わたしの彼は左利き【藤真健司】
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この学校には私の王子様がいる。
顔が良いだけでなく、バスケ部の主将兼監督。
そんな彼とは同じクラスになったこともなければ、バスケ部の応援に行くことすらも緊張して出来ない。
毎日、遠目に一回でも見られれば十分。
『わたしのわたしの彼は……左利き…』
なんて歌みたいに、言える日が来るなんてことは…?
そんなことは起こるはずもなく、私の想いは憧れのままで、心の中に大切に仕舞っておこうと思ってた。
誰かの前で私の想い人の名前を口に出したことはないと思っていたのに、
「藤真健司に興味ある?」
友だちの如月の何気ない一言に、一瞬で頭が真っ白になった。
『へ?』
自分の口から出た素っ頓狂な声に、さらに自分でビクっとなってしまうくらいに動揺してしまう。
「バスケ部の藤真健司。私の幼馴染なんだけど……」
『幼馴染…!?』
「そんなに驚くこと?」
友だちの口から、藤真健司の名前が出ただけでもビックリするのに、その友だちの幼馴染が藤真健司だなんてことがあっていいのだろうか?
『ゴメン……如月と藤真健司…くんが知り合いなのが意外でさ』
藤真健司という言葉をなんとか声に出せたことにほっとしながら、如月がどうして藤真健司のことを話題にあげる意図が全く分からないままだ。
「意外かぁ…確かにクラス違うし、あんまり学校で話すこと無いしね。親同士仲よくて昔からの付き合いなんだよね。昨日、私の家で親の飲み会があって、久しぶりに健司も来てたんだけど、ナマエの話題になってさ」
『なんで!?』
「それは……ちょっと上手く説明できないから、直接本人に聞いてくれない?」
『本人にって、どうやって?』
「その調子だと、興味ありそうだね!よかった!!明日、バスケ部休みらしいから、合コン?いや、ダブルデート?みたいな感じで、こっち2人、あっち2人で会うことになってるから」
『ま、待ってよ…』
いきなりの展開に頭が混乱してくる。
しかも、ダブルデートって何??
「予定あった?」
『放課後の補講以外はないけど…』
「じゃ、決定ね!ナマエは今日塾だっけ?勉強、頑張って!」
半ば強引に予定を決められ、私は藤真健司と会うという現実をいまいち受け止め切れないまま塾へと向かった。
***
一夜明けて、いつも通りに必死で振舞おうとしているけれど、筆箱を忘れてしまったり、宿題の箇所を間違えていたり、放課後に本当に藤真健司と会うのだろうか?と考えてばかりで他のことは上の空になってしまう。
「ナマエ、なんか今日変だよ?健司ともう一人の子と会うの、負担に感じてたりする?」って如月に心配されたような気がするけど、なんて返したか覚えていない。
気付けばホームルームが終わり、ふわふわとした気持ちのまま補講の教室へと何とかたどり着いた。
決められた席はないけれど、何となくいつもの場所とは違う場所に座って、鞄を開ければ、補講のテキストを忘れたことに気が付いた。
でも、隣の席は、ラッキーなことに花形くんだ。
花形くんとは委員会が一緒で、友達とまではいかないけれど、男子ばかりの理系の補講のメンバーの中では比較的気楽に話しかけられる相手だ。
『ゴメン、今日テキスト忘れちゃって…見せてくれない?』
「ああ。ナマエさんが忘れるなんて、珍しいな」
『そうかな?今日は、ちょっとね…』
そういえば、花形くんもバスケ部だから今日のこと知っているかもしれない…と思ったけれど、すぐに先生が補講を始めたので、聞けないままとなってしまった。
補講はチャイムが鳴らないけれど、先生は終了時間きっちりに終わらせてくれる。
「では、また来週」
そう言い残すと、先生はすぐに教室を出て行った。
それと入れ替わるように、如月となんと藤真くんも教室へと入ってきた。
背が高い如月は藤真くんと同じくらいの身長で、その二人が並んで颯爽と歩いてくるのはめちゃくちゃ目立つ。
いや、そんなことよりも……
あぁ……藤真健司が…近づいてくる…………
そっちに心臓が破裂しそうなくらいバクバク音を立てる。
ノートを持つ手に力が入り、上手く鞄の中に仕舞えそうにない。
「終わった?」
『う、うん!』
手を伸ばせば触れられる距離に藤真くんの存在を感じて、声が上ずってしまう。
「花形、終わったか?」
「ああ。で、何があるんだ?」
「きょ、今日はだな…俺と花形と如月とその友達のナマエ…さんと親睦を深めようかと…」
「ナマエさんとは委員会が一緒だから、もう知り合いだが」
「何!?」
今日は、花形くんも来ることになっていたのか。
それなら、藤真健司と全く面識のない人とお話しするより幾分か気が楽だ。
「さ、早く片付けて行こ!花形くんとナマエが面識あるなら、そんなに緊張しなくていいんじゃない?よかったね!」
『ま、まぁね』
「……俺は、花形とナマエさんとが知り合いなのは腹立つな…」
「なんでだ?」
「腹立つもんは腹立つんだよ!さ、いこーぜ!」
連れてこられたのは、翔陽生がよく行くファミレスで、かしこまった雰囲気でないことにもほっとする。
簡単な自己紹介をして、軽めの食事を各々頼む。
「そもそも、なんでこういう形で集まることになったんだ?」
花形くんが最もな疑問を口にした。
『あ、私もそれ、思ってた』
「それは…健司、説明してよ。私は健司に頼まれたから、ナマエを呼んだだけだし」
「分かってるよ。それは、ずばり…俺がナマエさんと友達になりたいからだ!」
『えっと、私と…ですか?』
「そう!だから、友達になって欲しい!」
「健司、友達でいいの?」
如月はにやにやしながら聞いているけれど、私はそれどころではない。
むしろ、私の方が友達になって欲しいとお願いした方がいいくらいなのに。
3人の視線が私に集まっているから、私が藤真くんに返事をしなくてはいけない。
大きく息を吸って、ふーっと吐く代わりに、
『あの…私の方こそ、よろしくお願いします!実は、藤真…くんのこと、気になっていたと言いますか…えっと……いつもカッコいいなって思ってたから…』
早口でまくし立てるように言ってから、自分がとんでもないことを言ってしまったのではないかと思い、口を押えた。
「ナマエ、もしかして…」
「いや、如月さん、多分今は言わない方が良いと思う」
「花形くん、それもそうかもね」
如月と花形くんが何か話しているけれど、私の顔は熱くなるばかりだし、藤真くんも固まっているみたいに動かなくなってしまった。
「とりあえず、お友達になれた記念に隣同士の席、座ったら?」
「そうだな。ほら、藤真、如月さんが席変わってくれるぞ?」
あれよあれよという間に、私の右側に藤真くんが座った。
体温を感じられる距離に藤真くんがいるという事実に、喉がカラカラだ。
飲み物を取ろうとすると、藤真くんの左手にあたってしまい、その瞬間に目が合う。
『ゴメン…』
「俺の方こそ…」
本当はじっと見つめていたいくらいに整った顔だけれど、そんなこと出来るわけもなく、すぐに目をそらして、飲み物のグラスを左側に移動させる。
そう、私のお友達になってくれた藤真くんは左利き。
これから、どうなるかなんて全く分からないけれど、憧れの彼が手の届くところにいるという現実を受け入れるところから始めてみよう…慣れない左手でグラスを持って、コクリとのどを潤した。
***
2022.11.26.
Thank you for your request!!!
如月さん、いつも妄想ネタありがとう!!
こちら、続く予定なので、こぼれ話は割愛させていただきます!
顔が良いだけでなく、バスケ部の主将兼監督。
そんな彼とは同じクラスになったこともなければ、バスケ部の応援に行くことすらも緊張して出来ない。
毎日、遠目に一回でも見られれば十分。
『わたしのわたしの彼は……左利き…』
なんて歌みたいに、言える日が来るなんてことは…?
そんなことは起こるはずもなく、私の想いは憧れのままで、心の中に大切に仕舞っておこうと思ってた。
誰かの前で私の想い人の名前を口に出したことはないと思っていたのに、
「藤真健司に興味ある?」
友だちの如月の何気ない一言に、一瞬で頭が真っ白になった。
『へ?』
自分の口から出た素っ頓狂な声に、さらに自分でビクっとなってしまうくらいに動揺してしまう。
「バスケ部の藤真健司。私の幼馴染なんだけど……」
『幼馴染…!?』
「そんなに驚くこと?」
友だちの口から、藤真健司の名前が出ただけでもビックリするのに、その友だちの幼馴染が藤真健司だなんてことがあっていいのだろうか?
『ゴメン……如月と藤真健司…くんが知り合いなのが意外でさ』
藤真健司という言葉をなんとか声に出せたことにほっとしながら、如月がどうして藤真健司のことを話題にあげる意図が全く分からないままだ。
「意外かぁ…確かにクラス違うし、あんまり学校で話すこと無いしね。親同士仲よくて昔からの付き合いなんだよね。昨日、私の家で親の飲み会があって、久しぶりに健司も来てたんだけど、ナマエの話題になってさ」
『なんで!?』
「それは……ちょっと上手く説明できないから、直接本人に聞いてくれない?」
『本人にって、どうやって?』
「その調子だと、興味ありそうだね!よかった!!明日、バスケ部休みらしいから、合コン?いや、ダブルデート?みたいな感じで、こっち2人、あっち2人で会うことになってるから」
『ま、待ってよ…』
いきなりの展開に頭が混乱してくる。
しかも、ダブルデートって何??
「予定あった?」
『放課後の補講以外はないけど…』
「じゃ、決定ね!ナマエは今日塾だっけ?勉強、頑張って!」
半ば強引に予定を決められ、私は藤真健司と会うという現実をいまいち受け止め切れないまま塾へと向かった。
***
一夜明けて、いつも通りに必死で振舞おうとしているけれど、筆箱を忘れてしまったり、宿題の箇所を間違えていたり、放課後に本当に藤真健司と会うのだろうか?と考えてばかりで他のことは上の空になってしまう。
「ナマエ、なんか今日変だよ?健司ともう一人の子と会うの、負担に感じてたりする?」って如月に心配されたような気がするけど、なんて返したか覚えていない。
気付けばホームルームが終わり、ふわふわとした気持ちのまま補講の教室へと何とかたどり着いた。
決められた席はないけれど、何となくいつもの場所とは違う場所に座って、鞄を開ければ、補講のテキストを忘れたことに気が付いた。
でも、隣の席は、ラッキーなことに花形くんだ。
花形くんとは委員会が一緒で、友達とまではいかないけれど、男子ばかりの理系の補講のメンバーの中では比較的気楽に話しかけられる相手だ。
『ゴメン、今日テキスト忘れちゃって…見せてくれない?』
「ああ。ナマエさんが忘れるなんて、珍しいな」
『そうかな?今日は、ちょっとね…』
そういえば、花形くんもバスケ部だから今日のこと知っているかもしれない…と思ったけれど、すぐに先生が補講を始めたので、聞けないままとなってしまった。
補講はチャイムが鳴らないけれど、先生は終了時間きっちりに終わらせてくれる。
「では、また来週」
そう言い残すと、先生はすぐに教室を出て行った。
それと入れ替わるように、如月となんと藤真くんも教室へと入ってきた。
背が高い如月は藤真くんと同じくらいの身長で、その二人が並んで颯爽と歩いてくるのはめちゃくちゃ目立つ。
いや、そんなことよりも……
あぁ……藤真健司が…近づいてくる…………
そっちに心臓が破裂しそうなくらいバクバク音を立てる。
ノートを持つ手に力が入り、上手く鞄の中に仕舞えそうにない。
「終わった?」
『う、うん!』
手を伸ばせば触れられる距離に藤真くんの存在を感じて、声が上ずってしまう。
「花形、終わったか?」
「ああ。で、何があるんだ?」
「きょ、今日はだな…俺と花形と如月とその友達のナマエ…さんと親睦を深めようかと…」
「ナマエさんとは委員会が一緒だから、もう知り合いだが」
「何!?」
今日は、花形くんも来ることになっていたのか。
それなら、藤真健司と全く面識のない人とお話しするより幾分か気が楽だ。
「さ、早く片付けて行こ!花形くんとナマエが面識あるなら、そんなに緊張しなくていいんじゃない?よかったね!」
『ま、まぁね』
「……俺は、花形とナマエさんとが知り合いなのは腹立つな…」
「なんでだ?」
「腹立つもんは腹立つんだよ!さ、いこーぜ!」
連れてこられたのは、翔陽生がよく行くファミレスで、かしこまった雰囲気でないことにもほっとする。
簡単な自己紹介をして、軽めの食事を各々頼む。
「そもそも、なんでこういう形で集まることになったんだ?」
花形くんが最もな疑問を口にした。
『あ、私もそれ、思ってた』
「それは…健司、説明してよ。私は健司に頼まれたから、ナマエを呼んだだけだし」
「分かってるよ。それは、ずばり…俺がナマエさんと友達になりたいからだ!」
『えっと、私と…ですか?』
「そう!だから、友達になって欲しい!」
「健司、友達でいいの?」
如月はにやにやしながら聞いているけれど、私はそれどころではない。
むしろ、私の方が友達になって欲しいとお願いした方がいいくらいなのに。
3人の視線が私に集まっているから、私が藤真くんに返事をしなくてはいけない。
大きく息を吸って、ふーっと吐く代わりに、
『あの…私の方こそ、よろしくお願いします!実は、藤真…くんのこと、気になっていたと言いますか…えっと……いつもカッコいいなって思ってたから…』
早口でまくし立てるように言ってから、自分がとんでもないことを言ってしまったのではないかと思い、口を押えた。
「ナマエ、もしかして…」
「いや、如月さん、多分今は言わない方が良いと思う」
「花形くん、それもそうかもね」
如月と花形くんが何か話しているけれど、私の顔は熱くなるばかりだし、藤真くんも固まっているみたいに動かなくなってしまった。
「とりあえず、お友達になれた記念に隣同士の席、座ったら?」
「そうだな。ほら、藤真、如月さんが席変わってくれるぞ?」
あれよあれよという間に、私の右側に藤真くんが座った。
体温を感じられる距離に藤真くんがいるという事実に、喉がカラカラだ。
飲み物を取ろうとすると、藤真くんの左手にあたってしまい、その瞬間に目が合う。
『ゴメン…』
「俺の方こそ…」
本当はじっと見つめていたいくらいに整った顔だけれど、そんなこと出来るわけもなく、すぐに目をそらして、飲み物のグラスを左側に移動させる。
そう、私のお友達になってくれた藤真くんは左利き。
これから、どうなるかなんて全く分からないけれど、憧れの彼が手の届くところにいるという現実を受け入れるところから始めてみよう…慣れない左手でグラスを持って、コクリとのどを潤した。
***
2022.11.26.
Thank you for your request!!!
如月さん、いつも妄想ネタありがとう!!
こちら、続く予定なので、こぼれ話は割愛させていただきます!
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