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妖怪ウォッチ


※3設定、犬時間ネタ




最近家の中にいても妙に落ち着かない。玄関、リビング、洗面所、自分の部屋、必ずどこかで誰かの視線を感じる。相手の姿は見えない。けれど確実にそこにいる「何か」。
その気配が不気味で気持ち悪く、家にいるのが嫌になり、暗くなるギリギリまで友達と遊んだり公園で時間を潰したりしていた。

ある日、友達との会話が盛り上がり、気づいた時には既に外は薄暗くなっていた。さすがにまずいので急いで家路を辿り、角を曲がれば家に着く、というところであの気配を感じた。しかもそれは角の向こう側でこちらを待ち伏せているようだ。
ここを曲がらないと家に帰れない。しかしこの先にいる「何か」に足が竦んでしまう。徐々に背後からも気配が近づいてきて、肩にずしりと重りが乗った感じがした。自分が自分でなくなるような、言い知れぬ不安が込み上げる。呼吸をするのも苦しく、このまま座りこんでしまったら「何か」に呑み込まれてしまいそうだ。
必死に堪えようとするがついに限界に達し、もうだめだ、と意識を手放しかけた瞬間、ふ、と気配が消えて、肩も軽くなった。空気も重くなく息苦しくない。何があったのか理解出来ないままだが、今のうちに、と家まで急いで帰った。
玄関まで辿り着き振り返る。気配が消えた時に感じた別の気配、あれは一体誰だったのだろうか。






文花が玄関を潜る姿を近くの屋根の上から見下ろすのは、オロチだ。主犯格の妖怪の頭をマフラーの龍が咥えている。


「まったく…過度なイタズラは大王行きの案件だからな…?」


アレは身内にも容赦はないぞ…?とオロチは声を潜め、マフラーの龍がギリギリと頭を締め上げると、妖怪は怯え、紫煙を上げて姿を消した。
あの少女は妖怪の気配をある程度察知出来るようだが、それ故標的になりやすい。この街には少女以外にも勘の良い者がいるであろうから、注意しておかねば…。
オロチの意識は少女個人から街全体へと戻り、その姿は暗闇に紛れた。




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