メガネ男子【木暮公延】
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『うぅ…』
低気圧が近づいていることに加えて、月に一度のあの日だからなのか頭がずきずき痛む。
午前は、比較的大丈夫だったのに…
こめかみを押して、痛みを和らげようとするが、さほど効果はなさそうだ。
講義の残り時間は、30分ほど。
大部屋の講義で、注意されることもないだろうと机に突っ伏して寝てやり過ごすことにした。
「ねぇ、大丈夫?」
とんとんと肩をたたかれ、目を覚ますと、見たことない男の子が心配そうに私の顔を覗き込んだ。
優しそうな眼鏡をかけた彼の顔が近くて驚いて、パッと顔をあげると、
『った…』
頭の痛みがぶり返し、思わず声が漏れる。
「体調悪い?」
なおも優しく聞いてくれる彼に
『だ…大丈夫。ありがと』
そう返して、立ち上がろうとするが、少しふらついてしまう。
「大丈夫そうじゃないよ。次の講義は?」
『ない…』
「医務室、一緒に行こうか?」
さすがにそれは悪いと断ろうとするが、
「…無理しないで。辛そうな女の子、ほっておけないし」
少し恥ずかしそうに彼が微笑んだ。
『でも…』
頭が痛くてふらふらするが、見ず知らずの男の子に頼るわけにはいかない。
「気にしないで。本当に調子悪そうだから、荷物持つよ」
そう言って、彼は少し強引に私の荷物をもって講義室の出口へ向かう。
私はふらつく身体を支えて、後に続いた。
外に出れば、どんよりとした雲が広がって、今にも雨が降りそうだ。
外に出るとさらに頭がガンガンと痛み出し、その場でうずくまってしまう。
「大丈夫!?ちょっと恥ずかしいだろうけど、我慢して」
そういうと私のことを軽々とお姫様抱っこをして歩き始めた。
『……っ…やめて…』
恥ずかしくて抵抗しようにも、体調不良で力の入らないため、ぐったりともたれかかってしまう。
「ごめん…すぐ着くから」
そういわれて、腕に力を籠められた。
名前も知らない彼は、優しそうな見た目に似つかわしくない程、上背があり、がっしりとしていて、重たいはずの私を軽々と運んでいく。
頭は痛むし、身体に力が入らないが、こんな少女漫画みたいな展開に少しドキドキしている私がいた。
私たちがいた講義棟から医務室は意外と距離があり、彼の腕の中が心地よくてうとうとしてしまった。
いつの間にか着いた医務室のベッドに寝かされると、ひんやりしたシーツの冷たさに目が覚めた。
心配そうに見つめる彼と目が合うが、思うように身体が動かず、
『本当にありがとう』
とベッドに寝たまま言うので精一杯だった。
校医の先生に症状を告げると、痛み止めをくれ、それを飲むと頭の痛みがいく分か収まった。
ずっと付き添ってくれている彼にどんどん申し訳ない気持ちになってくる。
「オレ、部活があるから行くけど、終わったら迎えに来るから、寝てて」
そういうと、さっと医務室を出て行ってしまった。
『私、もう大丈夫です』
そう告げて、医務室を出ようとするが、
「彼氏が来るまで、寝ておきなさい。これから雨が降るともっと頭も痛むでしょ」
『彼氏…?さっき初めってあった人ですけど…』
「あら、じゃあ尚更、お礼言うために寝てなくちゃね」
校医の先生は、そう笑うとベッドのカーテンを閉めた。
確かにまだ歩いて家までたどり着くほどは回復していない。
目を閉じると、すぐに眠りに落ちた。
目を覚ますと、ベッドサイドに腰掛ける彼と目が合った。
「起きた?体調どう?」
『ありがと…大分良くなりました』
寝ぼけた頭で、答えたが、段々とここに運ばれた時のことを思い出して、がばっと起き上がる。
『……った…うぅ…』
「まだ大丈夫じゃないじゃん。迷惑じゃなければ、家まで送らせて?」
勢いよく起き上がったせいで、再びぐらぐらと痛み出した頭を押さえていると、
「そろそろ、閉めなくちゃいけない時間だけど大丈夫かしら?」
校医の先生から、声をかけられる。
「外は土砂降りだし、万一、道端で倒れられても困るから一緒に帰ろう」
そういわれて、私はしぶしぶうなずいた。
外は本当に土砂降りで、傘を忘れた私は、彼の傘に入れてもらった。
何から何まで名前も知らない彼に頼ってばかりだ。
『本当に助かりました。あの…名前聞いてなくて…』
「木暮公延っていうんだ。正田さんでいいんだよね?」
『そうだけど、名前…何で?』
「実はさ…正田さんとは、講義けっこう被ってて、気になって…いつも近くに座ってたんだ」
突然の告白に私は驚いて黙ってしまう。
「ごめんっ!体調悪いのに変なこと言って…」
顔を見上げると、真っ赤な顔をした木暮くんと目が合った。
照れた彼の顔がかわいくて、私は思わず笑ってしまった。
『あははっ。私、木暮くんに狙われてたの?』
ますます顔を赤くした木暮くんは、ポリポリと頬を指で掻いた。
「うっ…まぁ…そういうことになる…かな」
『私ももっと木暮くんのこと知りたいって思っちゃったな』
いつの間にか雨が上がり、私の頭痛も落ち着いていた。
「それって…」
『家まで送ってくれるんでしょ?まずはそこから!』
そう言って、私は木暮くんの腕をとって歩き始めた。
ふと木暮くんを見上げると、にこりと微笑む優しい顔に私の頬も緩んだ。
***
こぼれ話→メガネ男子【木暮公延】
低気圧が近づいていることに加えて、月に一度のあの日だからなのか頭がずきずき痛む。
午前は、比較的大丈夫だったのに…
こめかみを押して、痛みを和らげようとするが、さほど効果はなさそうだ。
講義の残り時間は、30分ほど。
大部屋の講義で、注意されることもないだろうと机に突っ伏して寝てやり過ごすことにした。
「ねぇ、大丈夫?」
とんとんと肩をたたかれ、目を覚ますと、見たことない男の子が心配そうに私の顔を覗き込んだ。
優しそうな眼鏡をかけた彼の顔が近くて驚いて、パッと顔をあげると、
『った…』
頭の痛みがぶり返し、思わず声が漏れる。
「体調悪い?」
なおも優しく聞いてくれる彼に
『だ…大丈夫。ありがと』
そう返して、立ち上がろうとするが、少しふらついてしまう。
「大丈夫そうじゃないよ。次の講義は?」
『ない…』
「医務室、一緒に行こうか?」
さすがにそれは悪いと断ろうとするが、
「…無理しないで。辛そうな女の子、ほっておけないし」
少し恥ずかしそうに彼が微笑んだ。
『でも…』
頭が痛くてふらふらするが、見ず知らずの男の子に頼るわけにはいかない。
「気にしないで。本当に調子悪そうだから、荷物持つよ」
そう言って、彼は少し強引に私の荷物をもって講義室の出口へ向かう。
私はふらつく身体を支えて、後に続いた。
外に出れば、どんよりとした雲が広がって、今にも雨が降りそうだ。
外に出るとさらに頭がガンガンと痛み出し、その場でうずくまってしまう。
「大丈夫!?ちょっと恥ずかしいだろうけど、我慢して」
そういうと私のことを軽々とお姫様抱っこをして歩き始めた。
『……っ…やめて…』
恥ずかしくて抵抗しようにも、体調不良で力の入らないため、ぐったりともたれかかってしまう。
「ごめん…すぐ着くから」
そういわれて、腕に力を籠められた。
名前も知らない彼は、優しそうな見た目に似つかわしくない程、上背があり、がっしりとしていて、重たいはずの私を軽々と運んでいく。
頭は痛むし、身体に力が入らないが、こんな少女漫画みたいな展開に少しドキドキしている私がいた。
私たちがいた講義棟から医務室は意外と距離があり、彼の腕の中が心地よくてうとうとしてしまった。
いつの間にか着いた医務室のベッドに寝かされると、ひんやりしたシーツの冷たさに目が覚めた。
心配そうに見つめる彼と目が合うが、思うように身体が動かず、
『本当にありがとう』
とベッドに寝たまま言うので精一杯だった。
校医の先生に症状を告げると、痛み止めをくれ、それを飲むと頭の痛みがいく分か収まった。
ずっと付き添ってくれている彼にどんどん申し訳ない気持ちになってくる。
「オレ、部活があるから行くけど、終わったら迎えに来るから、寝てて」
そういうと、さっと医務室を出て行ってしまった。
『私、もう大丈夫です』
そう告げて、医務室を出ようとするが、
「彼氏が来るまで、寝ておきなさい。これから雨が降るともっと頭も痛むでしょ」
『彼氏…?さっき初めってあった人ですけど…』
「あら、じゃあ尚更、お礼言うために寝てなくちゃね」
校医の先生は、そう笑うとベッドのカーテンを閉めた。
確かにまだ歩いて家までたどり着くほどは回復していない。
目を閉じると、すぐに眠りに落ちた。
目を覚ますと、ベッドサイドに腰掛ける彼と目が合った。
「起きた?体調どう?」
『ありがと…大分良くなりました』
寝ぼけた頭で、答えたが、段々とここに運ばれた時のことを思い出して、がばっと起き上がる。
『……った…うぅ…』
「まだ大丈夫じゃないじゃん。迷惑じゃなければ、家まで送らせて?」
勢いよく起き上がったせいで、再びぐらぐらと痛み出した頭を押さえていると、
「そろそろ、閉めなくちゃいけない時間だけど大丈夫かしら?」
校医の先生から、声をかけられる。
「外は土砂降りだし、万一、道端で倒れられても困るから一緒に帰ろう」
そういわれて、私はしぶしぶうなずいた。
外は本当に土砂降りで、傘を忘れた私は、彼の傘に入れてもらった。
何から何まで名前も知らない彼に頼ってばかりだ。
『本当に助かりました。あの…名前聞いてなくて…』
「木暮公延っていうんだ。正田さんでいいんだよね?」
『そうだけど、名前…何で?』
「実はさ…正田さんとは、講義けっこう被ってて、気になって…いつも近くに座ってたんだ」
突然の告白に私は驚いて黙ってしまう。
「ごめんっ!体調悪いのに変なこと言って…」
顔を見上げると、真っ赤な顔をした木暮くんと目が合った。
照れた彼の顔がかわいくて、私は思わず笑ってしまった。
『あははっ。私、木暮くんに狙われてたの?』
ますます顔を赤くした木暮くんは、ポリポリと頬を指で掻いた。
「うっ…まぁ…そういうことになる…かな」
『私ももっと木暮くんのこと知りたいって思っちゃったな』
いつの間にか雨が上がり、私の頭痛も落ち着いていた。
「それって…」
『家まで送ってくれるんでしょ?まずはそこから!』
そう言って、私は木暮くんの腕をとって歩き始めた。
ふと木暮くんを見上げると、にこりと微笑む優しい顔に私の頬も緩んだ。
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こぼれ話→メガネ男子【木暮公延】
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