お茶であたためる2人の距離【キャラ詰め合わせ】

【宮城リョータ】
旅行でリョータの生まれた沖縄に来た。少しずつ記憶が薄くなっているというけれど、リョータが大切な家族を亡くしたこの土地はいつまでも大切な思い出が詰まっているのだろう。いつもは元気いっぱいのリョータもどこかセンチメンタルになっているようにも見えた。
『ね、ここでお茶休憩しようか?』
「お、いいね」
お店一押しのぶくぶく茶という謎のお茶のセットを二人で頼んだ。リョータも初めて聞いたらしい。出てきたお茶は想像以上に泡がてんこ盛りで、私もリョータもびっくりだ。
『すっごい!味は、健康に良さそう』
「俺もこんなん初めて。めっちゃスゲー」
下のお茶をすすると、鼻の頭に泡がついてお互いに顔を見合わせて笑った。沖縄に来てリョータの一番の笑顔が見れて私は少しホッとする。過去の大切な沖縄の思い出に、私との思い出も少しでも足してもらえたらな…なんて願うのだった。

【流川楓】
楓くんは、緑茶が好きだ。スポーツマンだから、ポカリとかの方が好きだと思っていたけれど、ご飯を食べる時やおやつの時も緑茶がいいのだそうだ。ここアメリカでも、日本から送ってもらったり日系スーパーで緑茶を買う。ウーロン茶や紅茶だったらもっと気軽に手に入るんだけど……と思いながらも、好きな人のために緑茶を探すのも悪くない。
食卓にピザを並べる時も、必ずお茶を沸かして最後に出す。
『はい、どうぞ』
「っす」
食卓はアメリカンでも、湯呑にお茶が湯気を立てている。一見へんてこなようで私たちにとっては特別でもなんでもない光景。ずっと年をとっても一緒にお茶をすすりたいね。

【三井寿】
『こんな風に熱いお茶すすりあう日が来るなんてねぇ…』
俺の彼女は、コタツの中でちょんっと俺の足をつつきながら、遠い目をした後にニヤリと笑った。
「……ん?」
ぽかぽかのコタツとあったかいお茶のおかげで寝ぼけ眼の俺は、その意味がよく分からない。
『ふふふっ…なんかこういうのが幸せっていうんだろうねぇ』
「まーそうだろうなぁ…ふぁ~あっと」
でかいあくびをしたら、涙が出てきた。彼女は、嬉しそうに目を細めて、また俺の足をちょんちょんっとつついた。

【赤木剛憲】
『コーヒーか紅茶か、緑茶もあるけど、何がいい?』
「すまんな…気を遣わんでもいいぞ」
『せっかく赤木くんが初めてお家に遊びに来てくれたんだから、少しくらい気を遣わせて』
「そうか…じゃあ、作り方、教えてくれ。今度、そっちが家に来たときは準備しておくから」
『う、うん。赤木くんは何が好き?』
「普段は冷たい飲み物ばかりだからな…緑茶がいいな」
『了解。って言ってもティーバッグで入れるだけだから簡単だよ』
「それでも一緒にしたいんだ」
大きな身体が隣に並ぶ。お湯を沸かして、注ぐだけなのに慎重で、思わず笑みが漏れる。次は、赤木くんの家に行くの楽しみにしてるよ。

【木暮公延】※社パロ
給湯室で木暮くんと一緒になった。マグカップからティーバッグの先っぽが見えるから紅茶を入れているのだろうと声をかけた。
『木暮くん、お疲れ様。木暮くんは紅茶派だったんだ?』
「お疲れ様。いや、これはそば茶」
『渋い!』
「そう?よかったら、どうぞ」
木暮くんはティーバッグを一袋分けてくれた。
『わぁ!ありがとう。お蕎麦屋さん以外でそば茶飲むの初めてだよ』
「喜んでもらえたなら良かった。ちょうどお湯無くなったから、沸くまでちょっと待ってて」
木暮くんはポットにお湯を足してくれた。二人で沸くのを待ちながら、ちょっとしたお喋りをする。
『わざわざありがと。そっちのそば茶冷めちゃったんじゃない?』
「息抜きできたから、こっちこそありがとう」
木暮くんとの距離が縮まった気がしてラッキーと思ったことは、社内の女子には内緒にしておこう。

【安西光義】※恋愛要素なし
ずずずずず……安西先生がお茶をすするのを緊張した面持ちで見つめているのは、湘北バスケ部の新人マネージャー。彼女は何故か、バスケ部マネージャーの仕事の中でも監督である安西先生にお茶を出すことに一番精を出している。
「ずいぶんお茶を入れるの上手くなりましたね」
『はい!ありがとうございます!!!』
安西先生に褒められて嬉しそうだ。
「お、茶柱が立っていますよ」
『本当ですか!?』
「ほっほっほっ…いいことありそうですねぇ」
『はい!今年こそ全国制覇です!!』
体育館中に響く声でのその宣言に、バスケ部の部員達全員が嬉しそうな顔をした。

【安田靖春】
高級そうなブランデーのミニボトルをヤスくんがもらってきた。
『どうやって飲むの?』
「紅茶とかに少し垂らしても美味しいんだって」
『やってみる?』
「いいね」
ティーパックの紅茶を入れて、ちょっと垂らす。とたんにアルコールの匂いがする。ちょっとすすってみたけれど、苦くて美味しくない。普段紅茶にもお砂糖入れる派のお子さま舌の私には早かったみたいだ。ヤスくんも一口味見して顔をしかめる。
「俺たちにはちょっと早いかな…?」
『だよねぇ…』
顔を見合わせてクスクス笑い合った。

【水戸洋平】
外の喫煙所。煙草をふかす洋平の横で、私はホットのミルクティーのペットボトルで暖をとる。
『美味しい?』
「フツー。そっちこそうまい?こっちはやれねぇけど、一口ちょーだい」
私はキャップを開けたペットボトルを渡した。
『甘いよ…?』言い終わる前に洋平はコクりと紅茶を飲んだ。間接キスだ…なんてトキメく間もなく洋平は顔をしかめた。
「甘過ぎ…」
うげっと舌を出して、またタバコに戻った。
『そっちより身体に良いよ~』
んべっと舌を出して応戦する私に、
「確かにな」
と、余裕な笑みで私の頭をなでるのだった。

【鉄男】
気まぐれにやってきた鉄男に、手作りの甘くないアンチョビパイととっておきの紅茶を出した。本当は酒の方が良いかもしれないけれど、バイクで帰る鉄男にアルコールを飲ませられない。もっとも、ノーヘル運転する鉄男に安全だなんだと言っても馬の耳に念仏なのだけど。鉄男は「悪くねぇ」紅茶をすすって一言呟いた。私は心の中でガッツポーズする。今まで褒め言葉なんてもらったことがないから最大限の褒め言葉だ。
『お口に合ったならよかった』
「じゃあな」
『紅茶くらい全部飲んでいてよ』
「また食いに来る」
初めて残された≪また≫の言葉一つに私はどうしようもなくうれしくなるのだった。

【藤真健司】
「さみーな!」
部活を引退した健司の口からよく聞くようになったこの言葉。ちょっと心も寂しいのかもしれない。私は自動販売機でホットのペットボトルを買って手渡す。
『じゃ、これどーぞ』
「お、いいな!一緒に飲もうぜ」
健司は、お返しにと言わんばかりに私に同じものを買ってくれた。隣りに並んでペットボトルのお茶をゆっくりすする。私と一緒にのんびり過ごす冬の一日だって悪くないって思ってもらえたらいいんだけどな。何か言いたげな健司と目が合う。
『ん?』
「いつもありがとな」
照れくさそうに笑う健司に私の顔も熱くなった。

【花形透】
「水出しで緑茶を作ると美味しいらしい」
透は、いつも唐突に知識を仕入れてきてそれを実行したがる。私にそれをしろと言わないから、いつもうまいことそれに乗っかることにしている。
『へぇ~。そういえば、実家からもらった茶葉あるよ』
それを聞くとすぐさま、透はいつもは麦茶を作るピッチャーに緑茶を作り始めた。秤できっちり緑茶のグラムを測り、計量カップで水の量もきっちり測ってピッチャーに入れた。蓋をして、上下に混ぜて、冷蔵庫に入れた。
「一時間も冷やせばできあがるぞ」
キッチンタイマーを60分にセットして、嬉しそうだ。私は近所のお団子屋さんに和菓子を買いに行くことを提案することにした。こんな風にお茶を楽しみに待つ日が来るなんて、やっぱり透と一緒になってよかったな~と思うのだった。

【神宗一郎】※社パロ
給湯室で神くんと一緒になった。大き目のマグカップに紅茶を入れているようだ。
『神くん、お疲れ様。神くんは紅茶派?』
「お疲れ様。15時過ぎたから、ノンカフェインの紅茶。普段はコーヒーだけど、デカフェのコーヒーは美味しくなくってさ」
『それ、分かる!デカフェのコーヒーは飲んだ気しないよね』
「良かったら、同じ紅茶入れようか?」
『え!いいの?』
神くんは私のマグカップを受け取ると、手際よくノンカフェインの紅茶を入れてくれた。
『なんか得した気分』
「なんで?」
『神くんと喋れた上に、飲み物作ってもらえたし』
「俺だって、会えて話せて嬉しいよ。熱いから、席まで運ぶね」
どこまでも優しい神君にますます惚れてしまう。社内の女子の視線が痛いのは、この際、忘れてしまおう。

【牧紳一】
『牧くんのお家は、お高いカップでお紅茶を優雅に飲んでそう。それにおやつじゃなくて、アフタヌーンティーでしょ!』
「その間違ったイメージはどっから来るんだ?」
『だって、神奈川の帝王って呼ばれてたんでしょ?帝王は金持ちに決まってるじゃん!』
「はぁ……いたって普通の家だ」
『でも、きっとお高いカップとソーサ―くらいはありそう!』
「そういうことは、よくわからんからな…じゃ、家に来るか?」
『え……マジ!?』
「ああ。母親に言っておくよ。アフタヌーンティーとやらをしたいらしいって」
『ちょっ…どうしよ~とりあえず、紅茶飲みたい!』
彼女は慌てて自販機まで駆けて行って、
『あ~!ホットはコーヒーしかない!!』
と慌てふためいている。そんな彼女を見て、ほほえましさも感じながら、母親になんと切り出そうか考えを巡らせた。

【仙道彰】※社パロ
「俺の分も入れてくれない?」
給湯室でジャスミンティーを入れていると同期の仙道くんに声をかけられた。
『ジャスミンティーだけど大丈夫?』
「飲んだことねーから、楽しみ」
『ちょっと待っててね』
仙道くんの視線を感じながら、お茶を入れるのはちょっと緊張する。
「なんかトクベツな感じがしていいな…」
仙道くんが言うトクベツという言葉にドキッとしてしまう。別に何でもない言葉なのに……まともに仙道くんの顔が見れなくて、濃い目のお茶が出来上がってしまったのだった。

【魚住純】
純くんと一緒に100円の回転寿司チェーンにやってきた。純くんは、あまり来たことがないらしい。
『純くんのお家の料亭の方がよっぽどハードル高いんだから、そんな緊張しなくても…』
「そうか……」
私が、粉茶を竹匙ですくって湯呑に入れているところも興味深そうに見ているから、
『やる?』
と声をかけるけれど、
「いや、以前来た時に盛大にこぼしてしまったからな…」
と断られた。案外、不器用なところもあるんだ。
『濃い目?薄目?』
「濃い目がいいな」
『一緒だね。本当は一杯でいいらしいんだけど、2杯入れるのが好きなんだよね』
純くんも嬉しそうに笑ってくれた。こうやってこれからも好みを知っていけたらいいな。

【越野宏明】
『酒くっさ……』
「昨日、飲みすぎた……」
デートの約束をしていたのに、家まで迎えに行ってみれば、顔色の悪い彼氏がパジャマ姿のままお出迎えしてくれた。
『とりあえず上がっていい?』
「悪いな……」
いつもの元気な様子は全くなく、コッシーはよろよろとベッドに腰掛けた。
『とりあえず何か飲む?』
「温かいのが飲みてぇ…」
この間私が買った緑茶のティーバッグがあることを思い出して、キッチンに行って、お湯を沸かす。早く言ってくれれば二日酔いに効くもの買ってきてあげれたのに…と思いながら、コッシーにお茶を出す。ちびりと飲むと、
「ほんっとに、今日ほど彼女がいてくれてよかったと思ったことはないぜ。これからも見捨てないでくれ…」
『バカ。飲みすぎなければいいだけでしょ』
元気のないコッシーは嫌だよ、私は。

【森重寛】
「寒ぃ…」
真冬だというのに寛はウインドブレーカーを忘れたらしい。
『これ、飲む?』
水筒の温かいお茶を付属の小さなコップに注いで差し出す。
「ん」と言って受け取った寛は、湯気が立つお茶をフーフーと冷ましてちびりと飲んだ。いつもだったら、冷たいスポーツ飲料なんかをごくごくと飲み干してすぐに行ってしまうけれど、ちょっとゆったりした気持ちで側にいられるのはちょっとくすぐったくて嬉しい。
『マフラー貸そうか?』
「ん」
素直に私のマフラーを受け取り、自分でぐるぐると巻きつけてのそりと立ち上がった。まるで雪だるまがマフラーしているみたいで私は愉快な気分になりながら、その後姿を見送った。

【諸星大】※同棲設定
「これ、もらったんだけど」
高級そうな筒に入った玉露を大君が持って帰ってきた。
『ありがとう。飲んでみる?』
って言ってみたけれど、ティーバッグではない茶葉のお茶なんて入れたことがない。母親から
「絶対持っておいた方が良いから」
と押し付けられた急須があることを思い出して、奥にしまい込んだそれを出してきた。茶葉の量はこのくらい?たしか沸騰したお湯じゃなくて冷ましたお湯で入れた方が良いんだよね?迷いながら作業しているうちに大君が覗きに来た。
「大丈夫?」
『うーん…』
マグカップに注いだお茶は薄いし、湯気もたっていない。
『失敗したかも…』
肩を落とす私を余所に、大君はマグカップからお茶をすすって、
「旨いよ!」
ニカっと笑ってくれた。いつもこの笑顔に私は救われるんだ。

【河田美紀男】※結婚しています
義理のお父さんが腰を悪くしてしまったらしいと聞いて、茶もみの手伝いに美紀男くんの実家にやってきた。それにしても、お茶まで手作りする河田家は本当にすごい。河田家の田んぼで作っているお米も畑の四季折々のお野菜もとっても美味しいし、お母さんの手料理もとびっきりだし、美紀男くんがこんなに大きくなったのも納得だ。
「美紀男は昔っから手伝いが好きな子で、茶もみも上手いのよ」
って始める前から誉められて嬉しそうだ。お母さんが手際よく茶葉を蒸しあげてござに広げていく。それをうちわで冷まして手で触れるくらいになったら茶葉を両手で擦るように揉んでいき、ある程度柔らかくなったら、ござの上で茶葉を転がすように揉むのだそうだ。美紀男の手際よさに感心しながら、私もみようみまねで茶葉を揉んだり、お母さんの茶葉を蒸すお手伝いをしたりと邪魔にならないように立ち回る。
「来年の茶もみは二人に任せようかしら?」
なんて嬉しい言葉をもらって、美紀男とふたりで喜んだ。乾燥させて完成のお茶の出来上がりが待ち遠しいね。

【河田雅史】※美紀男夢と同じ世界線です。
『雅史のお母さんから荷物?』
「ああ。米と野菜頼んだからな」
雅史の実家からの荷物は実は、私も楽しみにしている。美味しいお野菜やお米はもちろん、秋田の名産品なんかも詰めてくれるからだ。今日は見慣れない茶筒が入っていた。秋田ってお茶の名産地あったっけ?
「そういえば、今年は美紀男んとこが来て一緒に茶もみしたらしいから、新茶だな」
『すごい!お茶まで手づくりするなんて!!』
「そうか?俺はそういう手伝い苦手だったからな」
『えー、そうなの?今はちゃんと田植えも稲刈りも手伝うじゃん』
「料理系の手伝いが苦手」
『そういうことね。せっかくだからこのお茶入れるね』
いい香りがキッチン中に漂う。丁寧に蒸らして、湯飲みに注ぐ。段ボールに入れてもらった雅史の好物の秋田銘菓と一緒にテーブルに並べた。お茶とお菓子を楽しみながら秋田の思い出話に花を咲かせたのだった。

【沢北栄治】
「俺、猛烈に麦茶が飲みてぇ!」
国際電話の向こう側の栄治は叫ぶように言った。
『麦茶?』
「そう、こっちには無いみたいなんだよ。ティーってつくとほぼ甘いからやべーよ」
『栄治って麦茶好きだったっけ?』
「いや、日本にいるときは意識してなかったけど、寮にあったでっかいヤカンで沸かした麦茶がスッゲー恋しい…」
『まさか麦茶でホームシック?』
「そこまでじゃねーけど、今は麦茶と彼女が恋しい」
『さらっと言うんだから…』
いきなりでほっぺが熱くなる。
「バスケさえできれば、大丈夫だって思ったんだけどなぁ」
『そっかぁ…』
きっと弱音吐けるのは私の前だけなんだよねって思うとちょっとだけ寂しさが紛れるのだった。

【野辺将広】
イーツ大好きな私の彼氏は、紅茶の入れ方にもこだわりがあるため、滅多に私に入れさせてくれない。でも、今日は忙しくしている将広にかわって、私が紅茶を入れることになった。気が気でないようで、声がかかる。
「茶葉はスプーン」『すりきり二杯』
「お湯は…」『しっかり沸騰させて、少し冷ます』
「蒸らし時間は…」『砂時計の時間どおり。ポットにはカバーもかけた』
「完璧だな」
『何年将大の彼女やってると思ってるの?』
「それもそうか」
いつの間にかキッチンにやってきた将広が、
「そろそろ結婚したいなぁ」
呑気に大事なことをぼそっと呟いた。

***
2024.1.7.
あけましておめでとうございます!新年一発目はいろんなキャラを書きまくりました~
今年もよろしくお願いします。
腹を空かせた夢喰いさまよりお題をお借りしました。
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