神くんとの一日【神宗一郎】
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【チャイムと蝉の午後12時】
3限目の自習の時にとんでもないことを言われてから、私は、神くんが気になるのにそっちを向けないでいた。
それに、さっき渡されたメモもどうしていいか分からないまま、結局、ペンケースに仕舞っている。
苦手な数学の授業だから、集中して聞こうとすればするほど、神くんが気になってしまう。
黒板に集中をしようにも、身長の高い神くんは、嫌でも視界の端に捉えてしまって、気を抜いたら、そちらばかり見つめてしまいそうだ。
だからといって、手元の教科書に目を落としてもペンケースの中のメモのことを考えてしまう。
エアコンが効いているはずなのに、めちゃくちゃ暑くて、手のひらはじっとり汗ばんでいる。
こんなに緊張した授業は初めてというくらいに緊張して、先生の一言一句がどこか遠い国の言葉に聞こえてくる。
外から小さなチャイムが聞こえてくるけれど、正午を告げるチャイムで、授業はまだまだ終わらない。
お昼の12時は、午後12時だっけ?それとも午前12時?
午前0時が真夜中のことだから、お昼の12時は午前12時かぁ…今、午後12時で今日の出来事は夢の中の出来事だったらいいのに…
なんて、手の甲にシャーペンをさしてみるけれど、もれなく痛いから、今日起こっている出来事は夢ではなくて現実だ。
外を見て落ち着こうと、神くんのいる方と反対側、廊下側の窓の外を見てみる。
運の悪いことに廊下越しの窓に神くんがいつも練習するバスケ部の体育館が見えて、ドキドキは収まることはなく、黒板へと視線を戻す。
そうこうしているうちに授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
先生が出ていくとすぐに、神くんの手が伸びてきた。
「綺麗な手にあんなことしたらダメだよ」
『え?』
「ここ…」
うっすらと黒い点がついた手の甲を優しく撫でられて、びくっと手を引っ込める。
『ご、ゴメン…』
「俺、バスケ部のやつらとお弁当食べる約束してるから、行かなくちゃなんだけど…お昼食べたら、バスケ部の昼の自主練、練習見に来てよ。貝原さんいてくれたらいつも以上に頑張れそうだから」
神くんは私の返事を聞かずに、鞄を持って教室を出て行ってしまった。
「奈保、神くんとめちゃくちゃ仲良くなってない?」
そんな風に友だちに話しかけられて、私はこくこくと頷くしかできなかった。
『練習見に来てって…』
「すご!早く食べなくちゃ!」
どこか他人事のようにお弁当を食べて、体育館へと向かう。
やっぱり、今は午後12時ってことは無いだろうか?
そんなことを期待して、空を見上げるけれど、ギラギラと照り付ける太陽とうるさいセミの鳴き声が、嫌でも昼だと教えてくれる。
授業開始のチャイムが鳴るのもまだ先だ。
緊張しすぎてのどがカラカラのまま、こっそりバスケ部が自主練している体育館へと入ったのだった。
3限目の自習の時にとんでもないことを言われてから、私は、神くんが気になるのにそっちを向けないでいた。
それに、さっき渡されたメモもどうしていいか分からないまま、結局、ペンケースに仕舞っている。
苦手な数学の授業だから、集中して聞こうとすればするほど、神くんが気になってしまう。
黒板に集中をしようにも、身長の高い神くんは、嫌でも視界の端に捉えてしまって、気を抜いたら、そちらばかり見つめてしまいそうだ。
だからといって、手元の教科書に目を落としてもペンケースの中のメモのことを考えてしまう。
エアコンが効いているはずなのに、めちゃくちゃ暑くて、手のひらはじっとり汗ばんでいる。
こんなに緊張した授業は初めてというくらいに緊張して、先生の一言一句がどこか遠い国の言葉に聞こえてくる。
外から小さなチャイムが聞こえてくるけれど、正午を告げるチャイムで、授業はまだまだ終わらない。
お昼の12時は、午後12時だっけ?それとも午前12時?
午前0時が真夜中のことだから、お昼の12時は午前12時かぁ…今、午後12時で今日の出来事は夢の中の出来事だったらいいのに…
なんて、手の甲にシャーペンをさしてみるけれど、もれなく痛いから、今日起こっている出来事は夢ではなくて現実だ。
外を見て落ち着こうと、神くんのいる方と反対側、廊下側の窓の外を見てみる。
運の悪いことに廊下越しの窓に神くんがいつも練習するバスケ部の体育館が見えて、ドキドキは収まることはなく、黒板へと視線を戻す。
そうこうしているうちに授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
先生が出ていくとすぐに、神くんの手が伸びてきた。
「綺麗な手にあんなことしたらダメだよ」
『え?』
「ここ…」
うっすらと黒い点がついた手の甲を優しく撫でられて、びくっと手を引っ込める。
『ご、ゴメン…』
「俺、バスケ部のやつらとお弁当食べる約束してるから、行かなくちゃなんだけど…お昼食べたら、バスケ部の昼の自主練、練習見に来てよ。貝原さんいてくれたらいつも以上に頑張れそうだから」
神くんは私の返事を聞かずに、鞄を持って教室を出て行ってしまった。
「奈保、神くんとめちゃくちゃ仲良くなってない?」
そんな風に友だちに話しかけられて、私はこくこくと頷くしかできなかった。
『練習見に来てって…』
「すご!早く食べなくちゃ!」
どこか他人事のようにお弁当を食べて、体育館へと向かう。
やっぱり、今は午後12時ってことは無いだろうか?
そんなことを期待して、空を見上げるけれど、ギラギラと照り付ける太陽とうるさいセミの鳴き声が、嫌でも昼だと教えてくれる。
授業開始のチャイムが鳴るのもまだ先だ。
緊張しすぎてのどがカラカラのまま、こっそりバスケ部が自主練している体育館へと入ったのだった。