性癖シチュ四大癖書
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2.両片思いなのに好きと言えないまま疎遠になって、偶然再会する。【野辺将広】
バイトの帰り道、いつもとは違うコンビニに寄った。コンビニは自宅近くの決まったところに行く癖がついているから、このコンビニに足を踏み入れたのは数えるほどしかない。
大学4年になって、就職先も県内の中小企業に決まり、残りは卒論を残すのみ。ほとんど目途がついているから、無難に終えられそうだ。大学生活は、それなりに楽しかったけれど、とうとう彼氏ができないまま終わりそうだ。
それはきっと、私が工業高校出身なのと無関係ではないと思う。男子と友達以上の関係になる感覚が分からないのだ。……というのは、建前で、ずっと心の中に引っかかってるヤツがいるからなのだ。そいつは、最強山王と言われた代のバスケ部のレギュラーで、背も顔も手も大きくて、でも、笑うとカワイイやつ。坊主頭しか知らないけれど、今はどんな髪型してるんだろう。
田舎にいると東京の大学でバスケをしているヤツの活躍を知る術はなく、かといってわざわざ取り寄せてまでバスケ雑誌を買う余裕もない。たまに思い出しては、勇気を振り絞って告白すればよかった…と何度後悔しただろう。卒業式で、またすぐ会えるだろうと高を括って電話番号すら聞かなかったことは痛恨の極みだ。気軽に会えなくなることを認めたくなくて、連絡先なんて知らなくても大丈夫と根拠のない自信を持っていた当時の自分を叱りたい。
そんなことをうだうだ悩んでも後の祭り。私は、ヤツがいなくてちょっと味気ない毎日を小さな楽しみを見つけながら過ごすしかないのだ。もしかしたら、遠くない未来に就職先で運命的な出会いをするかもしれないのだし。
コンビニで新製品のお菓子をチェックして、今日は冷たいスイーツの気分だから冷蔵のショーケースへと向かう。ついつい新製品のお菓子やスイーツをチェックしちゃうのもヤツのせい。
顔に似合わず甘いものに目が無くて、購買では、いつもクリームパンやメロンパン、あんパンなんかを大量に買い込み、バスケ部員に呆れられながらも嬉々として食べていた。
当時、寮生活を送る彼は、スーパーやコンビニに気軽に買い物に行けないから、私が代わりに新商品のお菓子を見つけては買って、まるで餌付けするみたいに渡していた。
その時の目の輝きと言ったら……バスケで対戦する相手に教えてあげたいくらいだ。山王のセンターの弱点は甘いものですって。
そういえば、負けるはずがないと言われていたインターハイ初戦で敗退した時につけられたあだ名はなんだったっけ?ポム…?いやポールだったか?スイーツ王子じゃないことだけは確かだ。
なんだか今日は、いつにも増してヤツ…もとい、野辺のことを思い出してしまう。それは虫の知らせだったようだ。
「あ」『あ』
それなりに背の高い冷蔵ショーケース越しに目が合う男はそういない。
まさに今、思いを巡らせている相手がそこにいる。
しかも、4年ぶりの再会なのに全く変わっていないことが驚きだ。いや、さらにでかくごつくなったかもしれない。
『の、野辺!?』
「ん?◯◯か?…まさかこんなところで会うとは…」
思い人が突然現れて、鼻の奥がツーンとしてしまう。ここで泣くのはヤバい……と思ったら、野辺が目の前から消えた。
『え?オバケだった??』
私の焦った声に、
「そういうことに…しといてほしい……」
野辺の震えた声が聞こえる。心配になって、ショーケースを回ってみると、野辺は右手で目を覆って左手を膝について中腰になっていた。
『大丈夫?』
私のセリフに野辺からの返事は無い。
ずずっと鼻をすする音が聞こえたので、もしかしたら泣いているのかもしれない。
でも、なんで?
私なんかに会いたくなかったのだろうか?私は会いたかったのに。
『ごめん、じゃあね』
野辺は私なんかに会いたくなかったんだと思うと、テンションは一気に下がり、一刻も早くこの場を立ち去りたくて、野辺に背を向ける。
「待ってくれないか!」
野辺は、私の手をつかんだ。
『なんで?』
「すまん、会いたくて会いたくてたまらなかった相手に偶然出会って動揺して、涙が勝手に……」
野辺は、私の手を放し、涙ををその大きな手でごしごしと拭った。
『私も、ずっと会いたかった』
今度は私の目から大粒の涙が零れ落ちた。
「あの…すいません……」
他のお客さんに声をかけられて、私たちはレジ前につながる通路をふさいでいたことに気づく。感動の再会の余韻に浸る暇もなく、私たちは恥ずかしくなって、
「『すいません!』」
慌てて謝って、とりあえずコンビニの外に出た。
コンビニの外に出て、お互い顔を見合わせて、吹き出した。
「ははっ、なんか懐かしいな」
『ふふふ、この感じ高校のころ、思い出すね』
ひとしきり笑った後、自然と手をつないでいた。
告白とか付き合おうとかそんな確認は、今はいらない。
ただ離れていた時間を埋めるために、話がしたい。
『私、一人暮らししてて、家、近いんだけど…』
「あー、……いいのか?」
『野辺なら、いいよ』
友人たちに男の人を家に入れたことがばれたら、大騒ぎになるだろうな~なんて思いながらも、野辺だから仕方ないんだと心の中でにドキドキしながら言い訳にならない言い訳をする。
「母さんに連絡入れてくる。遅くなるって」
『大丈夫?』
「ああ、高校時代のヤツと会って話したいっていえば問題ないだろう」
照れたように笑って、私の手をつないだまま公衆電話へと向かった。
さあ、何から話そっか。
心なしか緊張した面持ちで実家に電話をかける野辺の横顔を、私は見つめた。
***
2024.7.25.
Thank you for character request!!!
machaさま、ありがとうございました。
野辺さん、甘いもの好きなイメージが中々抜けません(*^▽^*)
バイトの帰り道、いつもとは違うコンビニに寄った。コンビニは自宅近くの決まったところに行く癖がついているから、このコンビニに足を踏み入れたのは数えるほどしかない。
大学4年になって、就職先も県内の中小企業に決まり、残りは卒論を残すのみ。ほとんど目途がついているから、無難に終えられそうだ。大学生活は、それなりに楽しかったけれど、とうとう彼氏ができないまま終わりそうだ。
それはきっと、私が工業高校出身なのと無関係ではないと思う。男子と友達以上の関係になる感覚が分からないのだ。……というのは、建前で、ずっと心の中に引っかかってるヤツがいるからなのだ。そいつは、最強山王と言われた代のバスケ部のレギュラーで、背も顔も手も大きくて、でも、笑うとカワイイやつ。坊主頭しか知らないけれど、今はどんな髪型してるんだろう。
田舎にいると東京の大学でバスケをしているヤツの活躍を知る術はなく、かといってわざわざ取り寄せてまでバスケ雑誌を買う余裕もない。たまに思い出しては、勇気を振り絞って告白すればよかった…と何度後悔しただろう。卒業式で、またすぐ会えるだろうと高を括って電話番号すら聞かなかったことは痛恨の極みだ。気軽に会えなくなることを認めたくなくて、連絡先なんて知らなくても大丈夫と根拠のない自信を持っていた当時の自分を叱りたい。
そんなことをうだうだ悩んでも後の祭り。私は、ヤツがいなくてちょっと味気ない毎日を小さな楽しみを見つけながら過ごすしかないのだ。もしかしたら、遠くない未来に就職先で運命的な出会いをするかもしれないのだし。
コンビニで新製品のお菓子をチェックして、今日は冷たいスイーツの気分だから冷蔵のショーケースへと向かう。ついつい新製品のお菓子やスイーツをチェックしちゃうのもヤツのせい。
顔に似合わず甘いものに目が無くて、購買では、いつもクリームパンやメロンパン、あんパンなんかを大量に買い込み、バスケ部員に呆れられながらも嬉々として食べていた。
当時、寮生活を送る彼は、スーパーやコンビニに気軽に買い物に行けないから、私が代わりに新商品のお菓子を見つけては買って、まるで餌付けするみたいに渡していた。
その時の目の輝きと言ったら……バスケで対戦する相手に教えてあげたいくらいだ。山王のセンターの弱点は甘いものですって。
そういえば、負けるはずがないと言われていたインターハイ初戦で敗退した時につけられたあだ名はなんだったっけ?ポム…?いやポールだったか?スイーツ王子じゃないことだけは確かだ。
なんだか今日は、いつにも増してヤツ…もとい、野辺のことを思い出してしまう。それは虫の知らせだったようだ。
「あ」『あ』
それなりに背の高い冷蔵ショーケース越しに目が合う男はそういない。
まさに今、思いを巡らせている相手がそこにいる。
しかも、4年ぶりの再会なのに全く変わっていないことが驚きだ。いや、さらにでかくごつくなったかもしれない。
『の、野辺!?』
「ん?◯◯か?…まさかこんなところで会うとは…」
思い人が突然現れて、鼻の奥がツーンとしてしまう。ここで泣くのはヤバい……と思ったら、野辺が目の前から消えた。
『え?オバケだった??』
私の焦った声に、
「そういうことに…しといてほしい……」
野辺の震えた声が聞こえる。心配になって、ショーケースを回ってみると、野辺は右手で目を覆って左手を膝について中腰になっていた。
『大丈夫?』
私のセリフに野辺からの返事は無い。
ずずっと鼻をすする音が聞こえたので、もしかしたら泣いているのかもしれない。
でも、なんで?
私なんかに会いたくなかったのだろうか?私は会いたかったのに。
『ごめん、じゃあね』
野辺は私なんかに会いたくなかったんだと思うと、テンションは一気に下がり、一刻も早くこの場を立ち去りたくて、野辺に背を向ける。
「待ってくれないか!」
野辺は、私の手をつかんだ。
『なんで?』
「すまん、会いたくて会いたくてたまらなかった相手に偶然出会って動揺して、涙が勝手に……」
野辺は、私の手を放し、涙ををその大きな手でごしごしと拭った。
『私も、ずっと会いたかった』
今度は私の目から大粒の涙が零れ落ちた。
「あの…すいません……」
他のお客さんに声をかけられて、私たちはレジ前につながる通路をふさいでいたことに気づく。感動の再会の余韻に浸る暇もなく、私たちは恥ずかしくなって、
「『すいません!』」
慌てて謝って、とりあえずコンビニの外に出た。
コンビニの外に出て、お互い顔を見合わせて、吹き出した。
「ははっ、なんか懐かしいな」
『ふふふ、この感じ高校のころ、思い出すね』
ひとしきり笑った後、自然と手をつないでいた。
告白とか付き合おうとかそんな確認は、今はいらない。
ただ離れていた時間を埋めるために、話がしたい。
『私、一人暮らししてて、家、近いんだけど…』
「あー、……いいのか?」
『野辺なら、いいよ』
友人たちに男の人を家に入れたことがばれたら、大騒ぎになるだろうな~なんて思いながらも、野辺だから仕方ないんだと心の中でにドキドキしながら言い訳にならない言い訳をする。
「母さんに連絡入れてくる。遅くなるって」
『大丈夫?』
「ああ、高校時代のヤツと会って話したいっていえば問題ないだろう」
照れたように笑って、私の手をつないだまま公衆電話へと向かった。
さあ、何から話そっか。
心なしか緊張した面持ちで実家に電話をかける野辺の横顔を、私は見つめた。
***
2024.7.25.
Thank you for character request!!!
machaさま、ありがとうございました。
野辺さん、甘いもの好きなイメージが中々抜けません(*^▽^*)
