仙道彰は何者か?【仙三】R18
「三井さん、どーぞ…」
台所から漂ってくる唐揚げのいい匂いに、ビールだな…と、冷蔵庫にビールが冷やされているかを心配している俺の思いが通じたように、仙道はキンキンに冷えたビールを持って、俺が寝転がっているソファーにやってくる。
「いや、俺だけ悪いから、飯出来上がんの待ってるぜ」
「いーや、三井さん先に飲んでてよ。三井さん、俺より酒強いから」
プシュッと良い音を立ててプルタブを開けて、仙道は俺にビールを渡してくれる。
「悪いな…お先!」
さすがにこの状況で呑まないという選択肢はなく、ゴクリと一口飲む。
「うめぇ!」
「もう少しで出来上がるんで、一本だけで我慢してくださいよ」
「おう!」
仙道は俺がちょうど一本目のビールの飲み終わるタイミングで、飯の用意を終わらせる。
「お待たせしました」
「旨そうだな!」
熱々の唐揚げに、キャベツの千切り、仙道お手製の漬物もテーブルに並ぶ。
「ご飯は後でいいですよね?」
そう言って、両手にビールを持ってきた仙道も席に着く。
「「乾杯!」」
缶ビールで乾杯をして、まずは唐揚げにかぶりつく。
「仙道、本当に俺の好み、よく知ってるよなぁ…このニンニクも、うめぇ!」
「当り前じゃないですか。俺は三井さんの彼氏ですから」
何てことないようにヘラリと笑って、俺の皿にキャベツをよそって、ドレッシングを俺好みに少し多めにかけてくれる。
良い嫁さんだよなぁ~
唐揚げをビールで流し込むように食べながら、しみじみ思っていると、
(三井さんが嫁ですよ?)
「は?」
仙道は、キャベツをもぐもぐとしていて、喋っていないはずなのにはっきり脳内に聞こえた言葉に、箸を止める。
仙道がテレパシーを送ってるんじゃね?と感じることは何度もあったけれど、ここまでハッキリと感じたことはなかった。
……やっぱりこいつは、人間じゃないのか?
「あ、やべ…」
仙道は箸をおいて、頬をポリポリと掻いた。
「あの、三井さん…」
「仙道、飯!白米食いてぇ!」
神妙な顔で仙道が言おうとしている言葉を遮ったのは、今ははっきりと仙道の正体を知りたいとは思わないからだ。
っつうか、妖怪だろうがロボットだろうが仙道は仙道なのだから、俺の隣りにいてくれなきゃ困る。
「あ、よそってきますね…」
慌てて立ち上がって、台所へ戻る仙道を見守っていると、
(ありがとうございます)
またハッキリと頭の中に仙道の声が届いた。
どんな魔法かしらねぇが、俺の考えていることは、仙道にはすべてお見通しって訳か…
俺が残り少なくなった缶ビールをグイっとあおって空にすると、仙道は二つの茶碗をもって戻ってきた。
「今日は、お酒はこれ以上呑まないでくださいね」
仙道にニコリと微笑まれて、その手から茶碗に上品に盛られたご飯を受け取ると同時に、パァっと鮮明に映像が浮かぶ。
それも、俺と仙道が裸で仲良くベッドで厭らしいことをシているシーンが……
かぁっと身体が熱くなって、茶碗を落としそうになるのを何とか両手で持ち直して、仙道を見上げる。
「夜、覚悟しておいてくださいね…」
含みを持たせた笑みに俺は、
「お、おう…」
そう答えて、そのイメージを振り払うように慌ててご飯をかきこむことしか出来ない。
やっぱり、仙道が何者なのか聞いておいた方が良かったのだろうか…?
ちらっと仙道に目をやれば、少し熱っぽい仙道の表情に囚われる。
そして、パチリとウインクをしてよこした。
見れば仙道の茶碗はいつの間にか空っぽで、俺が飯を食べるのを見ている。
「お風呂準備してきますね」
「あ、ああ…」
狐につままれたような気持ちで、飯を終え、仙道に言われるがまま風呂場に向かう。
服を脱げば、またフラッシュバックしたみたいに夜のアレ…あぁ、もうまどろっこしいな…セックスの映像が思い浮かんで、脱衣所の扉を見てみる。
扉が開いて、嬉しそうに仙道が顔を出す。
「三井さん、今のは俺じゃないですよ。ははっ、三井さん、今日はバックがいいんですね。まいったなぁ…」
「……っ!嘘だろ…」
「本当ですって。あ、待ちきれないみたいですね」
仙道の視線が俺の下半身をとらえていることに気付いて、慌てて隠してももう遅い。
固く頭を持ち上げた俺の大事な息子を改めて確認してため息をついた。
(後ろもきれいに洗ってくださいね)
「わーってるよ!」
もうテレパシーなんだか普通に会話してんだかよく分からなくなってきた。
まだ何か言いたいことがあったら伝えてくるだろうと、風呂場に入って湯船に浸かる。
「あー、惚れた弱みっつうのは厄介だぜ…」
すべては仙道の思いどおりに手のひらの上で転がされているような気がするけれど、ちっとも嫌な気持ちはない。
もし、仙道が地球外生命体だったとしても、帰る時は俺を宇宙にでも連れて行って欲しいし、そんな展開をどこか期待している俺もいる。
アホなこと考えてるって思われるかもしれねぇけど、仙道彰というヤツと会えば俺の気持ちも少しは分かってもらえると思う。
そして、ヤツのことを知れば知るほど、人間の男はつまらなく感じるだろう。
まぁ、俺の彼氏だから俺だけが知っていればいいことだけどな。
(三井さん、早く出てくださいね…)
「もう出るって!」
夜のお楽しみは二人だけのものだから、今日はこの辺にしといてくれよな。
(そう三井さんも言っているので、後は俺に任せてくださいね)
***
2022.9.17.
chococo
Image song : ピンクレディー「UFO」
【あとがき】
この曲、攻めの仙道さんにぴったりだと思って書き始めた話です。
仙道さんはスパダリというか何でもお見通しで、受けのみっちゃんにめちゃくちゃ尽くしそうなイメージです。
結局仙道さんが宇宙人かどうかを決めきれなかったのですが、あのツンツン頭に秘密がありそうだと思ってます(о´∀`о)
お読み頂き、ありがとうございました!
台所から漂ってくる唐揚げのいい匂いに、ビールだな…と、冷蔵庫にビールが冷やされているかを心配している俺の思いが通じたように、仙道はキンキンに冷えたビールを持って、俺が寝転がっているソファーにやってくる。
「いや、俺だけ悪いから、飯出来上がんの待ってるぜ」
「いーや、三井さん先に飲んでてよ。三井さん、俺より酒強いから」
プシュッと良い音を立ててプルタブを開けて、仙道は俺にビールを渡してくれる。
「悪いな…お先!」
さすがにこの状況で呑まないという選択肢はなく、ゴクリと一口飲む。
「うめぇ!」
「もう少しで出来上がるんで、一本だけで我慢してくださいよ」
「おう!」
仙道は俺がちょうど一本目のビールの飲み終わるタイミングで、飯の用意を終わらせる。
「お待たせしました」
「旨そうだな!」
熱々の唐揚げに、キャベツの千切り、仙道お手製の漬物もテーブルに並ぶ。
「ご飯は後でいいですよね?」
そう言って、両手にビールを持ってきた仙道も席に着く。
「「乾杯!」」
缶ビールで乾杯をして、まずは唐揚げにかぶりつく。
「仙道、本当に俺の好み、よく知ってるよなぁ…このニンニクも、うめぇ!」
「当り前じゃないですか。俺は三井さんの彼氏ですから」
何てことないようにヘラリと笑って、俺の皿にキャベツをよそって、ドレッシングを俺好みに少し多めにかけてくれる。
良い嫁さんだよなぁ~
唐揚げをビールで流し込むように食べながら、しみじみ思っていると、
(三井さんが嫁ですよ?)
「は?」
仙道は、キャベツをもぐもぐとしていて、喋っていないはずなのにはっきり脳内に聞こえた言葉に、箸を止める。
仙道がテレパシーを送ってるんじゃね?と感じることは何度もあったけれど、ここまでハッキリと感じたことはなかった。
……やっぱりこいつは、人間じゃないのか?
「あ、やべ…」
仙道は箸をおいて、頬をポリポリと掻いた。
「あの、三井さん…」
「仙道、飯!白米食いてぇ!」
神妙な顔で仙道が言おうとしている言葉を遮ったのは、今ははっきりと仙道の正体を知りたいとは思わないからだ。
っつうか、妖怪だろうがロボットだろうが仙道は仙道なのだから、俺の隣りにいてくれなきゃ困る。
「あ、よそってきますね…」
慌てて立ち上がって、台所へ戻る仙道を見守っていると、
(ありがとうございます)
またハッキリと頭の中に仙道の声が届いた。
どんな魔法かしらねぇが、俺の考えていることは、仙道にはすべてお見通しって訳か…
俺が残り少なくなった缶ビールをグイっとあおって空にすると、仙道は二つの茶碗をもって戻ってきた。
「今日は、お酒はこれ以上呑まないでくださいね」
仙道にニコリと微笑まれて、その手から茶碗に上品に盛られたご飯を受け取ると同時に、パァっと鮮明に映像が浮かぶ。
それも、俺と仙道が裸で仲良くベッドで厭らしいことをシているシーンが……
かぁっと身体が熱くなって、茶碗を落としそうになるのを何とか両手で持ち直して、仙道を見上げる。
「夜、覚悟しておいてくださいね…」
含みを持たせた笑みに俺は、
「お、おう…」
そう答えて、そのイメージを振り払うように慌ててご飯をかきこむことしか出来ない。
やっぱり、仙道が何者なのか聞いておいた方が良かったのだろうか…?
ちらっと仙道に目をやれば、少し熱っぽい仙道の表情に囚われる。
そして、パチリとウインクをしてよこした。
見れば仙道の茶碗はいつの間にか空っぽで、俺が飯を食べるのを見ている。
「お風呂準備してきますね」
「あ、ああ…」
狐につままれたような気持ちで、飯を終え、仙道に言われるがまま風呂場に向かう。
服を脱げば、またフラッシュバックしたみたいに夜のアレ…あぁ、もうまどろっこしいな…セックスの映像が思い浮かんで、脱衣所の扉を見てみる。
扉が開いて、嬉しそうに仙道が顔を出す。
「三井さん、今のは俺じゃないですよ。ははっ、三井さん、今日はバックがいいんですね。まいったなぁ…」
「……っ!嘘だろ…」
「本当ですって。あ、待ちきれないみたいですね」
仙道の視線が俺の下半身をとらえていることに気付いて、慌てて隠してももう遅い。
固く頭を持ち上げた俺の大事な息子を改めて確認してため息をついた。
(後ろもきれいに洗ってくださいね)
「わーってるよ!」
もうテレパシーなんだか普通に会話してんだかよく分からなくなってきた。
まだ何か言いたいことがあったら伝えてくるだろうと、風呂場に入って湯船に浸かる。
「あー、惚れた弱みっつうのは厄介だぜ…」
すべては仙道の思いどおりに手のひらの上で転がされているような気がするけれど、ちっとも嫌な気持ちはない。
もし、仙道が地球外生命体だったとしても、帰る時は俺を宇宙にでも連れて行って欲しいし、そんな展開をどこか期待している俺もいる。
アホなこと考えてるって思われるかもしれねぇけど、仙道彰というヤツと会えば俺の気持ちも少しは分かってもらえると思う。
そして、ヤツのことを知れば知るほど、人間の男はつまらなく感じるだろう。
まぁ、俺の彼氏だから俺だけが知っていればいいことだけどな。
(三井さん、早く出てくださいね…)
「もう出るって!」
夜のお楽しみは二人だけのものだから、今日はこの辺にしといてくれよな。
(そう三井さんも言っているので、後は俺に任せてくださいね)
***
2022.9.17.
chococo
Image song : ピンクレディー「UFO」
【あとがき】
この曲、攻めの仙道さんにぴったりだと思って書き始めた話です。
仙道さんはスパダリというか何でもお見通しで、受けのみっちゃんにめちゃくちゃ尽くしそうなイメージです。
結局仙道さんが宇宙人かどうかを決めきれなかったのですが、あのツンツン頭に秘密がありそうだと思ってます(о´∀`о)
お読み頂き、ありがとうございました!
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