トモダチこれくしょん?
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空中に浮かぶ半透明のメニュー画面が、リビングの照明を反射して淡く発光している。
その青白い光に照らされたナマエの指先を、男たちは飢えた獣のような目で見つめていた。誰に何を与え、誰を優遇するのか。ナマエが画面をタップするその一打は、この島における絶対的な「序列」の証明となる。
甚爾「おもしれぇ。……なぁナマエ、お前、俺と住まねぇか」
甚爾が身を乗り出し、ナマエの視界を独占するように顔を近づけた。その口元には不敵な笑みが浮かんでいる。
甚爾「忘れたとは言わせねぇぞ。お前がこの島を始めた時、一番最初に作ったのは誰だ?…覚えてるだろ?……俺だったはずだ。……俺はお前の"お気に入り"だろ? 直哉と恋人関係になってるが、んなもんはシステム上の話だ。俺の心までは縛れてねぇよ」
甚爾の低い声が鼓膜を揺らす。彼が「直哉」の名を出した瞬間、ナマエの脳裏に設定上の人間関係がフラッシュバックした。
確かに、自分が好きなカップリングは絶対にくっつけたい!と執念で繋げた縁だ。けれど、目の前の甚爾から発せられるナマエへの熱量は、プログラムされたデータなどではない。
夏油「……甚爾、見苦しいよ。過去の栄光に縋るなんて」
夏油が、ナマエの震える指先に自分の手を重ねた。冷ややかなのに、ひどく滑らかな肌の感触。
夏油「いいや、私と一緒がいいはずさ、ナマエ。悟と恋人にはなっているが……それも君が仕向けただけの、空虚な関係だろう? 君が本当に求めているのは、システムで強引に結ばれた絆ではなく、私との『対話』のはずだ」
夏油の指が、ナマエの指を導くようにメニュー画面へと近づいていく。
五条と恋人関係にあるはずの夏油が、その親友を出し抜こうとする歪な独占欲。ナマエは、自分が設定した「人間関係」という名の鎖が、彼らにとってはただの皮肉な枷でしかないことを思い知らされる。
五条「あはっ! 傑も甚爾も必死すぎ。ナマエが困ってるじゃん」
五条は余裕を崩さず、ナマエの背後からその細い首筋に鼻先を埋めた。深く、執拗に。五条の吐息が、ナマエの肌に直接触れる。
五条「まあ、僕と傑が恋人関係なのは『事実』だけどね? ナマエ、君の指で今!僕に何か『プレゼント』してみてよ。僕の事沢山可愛がってくれてたじゃない?」
恵「……やめろ、いい加減にしろ!」
恵の怒声が響く。彼は画面とナマエの間に強引に割り込み、浮遊するメニュー画面を拳で殴るようにしてかき消そうとした。
恵「あんたたちは、ナマエさんに何をさせてるんだ! あんたたちに、今の彼女を縛り付ける権利なんてないはずだ……っ!」
恵の瞳には、涙に近い情熱と、やり場のない憤りがあった。最近作られた自分だけが、ナマエとの「親密な過去」を何も持っていない。自分だけが、彼女に与えられた「役割」がない。その焦燥が、彼をより一層不器用な執着へと駆り立てる。
五条は再びメニュー画面を呼び出しナマエを小突く。ナマエは震える手で「プレゼント」の項目を開いた。
…そこには、この島の住人なら誰もが喉から手が出るほど欲しがる、希少なアイテムが並んでいた。
ナマエ(……誰を選べばいいの? 誰に、これを与えれば……)
ナマエの指が画面上で彷徨う。
その一瞬の迷いすら、男たちの欲望を煽るガソリンとなっていた。
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