

「「絶対に似合うって!」」

二人に力説され、いつもなら、絶対に断るんだけど…

今日はクリスマスだし、烈が好きだと聞いて、たまにはいいかもと、ちょっといたずら心で、サンタになることにした。



ピンポーン。

「おっ!帰ってきたで!」

「椿、出迎えて!!」

二人に押されて、玄関に向かう。

ちょっと死角になるところに隠れた二人は、烈の反応をこっそり盗み見るつもりなのだろう。


玄関横の鏡で、変なところはないかチェックする。
ご丁寧に、サンタの帽子まで被らされて、いつもより、ちょっと濃い目に化粧も直した。

生足ミニスカートなんて、高校生ぶりだ。
ストッキング、履けばよかったかな…
気持ち胸元も開いてるし、やっぱり恥ずかしいな…

そんなことを考えていると、

ピンポーン。

再びインターホンを鳴らされた。


意を決して、

『おかえり~』

といつもの調子で出迎えた。

「岸本たち、もう来た……」

バチっと目が合うと、烈は固まった。

「おま……それ……」

大きい目がさらに見開かれ、驚いているようだ。

『似合わない…かな…』

あまりにまじまじ見られるので、照れてしまう。

突然、烈は靴を脱いで、荷物をその場に置き、私の手を引いて部屋の奥へと歩き出した。

「南、椿ちゃん、ええやろ?」

にやにやする実理くん達に

「玄関の荷物、頼むわ」

そう言って、寝室へと連れていかれた。

バタンとドアが閉められると同時に、抱きしめられた。

『…つよ…し、どうした…の?』

あまりに真剣な烈の表情に、私は戸惑う。

「それ、あかんわ…」

そういうと、いきなりキスされた。

『ちょっと…烈!』

「椿がかわいすぎて、我慢できへん…」

そうして、いきなり押し倒された。



ドンドンドン!



「まだ明るいうちから、あかんで!」

実理くんの声が響いた。

ちっと烈は舌打ちすると、私から身体を離した。


『これ、着替えた方がいいかな?』

「いや、夜までそのままでおってや」

烈は、名残惜しそうに、軽いキスをして、私たちはリビングへと向かった。



「南、椿ちゃんの衣装、ほんまにええやろ?たまには感謝してな!」

「おー。岸本にしては気が利いとんな」

珍しくにやりと実理くんに感謝している烈を見て、私は恥ずかしくなった。

『実理くん、烈にはなんか衣装ないの?一人だけ私服じゃあさ…』

「せやった。あるで!ほら!」

実理くんはトナカイの着ぐるみを取り出し、烈に渡した。

「これ…着るんかいな…」

「「『当たり前!』」」

三人の声がそろう。


背の高い烈には、ちんちくりんなトナカイの衣装に大笑いしながら、クリスマスの夜は更けていった。



***
こぼれ話→Christmas Costume【南 烈】
2/3ページ
スキ