Liquor Shop【越野宏明】
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高校時代、オレはバスケに一生懸命すぎた。
オレの青春、そのことは微塵も後悔していない。
3年生の夏、俺たち陵南高校バスケットボール部は全国大会初出場を果たし、全国4位まで上り詰めた。
もちろん、冬の選抜までオレは残り、高校時代はバスケ一色だった。
勉強の方は…察してください。
副キャプテンとして、チームを引っ張ったにもかかわらず、学力がちょいとばかり足りないせいで、大学の推薦入試に落ち、一般入試に落ち…
一浪した今年も、志望大学に落ちた。
二浪するにしても、いつまでも親の脛をかじるのも限界があり、おやじの酒屋をてつだいながら、将来を考えることになった。
「ちゅーっす。酒屋です」
免許を取って、軽トラで得意先に配達するのも大分慣れてきた。
勉強するより、こうやって身体を動かす仕事をしていた方が楽しい。
大学はあきらめて、就職するかと2浪目の夏には心を決めていた。
大好きなバスケは、OBとして顔を出したり、最近知った3on3の社会人のサークルでやることにした。
『はーい』
と奥から出てきたのは、久しぶりに会う幼馴染の亜希だった。
『あれ?ヒロ君…だよね?久しぶり!』
「もしかして、亜希?女っぽくなったじゃん!親父さんは?」
『実は…入院中』
「げっ?まじか?先週来たときは元気そうだったのに」
『それがさ……孫と遊んでたら、アキレス腱切って…』
「ぶはっ!親父さん、若いな」
『本当に恥ずかしいよ。しばらくはお店手伝わなくちゃで、やになっちゃう』
「亜希は大学?」
『ううん。短大。今、就活中なのに店の手伝いってキツイよ。ヒロ君は?』
「浪人生…つうか大学あきらめて就職するつもり」
「あははっ。確かにヒロ君が大学って似合わないよ」
「ひでーな!こう見えて、高校ではバスケ部で全国4位!推薦狙ってたけど、学力が…な…」
『バスケ?そういえば、中学からバスケ部だったもんね。相変わらず勉強しなかったんだねぇ…』
「うるせー。やべっ!もうこんな時間。夜、店手伝いに来てやるよ!じゃあな!」
久しぶりなのに昔と変わらず、心地よいテンポでかわす会話が楽しくてついつい長居をしてしまった。
夕方までに配達を終わらせないと親父にどやされちまう。
亜希とは、同じ商店街に店を構える親父同士が仲が良く、幼いころから、お互いの家を行き来していた。
小学生のころまでは、よく遊んでいたが、中学に入るとお互い忙しく喋るどころか会うこともほとんどなくなり、疎遠になっていた。
久しぶりにあって、女っぽくなった亜希に正直ドキリとした。
もっとゆっくり話したいという下心もあって、店を手伝いに行くと言ってしまった。
どうせ夜は暇だし。
「うっす」
酒屋の手伝いを終えた俺は、亜希の親父さんの居酒屋に顔を出した。
『ヒロ君、ありがとう。忙しいのにごめんね』
「ヒロ君、助かるわ!後でバイト代も出すからね!」
お袋さんにもお礼を言われたら、悪い気はしない。
オーダーされた酒を作るのはお手の物だ。
『ヒロ君、私よりビール注ぐの上手いかも。さすが酒屋の息子だね!』
「あったりめーだ!」
そんな息の合ったやり取りをしながら、手伝いをしていると、
「あれっ?ヒロ君と亜希ちゃん、いつの間に結婚したの?昔から仲良しだったもんなぁ~」
なんて、近所の爺さんが言うもんだから、オレは思わず顔が熱くなった。
『おっちゃん、変なこと言わないでよ!』
「飲みすぎじゃねーっすか?」
亜希と顔を見合わせて、ちょっと気まずくなって笑った。
その日は結構忙しく、オレは閉店まで店を手伝った。
「ヒロ君、ありがとね。私はまた明日朝イチでお見舞い行くから、家帰るわ。亜希、ヒロ君に何かご馳走してあげて!」
『了解!』
そう会話すると、亜希のおふくろさんは家へと帰っていった。
『ヒロ君、本当に助かったよ!ありがとう。ビール、飲む?』
「おっ、サンキュ。亜希も、お疲れさん」
二人で、お通しの残り物をつまみに乾杯した。
『なんか、ヒロ君とお酒飲むって不思議な感じ』
「オレも。ついこの間まで高校生だったと思ったら、もう酒飲める年齢だもんな」
亜希は、ポニーテールに結わえていた髪をほどいて、ビールを飲んだ。
妙に色っぽいしぐさに、オレは胸のドキドキを隠すようにビールをあおる。
「そういやぁ、亜希は彼氏とかいねーの?」
『残念ながら、1年前に別れたきり。そういうヒロ君は?』
「オレは、全然。高校の時に、仙道っつうイケメンがいて、そいつばっかりモテて、オレはいつもあいつの世話係。ラブレターを渡してってしょっちゅう頼まれてたしよ」
愚痴っぽい話に、亜希は面白そうに笑って、
『ヒロ君っぽい話じゃん。はぁ~いい人いないかな』
「俺なんてどう?」
オレは、ビールで気分がよくなって、思い切って聞いてみた。
『えっ…ヒロ君と…』
亜希を見ると真っ赤な顔をして、ビールを飲んだ。
「オレ、久しぶりに亜希と会って、めっちゃきれいになってて、好きになっちまったって言うか…」
幼馴染に告白するのは、めちゃくちゃ恥ずかしい。オレも、顔が赤くなる。
『ヒロ君、顔真っ赤!』
「おまえもだぞ!」
そう言って、笑いあった。
「あのよ…真面目に付き合って欲しいと思ってるんだけど…」
『うん。いいよ』
「へっ?いいのか!?」
思わず変な声が出てしまう。
『よろしくね!ひろあき』
「…ごほ!…うげほっ!」
名前を呼び捨てにされて、ビールが気管に入ってむせた。
『あははっ!照れちゃってさ!』
亜希は大笑いした。
オレの青春、そのことは微塵も後悔していない。
3年生の夏、俺たち陵南高校バスケットボール部は全国大会初出場を果たし、全国4位まで上り詰めた。
もちろん、冬の選抜までオレは残り、高校時代はバスケ一色だった。
勉強の方は…察してください。
副キャプテンとして、チームを引っ張ったにもかかわらず、学力がちょいとばかり足りないせいで、大学の推薦入試に落ち、一般入試に落ち…
一浪した今年も、志望大学に落ちた。
二浪するにしても、いつまでも親の脛をかじるのも限界があり、おやじの酒屋をてつだいながら、将来を考えることになった。
「ちゅーっす。酒屋です」
免許を取って、軽トラで得意先に配達するのも大分慣れてきた。
勉強するより、こうやって身体を動かす仕事をしていた方が楽しい。
大学はあきらめて、就職するかと2浪目の夏には心を決めていた。
大好きなバスケは、OBとして顔を出したり、最近知った3on3の社会人のサークルでやることにした。
『はーい』
と奥から出てきたのは、久しぶりに会う幼馴染の亜希だった。
『あれ?ヒロ君…だよね?久しぶり!』
「もしかして、亜希?女っぽくなったじゃん!親父さんは?」
『実は…入院中』
「げっ?まじか?先週来たときは元気そうだったのに」
『それがさ……孫と遊んでたら、アキレス腱切って…』
「ぶはっ!親父さん、若いな」
『本当に恥ずかしいよ。しばらくはお店手伝わなくちゃで、やになっちゃう』
「亜希は大学?」
『ううん。短大。今、就活中なのに店の手伝いってキツイよ。ヒロ君は?』
「浪人生…つうか大学あきらめて就職するつもり」
「あははっ。確かにヒロ君が大学って似合わないよ」
「ひでーな!こう見えて、高校ではバスケ部で全国4位!推薦狙ってたけど、学力が…な…」
『バスケ?そういえば、中学からバスケ部だったもんね。相変わらず勉強しなかったんだねぇ…』
「うるせー。やべっ!もうこんな時間。夜、店手伝いに来てやるよ!じゃあな!」
久しぶりなのに昔と変わらず、心地よいテンポでかわす会話が楽しくてついつい長居をしてしまった。
夕方までに配達を終わらせないと親父にどやされちまう。
亜希とは、同じ商店街に店を構える親父同士が仲が良く、幼いころから、お互いの家を行き来していた。
小学生のころまでは、よく遊んでいたが、中学に入るとお互い忙しく喋るどころか会うこともほとんどなくなり、疎遠になっていた。
久しぶりにあって、女っぽくなった亜希に正直ドキリとした。
もっとゆっくり話したいという下心もあって、店を手伝いに行くと言ってしまった。
どうせ夜は暇だし。
「うっす」
酒屋の手伝いを終えた俺は、亜希の親父さんの居酒屋に顔を出した。
『ヒロ君、ありがとう。忙しいのにごめんね』
「ヒロ君、助かるわ!後でバイト代も出すからね!」
お袋さんにもお礼を言われたら、悪い気はしない。
オーダーされた酒を作るのはお手の物だ。
『ヒロ君、私よりビール注ぐの上手いかも。さすが酒屋の息子だね!』
「あったりめーだ!」
そんな息の合ったやり取りをしながら、手伝いをしていると、
「あれっ?ヒロ君と亜希ちゃん、いつの間に結婚したの?昔から仲良しだったもんなぁ~」
なんて、近所の爺さんが言うもんだから、オレは思わず顔が熱くなった。
『おっちゃん、変なこと言わないでよ!』
「飲みすぎじゃねーっすか?」
亜希と顔を見合わせて、ちょっと気まずくなって笑った。
その日は結構忙しく、オレは閉店まで店を手伝った。
「ヒロ君、ありがとね。私はまた明日朝イチでお見舞い行くから、家帰るわ。亜希、ヒロ君に何かご馳走してあげて!」
『了解!』
そう会話すると、亜希のおふくろさんは家へと帰っていった。
『ヒロ君、本当に助かったよ!ありがとう。ビール、飲む?』
「おっ、サンキュ。亜希も、お疲れさん」
二人で、お通しの残り物をつまみに乾杯した。
『なんか、ヒロ君とお酒飲むって不思議な感じ』
「オレも。ついこの間まで高校生だったと思ったら、もう酒飲める年齢だもんな」
亜希は、ポニーテールに結わえていた髪をほどいて、ビールを飲んだ。
妙に色っぽいしぐさに、オレは胸のドキドキを隠すようにビールをあおる。
「そういやぁ、亜希は彼氏とかいねーの?」
『残念ながら、1年前に別れたきり。そういうヒロ君は?』
「オレは、全然。高校の時に、仙道っつうイケメンがいて、そいつばっかりモテて、オレはいつもあいつの世話係。ラブレターを渡してってしょっちゅう頼まれてたしよ」
愚痴っぽい話に、亜希は面白そうに笑って、
『ヒロ君っぽい話じゃん。はぁ~いい人いないかな』
「俺なんてどう?」
オレは、ビールで気分がよくなって、思い切って聞いてみた。
『えっ…ヒロ君と…』
亜希を見ると真っ赤な顔をして、ビールを飲んだ。
「オレ、久しぶりに亜希と会って、めっちゃきれいになってて、好きになっちまったって言うか…」
幼馴染に告白するのは、めちゃくちゃ恥ずかしい。オレも、顔が赤くなる。
『ヒロ君、顔真っ赤!』
「おまえもだぞ!」
そう言って、笑いあった。
「あのよ…真面目に付き合って欲しいと思ってるんだけど…」
『うん。いいよ』
「へっ?いいのか!?」
思わず変な声が出てしまう。
『よろしくね!ひろあき』
「…ごほ!…うげほっ!」
名前を呼び捨てにされて、ビールが気管に入ってむせた。
『あははっ!照れちゃってさ!』
亜希は大笑いした。
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