ある夢女子の日常【藤真健司】
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『はー、これ、ほんっとうに、さいっこうだったんだよ~』
私は、昨日新しく購入したケンジの同人誌を机の上に出して優しく本を撫でた。
「ホント、好きだよねぇ…」
私が、新しい夢小説の同人誌見つけた!と興奮気味に友人のゆうちゃんに電話をしたのは昨日のこと。
家族がいない隙を狙ってこそこそと電話したから、この歓びだって本の感想だってまだまだ伝えきれていない。
『うん、我ながらヤバいとは思うけど、やめられないよね』
「何を?」
ゆうちゃんは、ニヤリと聞いてくる。
『分かってるくせに聞かないでよ』
「ははっ、まぁ、夢女子楽しいから辞められないよね」
『ホンソレなんだよぉぉ』
ゆうちゃんは、私の趣味を理解してくれる唯一のお友達だ。
ゆうちゃんとは違うジャンルだけれど、お互いにキャラクターに恋する夢女子をしている。
おススメの夢小説を教えあったり、妄想を共有したり、お互いキャラの彼女面して恋バナしたりもしている。
こんなこと、家族にだって、彼氏にだって言えない。
「◯◯は彼氏いるけど、それは別として、ケンジに一途だよねぇ~」
『そういうゆうちゃんは、いろんなジャンルに彼氏がいて、リアル彼氏もいて忙しそうだよねぇ…』
「まあ、それが楽しいんだって!私は同担拒否の気があるし、何でもいける◯◯は羨ましくもある」
『夢女子のオトメゴコロは、リアルな彼氏との恋心とはまた違うし、難しいよねぇ…』
「それはそうだね!」
二人でハハハと笑いあって、さらに推しの話を続ける。
「でさ、この夢小説のケンジはどうだった?」
『スパダリ!!!最高だったぁ~』
「でもさ、ケンジはちょっと恋愛下手なイメージもあるんだけど…」
『う、それは……否定できない』
「あれだけ、イケメンでスポーツできるとなると、やっぱりダメな部分もあって欲しくない?」
『うぅぅぅ…でも、スパダリでいて欲しい気持ちも分かって』
「ケンジは、◯◯のことになると途端に、愛情表現下手すぎになる設定いかがでしょ?」
『ぐえぇぇ…よだれ出る』
さすが、私の性癖を知り尽くしている女…恐るべしだ。
「好きな子に意地悪したくなる小学生男子みたいなアホな子になるケンジ、可愛いねぇ」
『くっ……認めざるを得ない』
にやけが止まらなくて、机をバシバシ叩いてしまう。(もちろん、大切な御本を避けて叩いている。)
「なーにやってんだよ!」
突然、廊下の方から声がして、私は飛び上がるほどビックリする。
目の前のゆうちゃんの肩もビクっとして、お互いに気まずそうに目を見合わせた。
『ふ、藤真くん!!』
「お…おぉ……藤真監督」
ずかずかと教室に入ってきた藤真健司くんに見られないよう本を慌てて隠す。
「二人して、何か隠し事か?何だったら、花形も呼ぶか?」
「なな、何で透が出てくるのよ…関係ないでしょ」
ゆうちゃんの彼氏は花形透くんといって、バスケ部で藤真くんの大切な相棒といって差し支えない存在だ。
「いーや、俺ら彼氏に隠し事はよくねぇって」
『そんなつもりは…』
「じゃ、隠したやつ、見せて見ろって」
『そ、そんなぁ…』
いくら大好きな藤真くんとはいえ、この同人誌を見せることだけは絶対にできない。
けれど、どうやってごまかしたら……
嫌な汗が、ツツツ…と背中を伝う。
絶体絶命の大ピンチ、助けて、ケンジ…!と心の中で叫んだところで、ゆうちゃんが切り出した。
「◯◯は、”けんじ”へのラブレターを書こうとしてたんだから」
「……!?」
『ゆうちゃん!?』
藤真くんは、大きな目をさらに大きくして驚いている。
もちろん私も、ゆうちゃんの発言にビックリして、口がポカンと開いてしまう。
今、ケンジって言った…?バれちゃう!?
「◯◯、ゴメンね…でも、彼氏へこっそり書いてた手紙、今見られるのは嫌でしょ?」
『彼氏……?』
ゆうちゃんは、私に目配せをしてくる。
……そういえば、藤真くんもケンジだった。
紛らわしいけど、救われた!
『そうなの!藤真くん。本当はサプライズで渡そうと思ってたんだけど……楽しみに待ってて…ね!』
藤真くんは、両手を顔の前でパンと合わせて頼むポーズをした私の頭をポンと撫でた。
心なしかちょっと照れて顔が赤いような…
「悪かったな…じゃ、俺、行くな!」
名残惜しそうなゆったりとした歩幅で藤真くんは教室を出て行った。
藤真くんが教室から離れたのを確認して、二人で大きく息をついた。
『はーー。ゆうちゃん、ありがとう!本当に天才!』
「我ながら、いいウソだった!ちゃんと”けんじ”に手紙書くんだよー」
『はーい!…ってどっちのけんじ?』
「どっちもに決まってるじゃん!」
二人でお腹を抱えて笑いあって、やっぱりこんな風な楽しみが出来るなんて、夢女子は最高だと目頭が熱くなる。
よし、ちゃんと手紙を書こう!
まずは昨日購入した同人誌の作者様に感想のお手紙を書いてから――
***
2023.4.5.
たまにはこんなお話いかがでしょう?
同人誌を店舗で買ったこともないので、妄想に妄想を重ねたお話です。
きっと、この2つのカップルは、ダブルデートもしてるはず!
私は、昨日新しく購入したケンジの同人誌を机の上に出して優しく本を撫でた。
「ホント、好きだよねぇ…」
私が、新しい夢小説の同人誌見つけた!と興奮気味に友人のゆうちゃんに電話をしたのは昨日のこと。
家族がいない隙を狙ってこそこそと電話したから、この歓びだって本の感想だってまだまだ伝えきれていない。
『うん、我ながらヤバいとは思うけど、やめられないよね』
「何を?」
ゆうちゃんは、ニヤリと聞いてくる。
『分かってるくせに聞かないでよ』
「ははっ、まぁ、夢女子楽しいから辞められないよね」
『ホンソレなんだよぉぉ』
ゆうちゃんは、私の趣味を理解してくれる唯一のお友達だ。
ゆうちゃんとは違うジャンルだけれど、お互いにキャラクターに恋する夢女子をしている。
おススメの夢小説を教えあったり、妄想を共有したり、お互いキャラの彼女面して恋バナしたりもしている。
こんなこと、家族にだって、彼氏にだって言えない。
「◯◯は彼氏いるけど、それは別として、ケンジに一途だよねぇ~」
『そういうゆうちゃんは、いろんなジャンルに彼氏がいて、リアル彼氏もいて忙しそうだよねぇ…』
「まあ、それが楽しいんだって!私は同担拒否の気があるし、何でもいける◯◯は羨ましくもある」
『夢女子のオトメゴコロは、リアルな彼氏との恋心とはまた違うし、難しいよねぇ…』
「それはそうだね!」
二人でハハハと笑いあって、さらに推しの話を続ける。
「でさ、この夢小説のケンジはどうだった?」
『スパダリ!!!最高だったぁ~』
「でもさ、ケンジはちょっと恋愛下手なイメージもあるんだけど…」
『う、それは……否定できない』
「あれだけ、イケメンでスポーツできるとなると、やっぱりダメな部分もあって欲しくない?」
『うぅぅぅ…でも、スパダリでいて欲しい気持ちも分かって』
「ケンジは、◯◯のことになると途端に、愛情表現下手すぎになる設定いかがでしょ?」
『ぐえぇぇ…よだれ出る』
さすが、私の性癖を知り尽くしている女…恐るべしだ。
「好きな子に意地悪したくなる小学生男子みたいなアホな子になるケンジ、可愛いねぇ」
『くっ……認めざるを得ない』
にやけが止まらなくて、机をバシバシ叩いてしまう。(もちろん、大切な御本を避けて叩いている。)
「なーにやってんだよ!」
突然、廊下の方から声がして、私は飛び上がるほどビックリする。
目の前のゆうちゃんの肩もビクっとして、お互いに気まずそうに目を見合わせた。
『ふ、藤真くん!!』
「お…おぉ……藤真監督」
ずかずかと教室に入ってきた藤真健司くんに見られないよう本を慌てて隠す。
「二人して、何か隠し事か?何だったら、花形も呼ぶか?」
「なな、何で透が出てくるのよ…関係ないでしょ」
ゆうちゃんの彼氏は花形透くんといって、バスケ部で藤真くんの大切な相棒といって差し支えない存在だ。
「いーや、俺ら彼氏に隠し事はよくねぇって」
『そんなつもりは…』
「じゃ、隠したやつ、見せて見ろって」
『そ、そんなぁ…』
いくら大好きな藤真くんとはいえ、この同人誌を見せることだけは絶対にできない。
けれど、どうやってごまかしたら……
嫌な汗が、ツツツ…と背中を伝う。
絶体絶命の大ピンチ、助けて、ケンジ…!と心の中で叫んだところで、ゆうちゃんが切り出した。
「◯◯は、”けんじ”へのラブレターを書こうとしてたんだから」
「……!?」
『ゆうちゃん!?』
藤真くんは、大きな目をさらに大きくして驚いている。
もちろん私も、ゆうちゃんの発言にビックリして、口がポカンと開いてしまう。
今、ケンジって言った…?バれちゃう!?
「◯◯、ゴメンね…でも、彼氏へこっそり書いてた手紙、今見られるのは嫌でしょ?」
『彼氏……?』
ゆうちゃんは、私に目配せをしてくる。
……そういえば、藤真くんもケンジだった。
紛らわしいけど、救われた!
『そうなの!藤真くん。本当はサプライズで渡そうと思ってたんだけど……楽しみに待ってて…ね!』
藤真くんは、両手を顔の前でパンと合わせて頼むポーズをした私の頭をポンと撫でた。
心なしかちょっと照れて顔が赤いような…
「悪かったな…じゃ、俺、行くな!」
名残惜しそうなゆったりとした歩幅で藤真くんは教室を出て行った。
藤真くんが教室から離れたのを確認して、二人で大きく息をついた。
『はーー。ゆうちゃん、ありがとう!本当に天才!』
「我ながら、いいウソだった!ちゃんと”けんじ”に手紙書くんだよー」
『はーい!…ってどっちのけんじ?』
「どっちもに決まってるじゃん!」
二人でお腹を抱えて笑いあって、やっぱりこんな風な楽しみが出来るなんて、夢女子は最高だと目頭が熱くなる。
よし、ちゃんと手紙を書こう!
まずは昨日購入した同人誌の作者様に感想のお手紙を書いてから――
***
2023.4.5.
たまにはこんなお話いかがでしょう?
同人誌を店舗で買ったこともないので、妄想に妄想を重ねたお話です。
きっと、この2つのカップルは、ダブルデートもしてるはず!
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