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コロコロ



「GAME END. Winner, 」

勝敗を告げるアナウンスが流れ、興奮のあまり名前が聞き取れなかったが、彼女が勝利したことが分かった。以前ファイトした時と変わらないプレイスタイルにテツヤの胸は高鳴りっぱなしだ。しかも彼女は笑顔で楽しそうにファイトしている。あの時のファイトで教えてあげたことが重なり、記憶が戻ったのかと気持ちが逸る。

「オレ、あの子に会ってくるYO」

「やめとけテツヤ。術は解けてるみたいだが、記憶が戻ってる確証はない。お前のことも憶えてないかもな」

「…っ!でも…!」

「それに、お前に会っちまうことで、だわさの女だっだことを思い出したら、苦しむのはあっちだぞ。それでもいいのか?」

アスモダイの言葉にずきりと胸が痛む。自分と会ってしまいあの笑顔が曇ってしまうことは十分に考えられる。
でも、それでも…

「オレが直接会って確かめてくるYO!」

言うが早く、テツヤの足は彼女の元へと向かっていた。




「ねぇ、キミ!」

ファイティングステージのエレベーターから出てきたところにちょうど間に合ったテツヤは、咄嗟に声を掛ける。ゆっくりと振り返った彼女は不思議そうな顔でテツヤを見ていた。

「あの、どなた…?」

その言葉はテツヤにとってショックなものだった。二度も忘れられたやるせない思いを必死に隠し、笑顔で話しかける。

「キミのファイト、とっても楽しそうで、見ているこっちもワクワクしたんだYO!」

それを聞いた彼女は少し照れたように下を向き、そばかすの多い頬を赤らめた。

「元々は、バディファイトはやってなかったんですけど、いつか、誰かに、『バディファイトは楽しんでやるものだ』って教えられたような気がして…。そう言ってもらえると、その人に恩返しができたと思います。ありがとうございます」

そう言う彼女は、あのファイトで見せたのと同じ笑顔で。何も憶えていない彼女の何も変わっていない部分が見られ、テツヤはますます嬉しくなった。

「オレ、黒岳テツヤ!キミと友達になりたいんだYO!だから!」

テツヤは手を差し出し、彼女をしっかりと見据え、口を開く。

「だから、キミの名前を、教えてYO」

彼女はテツヤの様子に目を瞬かせたが、にっこりと微笑むと、テツヤの手を取り握手をする。

「ええ、よろこんで」




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