スポーツマンイケメンドーテー男子の生き血が大好物な俺の話。【流三】
男の吸血鬼は女の生き血を吸うもんだって言うけれど、俺は男の生き血の方が旨いと思う。
それも、スポーツやってる若い男の血が俺は好みだ。
顔もなるべく整っている奴の方が良い。
それともう一つ、童貞であることも大切だ。
でも、精通がまだのガキはダメだ。
女の身体を知る前のスポーツマンのイケメン男子…なんて、世の中にはなかなかいないのは分かっちゃいるけど、あいつらの血の旨さを思い出すだけで、涎が垂れる。
一時期、秋田の山奥の高校の寮に忍び込んでいた時は、毎日それなりに旨い血を吸えて最高だったけれど、坊主だらけのその環境は誰もが同じに見えて誰の血が一番うまいかなんていちいち覚えていられなくて、飽きちまった。
だから気分を変えて海辺で人口が多い街に来てみたが、なかなか好みの血にありつけなくて、困っていた。
秋の夜風にあたりながら、公園の木に止まって、獲物を探す。
この辺りは若いカップルが多くて、舌打ちしちまう。
ったく…色恋沙汰に現を抜かしてんじゃねぇよ!
最近覚えたちょっと小難しい言葉で悪態をついてみるけれど、それでいい男が見つかるわけでもない。
場所を変えようと、飛び立ったところで、ロードバイクを漕いでいる男が目に入った。
それも、遠目にもわかるくらい極上に顔が良い男だ。
大きい荷物を肩から下げているから、何かスポーツをやっているに違いない。
童貞かどうかは分からないが、とりあえず後を追う。
この男、寝ながら運転しているのかふらふらと危なっかしい。
よく無事だったな…と男が無事自宅に着いたことに心の底からほっとして、玄関から一緒にこっそり忍び込み様子をうかがう。
大盛りの飯をよそっているのは、母親だろう。
「またラブレター届いてたわよ…」
「いらね…」
「まったく…将来結婚できるか不安だわ」
なんて小言を聞けば、おそらくあいつは童貞だと予想がついて、涎が垂れそうになって口を拭った。
その男は飯をかきこんで、風呂に入る。
上半身裸で出てきた姿を見て、思わず腹の虫が鳴ってしまう。
…もう我慢できねぇ。
そいつが部屋に入ると同時にカプリと嚙みついた。
ウマい!!!
俺好みのドンピシャなその味にうっとりしながら夢中になって飲んでいるうちに、
「なんだ?」
ツンツンとつつかれて、俺はハッと口を離す。
「ヤベっ、バレた!」
飛んで逃げようとした時にはもう遅く、男に摘ままれてしまった。
「すまねぇ…あんたの血が旨すぎて…」
「ち?」
「おめえみてぇな童貞イケメンの血は旨いんだよ」
「は?」
「俺は吸血鬼だからな!」
「きゅーけつき?」
「マジか…知らねぇのかよ…」
「聞いたことはある」
ムッとしながらそう返答したので、バカだけど負けず嫌いなのかもしれない。
吸血鬼の俺を見ても驚かないし、こんなに興味なさげな態度を示す人間は初めてで、こいつの血だけでなくコイツ自身にも興味が出てくる。
「で、名前は?」
「流川」
「ルカワか…で、何のスポーツやってんの?」
「バスケ」
「おー!あの球入れるやつか。前にいたとこの坊主頭たちがやってたのと同じだな」
「球入れじゃねぇ、バスケ」
「悪ぃ…バスケをやってるやつらは、だいたいが童貞で血が旨いんだな!」
「どうてい?」
「ルカワは知らなくていいことだ!俺はおまえが気に入った!これからここに通わせてもらう」
「どーぞ」
「はぁ?いいのかよ?」
自分から宣言しておいてアレだが、まさかどうぞなんて言われると思わずに思わず聞き返してしまう。
「カワイイから」
「は?」
「きゅーけつき」
……つまり、ルカワは俺が可愛いと言っているのか?
「俺は、男だ!可愛くねぇ!!人間と同じようにチンチンだって付いてるんだぜ!」
俺のセリフにルカワは興味深そうに俺を再度摘まんで、俺の股間が視界に入るように持ち上げるもんだから、恥ずかしくなる。
「…バカヤロウ!ヤメロ!!」
股間を押さえてジタバタすれば、ルカワはすぐに離してくれた。
「じゃ、またその内、来るからな!」
慌てて窓の側まで行き、ルカワの血のおかげで元気いっぱいな俺は魔法の力で外へとすり抜けた。
窓の外をじっと見つめるルカワに、べーっと舌を出してやる。
でもルカワは、また来いよと言わんばかりに手を振ってくれた。
たったそれだけなのに、人間と、いやルカワと仲良くなれた気がして嬉しいと同時にちょっとキュッと胸が締め付けられる気がした。
こんな感情は初めてで俺は正直よく分からないけれど、明日の夜、必ずルカワの家に来ようと家の場所を目に焼き付けたのだった。
***
2022.9.15.
玄米さま、素敵なイラスト
ありがとうございました!!
パロ的なお話初めて書いたのですが、楽しかったです♪
それも、スポーツやってる若い男の血が俺は好みだ。
顔もなるべく整っている奴の方が良い。
それともう一つ、童貞であることも大切だ。
でも、精通がまだのガキはダメだ。
女の身体を知る前のスポーツマンのイケメン男子…なんて、世の中にはなかなかいないのは分かっちゃいるけど、あいつらの血の旨さを思い出すだけで、涎が垂れる。
一時期、秋田の山奥の高校の寮に忍び込んでいた時は、毎日それなりに旨い血を吸えて最高だったけれど、坊主だらけのその環境は誰もが同じに見えて誰の血が一番うまいかなんていちいち覚えていられなくて、飽きちまった。
だから気分を変えて海辺で人口が多い街に来てみたが、なかなか好みの血にありつけなくて、困っていた。
秋の夜風にあたりながら、公園の木に止まって、獲物を探す。
この辺りは若いカップルが多くて、舌打ちしちまう。
ったく…色恋沙汰に現を抜かしてんじゃねぇよ!
最近覚えたちょっと小難しい言葉で悪態をついてみるけれど、それでいい男が見つかるわけでもない。
場所を変えようと、飛び立ったところで、ロードバイクを漕いでいる男が目に入った。
それも、遠目にもわかるくらい極上に顔が良い男だ。
大きい荷物を肩から下げているから、何かスポーツをやっているに違いない。
童貞かどうかは分からないが、とりあえず後を追う。
この男、寝ながら運転しているのかふらふらと危なっかしい。
よく無事だったな…と男が無事自宅に着いたことに心の底からほっとして、玄関から一緒にこっそり忍び込み様子をうかがう。
大盛りの飯をよそっているのは、母親だろう。
「またラブレター届いてたわよ…」
「いらね…」
「まったく…将来結婚できるか不安だわ」
なんて小言を聞けば、おそらくあいつは童貞だと予想がついて、涎が垂れそうになって口を拭った。
その男は飯をかきこんで、風呂に入る。
上半身裸で出てきた姿を見て、思わず腹の虫が鳴ってしまう。
…もう我慢できねぇ。
そいつが部屋に入ると同時にカプリと嚙みついた。
ウマい!!!
俺好みのドンピシャなその味にうっとりしながら夢中になって飲んでいるうちに、
「なんだ?」
ツンツンとつつかれて、俺はハッと口を離す。
「ヤベっ、バレた!」
飛んで逃げようとした時にはもう遅く、男に摘ままれてしまった。
「すまねぇ…あんたの血が旨すぎて…」
「ち?」
「おめえみてぇな童貞イケメンの血は旨いんだよ」
「は?」
「俺は吸血鬼だからな!」
「きゅーけつき?」
「マジか…知らねぇのかよ…」
「聞いたことはある」
ムッとしながらそう返答したので、バカだけど負けず嫌いなのかもしれない。
吸血鬼の俺を見ても驚かないし、こんなに興味なさげな態度を示す人間は初めてで、こいつの血だけでなくコイツ自身にも興味が出てくる。
「で、名前は?」
「流川」
「ルカワか…で、何のスポーツやってんの?」
「バスケ」
「おー!あの球入れるやつか。前にいたとこの坊主頭たちがやってたのと同じだな」
「球入れじゃねぇ、バスケ」
「悪ぃ…バスケをやってるやつらは、だいたいが童貞で血が旨いんだな!」
「どうてい?」
「ルカワは知らなくていいことだ!俺はおまえが気に入った!これからここに通わせてもらう」
「どーぞ」
「はぁ?いいのかよ?」
自分から宣言しておいてアレだが、まさかどうぞなんて言われると思わずに思わず聞き返してしまう。
「カワイイから」
「は?」
「きゅーけつき」
……つまり、ルカワは俺が可愛いと言っているのか?
「俺は、男だ!可愛くねぇ!!人間と同じようにチンチンだって付いてるんだぜ!」
俺のセリフにルカワは興味深そうに俺を再度摘まんで、俺の股間が視界に入るように持ち上げるもんだから、恥ずかしくなる。
「…バカヤロウ!ヤメロ!!」
股間を押さえてジタバタすれば、ルカワはすぐに離してくれた。
「じゃ、またその内、来るからな!」
慌てて窓の側まで行き、ルカワの血のおかげで元気いっぱいな俺は魔法の力で外へとすり抜けた。
窓の外をじっと見つめるルカワに、べーっと舌を出してやる。
でもルカワは、また来いよと言わんばかりに手を振ってくれた。
たったそれだけなのに、人間と、いやルカワと仲良くなれた気がして嬉しいと同時にちょっとキュッと胸が締め付けられる気がした。
こんな感情は初めてで俺は正直よく分からないけれど、明日の夜、必ずルカワの家に来ようと家の場所を目に焼き付けたのだった。
***
2022.9.15.
玄米さま、素敵なイラスト
ありがとうございました!!
パロ的なお話初めて書いたのですが、楽しかったです♪
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