Christmas Costume【南 烈】
「椿、ほんっまにかわええなぁ…」
ベッドの中で私の顔を見つめ、うっとりした顔でつぶやく彼氏、南烈。
朝8時の寝起きの顔が、そんなにかわいいとは思えない。
髪の毛もぼさぼさだし、目やにだってついてるかもしれないし…
『そんなにじっと見られると、穴開くからやめて…』
烈は、普段クールなくせに、私の前ではベタベタで、甘い言葉を恥ずかしげもなく言う。
もちろん、好きな相手に言われて、嬉しくない訳ではないが、うっとうしく感じるときもあるわけで…
「穴?開いてもかわええから、大丈夫や…こっちの穴は…」
そういって、烈は下半身に手を伸ばしてくる。
『だめ!』
ぴしゃりと手をたたけば、烈はしゅんと悲しそうな顔をして、手を引っ込めた。
あっ…ちょっとかわいそうなことしちゃったかな。
『また、夜にね!』
「ほんまか!?俺、めっちゃがんばるわ!」
がばっと布団から起き上がり、今にも踊りだしそうだ。
いや…昨日の夜もシタのに、その喜びようは異常でしょ…
寝起きの頭が段々クリアになってきて、私は思い出した。
『あっ…今日は、実理くんたち来る日でしょ?』
「げっ…せやった。クリパやっけ?ほんま、岸本はイベント好きやなぁ…」
そんな言葉を聞いて、私は烈との出会いを思い出した。
私の友人と烈の友人の実理くんが付き合い始めて、その二人が、私と烈をくっつけようとして、私たちは出会った。
何でも、実理くんはダブルデートにあこがれていた…らしい。
そんなしょうもない理由で出会わされた私たちの第一印象は、お互い、あまりいいものではなかった。
二人に引き合わされた飲み会の席での烈は、無愛想な男だった。
話に「おん…」と相槌をうつだけで、気怠そうにビールを傾けている烈は、不機嫌そのもの。
私も、友人達のいい男紹介すると付き合わされる合コンやこういった飲み会に辟易しており、愛想笑いで早く終わらないかと思っていた。
少々空回り気味のバカップル二人を幸せそうで何よりと、ちょっと冷めた目で見た後、向かいに座る烈を見ると、同じ気持ちだったのか、バチっと目が合った。
お互い、ちょっと気まずくなって、目線を落として、ビールに口を付けた。
「それでは、後は若いお二人で…」
今どき、お見合いでも言わないであろう言葉を実理くんが言い、二人で、にやにやしながら去っていった。
取り残された私たちは、お互い顔を見合わせ、ため息をついた。
『はぁ…なんか疲れた。無理やり付き合わされたんですよね?』
「まぁ…いつものことや…」
そう言って、二人とも残っていたビールを飲み干した。
『あの…』「なぁ…」
二人同時に声をだした。
『あ…どうぞ』
「いや、そっちが先に…」
思わず顔を見合わせて笑う。
『ふふふっ。南さん、笑うんですね』
「おー、芹沢さん、笑うとかわええやん」
かわいいなんて言われて、思わず赤面してしまい、ビールを飲もうとするが、空っぽだ。
『もう一杯。どうですか?』
「せやな」
そう言って、もう少し飲むことになった。
結局、私たちは終電近くまで飲んでしまった。
最初の印象とは変わって、意外と良く笑う烈のことをいいなって思うのに時間はかからなかった。
それでも、烈も私も強引な実理くん達バカップルの思い通りにはしたくなくて、数か月、ずるずると友達以上恋人未満な関係を続けていた。
4人で会う時には必ず、
「おまえら、まだ付き合うてへんの?」
そう実理くんに言われた。
会えば会うほどに相性の良さを実感していた私たちだが、その質問に、
『「バカップルの思い通りにはいきません!」』
そう突っぱねていた。
その頃には、しょっちゅう2人で会っていたのに、変なところで意地っ張りになっていた。
「芹沢椿さん、好きです。俺と付き合うてください」
烈に告白されたのは、彼の部屋。
お互いの部屋に行くような仲になっても、一線を越えることはなかった。
お互いを好きだというのは分かりきったことだったのに友達のまま…
いい加減、このままの関係は嫌だと思っていたので、烈が言ってくれた好きという言葉に、私にはうなずく以外の選択肢はなかった。
初めて肌を合わせた時には、もう離れられないと感じるほどに烈との相性は良かった。
友人達の前で見せるそっけない態度とは裏腹に、二人きりの時の烈は、甘い言葉をささやき、べたべたとくっついてくる。
お互い一人暮らしをしていたが、どうしてもと言ってきかない烈と同棲することになった。
きちんと私の親に挨拶し、筋を通した上での同棲。
あんなに無下にしていた実理くんカップルに、同棲すると知られた時には、
「あんなに嫌がってたのに、ラブラブやんけ!」
と驚くを通り越して、あきれられた。
まぁ、何かにつけて、実理くんカップルに我が家に入り浸られるようになってしまったのだけど…
ベッドの中で私の顔を見つめ、うっとりした顔でつぶやく彼氏、南烈。
朝8時の寝起きの顔が、そんなにかわいいとは思えない。
髪の毛もぼさぼさだし、目やにだってついてるかもしれないし…
『そんなにじっと見られると、穴開くからやめて…』
烈は、普段クールなくせに、私の前ではベタベタで、甘い言葉を恥ずかしげもなく言う。
もちろん、好きな相手に言われて、嬉しくない訳ではないが、うっとうしく感じるときもあるわけで…
「穴?開いてもかわええから、大丈夫や…こっちの穴は…」
そういって、烈は下半身に手を伸ばしてくる。
『だめ!』
ぴしゃりと手をたたけば、烈はしゅんと悲しそうな顔をして、手を引っ込めた。
あっ…ちょっとかわいそうなことしちゃったかな。
『また、夜にね!』
「ほんまか!?俺、めっちゃがんばるわ!」
がばっと布団から起き上がり、今にも踊りだしそうだ。
いや…昨日の夜もシタのに、その喜びようは異常でしょ…
寝起きの頭が段々クリアになってきて、私は思い出した。
『あっ…今日は、実理くんたち来る日でしょ?』
「げっ…せやった。クリパやっけ?ほんま、岸本はイベント好きやなぁ…」
そんな言葉を聞いて、私は烈との出会いを思い出した。
私の友人と烈の友人の実理くんが付き合い始めて、その二人が、私と烈をくっつけようとして、私たちは出会った。
何でも、実理くんはダブルデートにあこがれていた…らしい。
そんなしょうもない理由で出会わされた私たちの第一印象は、お互い、あまりいいものではなかった。
二人に引き合わされた飲み会の席での烈は、無愛想な男だった。
話に「おん…」と相槌をうつだけで、気怠そうにビールを傾けている烈は、不機嫌そのもの。
私も、友人達のいい男紹介すると付き合わされる合コンやこういった飲み会に辟易しており、愛想笑いで早く終わらないかと思っていた。
少々空回り気味のバカップル二人を幸せそうで何よりと、ちょっと冷めた目で見た後、向かいに座る烈を見ると、同じ気持ちだったのか、バチっと目が合った。
お互い、ちょっと気まずくなって、目線を落として、ビールに口を付けた。
「それでは、後は若いお二人で…」
今どき、お見合いでも言わないであろう言葉を実理くんが言い、二人で、にやにやしながら去っていった。
取り残された私たちは、お互い顔を見合わせ、ため息をついた。
『はぁ…なんか疲れた。無理やり付き合わされたんですよね?』
「まぁ…いつものことや…」
そう言って、二人とも残っていたビールを飲み干した。
『あの…』「なぁ…」
二人同時に声をだした。
『あ…どうぞ』
「いや、そっちが先に…」
思わず顔を見合わせて笑う。
『ふふふっ。南さん、笑うんですね』
「おー、芹沢さん、笑うとかわええやん」
かわいいなんて言われて、思わず赤面してしまい、ビールを飲もうとするが、空っぽだ。
『もう一杯。どうですか?』
「せやな」
そう言って、もう少し飲むことになった。
結局、私たちは終電近くまで飲んでしまった。
最初の印象とは変わって、意外と良く笑う烈のことをいいなって思うのに時間はかからなかった。
それでも、烈も私も強引な実理くん達バカップルの思い通りにはしたくなくて、数か月、ずるずると友達以上恋人未満な関係を続けていた。
4人で会う時には必ず、
「おまえら、まだ付き合うてへんの?」
そう実理くんに言われた。
会えば会うほどに相性の良さを実感していた私たちだが、その質問に、
『「バカップルの思い通りにはいきません!」』
そう突っぱねていた。
その頃には、しょっちゅう2人で会っていたのに、変なところで意地っ張りになっていた。
「芹沢椿さん、好きです。俺と付き合うてください」
烈に告白されたのは、彼の部屋。
お互いの部屋に行くような仲になっても、一線を越えることはなかった。
お互いを好きだというのは分かりきったことだったのに友達のまま…
いい加減、このままの関係は嫌だと思っていたので、烈が言ってくれた好きという言葉に、私にはうなずく以外の選択肢はなかった。
初めて肌を合わせた時には、もう離れられないと感じるほどに烈との相性は良かった。
友人達の前で見せるそっけない態度とは裏腹に、二人きりの時の烈は、甘い言葉をささやき、べたべたとくっついてくる。
お互い一人暮らしをしていたが、どうしてもと言ってきかない烈と同棲することになった。
きちんと私の親に挨拶し、筋を通した上での同棲。
あんなに無下にしていた実理くんカップルに、同棲すると知られた時には、
「あんなに嫌がってたのに、ラブラブやんけ!」
と驚くを通り越して、あきれられた。
まぁ、何かにつけて、実理くんカップルに我が家に入り浸られるようになってしまったのだけど…
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