トモダチこれくしょん?
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五条の提案で始まった「歓迎会」は、和やかな団らんとは程遠い、火花の散るような探り合いの場と化した。
リビングの広いソファの真ん主にナマエが座らされ、その両脇を当然のように五条と夏油が占拠する。甚爾はナマエの正面、ローテーブルに長い脚を投げ出し、硝子は少し離れたカウンターで「見ものだね」と言わんばかりにグラスを傾けていた。
…恵はソワソワとしながらキッチンに寄りかかり、座ろうとはしなかった。
五条「さてさて、まずは確認から始めようか。ナマエ、君はこっち側に来ても『管理者』としての力、持ってるわけ?」
五条がナマエの肩に腕を回し、顔を覗き込んでくる。その口調は軽快だが、蒼く光る六眼は、ナマエの存在そのものを分解して解析するかのような冷徹さを孕んでいた。彼は最初から気づいていたはずだ。この世界の法則が書き換わった瞬間を。
ナマエ「力って……よくわからない。でも、みんなの好物とか、誰と誰が仲が良いかとかは、頭の中に入ってるけど……」
甚爾「ほう……好物、ねえ」
甚爾が身を乗り出し、獣のような鋭い視線でナマエを射抜く。
甚爾「俺が今、何に飢えてるかも分かるか? 画面越しに命令してた時みたいに、金でも食いもんでも、俺の望むもんを『支給』してくれんのかよ。もしできるってんなら、俺はお前の忠実な犬にだってなってやるぜ、ナマエ」
甚爾の言葉は露骨だった。彼はこの事態を「チャンス」だと捉えている。神にも等しいプレイヤーを懐柔すれば、この島での生活はより贅沢で、退屈しないものになる。
夏油「野蛮だね、甚爾。彼女をそんな道具のように扱うなんて」
夏油がナマエの手首を優しく、けれど指の腹で脈打つ箇所をなぞるようにして掴んだ。
夏油「ナマエ、彼の言うことは気にしなくていい。君はここにいるだけで価値がある。……ただ、もし君が望むなら、私は君の右腕として、この島の『調整』を手伝いたい。君が不快に思う住人は私が排除しよう。……ねえ、まずは私と特別な協力関係を結ばないかい?」
夏油の微笑みは甘く、毒のように脳を痺れさせる。甚爾とは違う、より狡猾で精神的な支配を目的とした「取り入り」だ。
恵「……ふざけるな」
耐えかねたように、恵が低い声で割り込んだ。彼はナマエの前に立ち、五条や夏油から彼女を隠すように背を向ける。
恵「あんたたちは……恥ずかしくないのか。ナマエさんが困ってるだろう。利用価値だの協力関係だの、そんな汚い話に彼女を巻き込むな」
恵の拳は白くなるほど握りしめられていた。彼は、ナマエを単なる「プレイヤー」として見ていない。ただ一人の、守るべき女性として心に刻んでしまった。だからこそ、この狡猾な大人たちが彼女を汚し、自分たちの都合のいいように染めようとしていることが許せなかった。
恵「ナマエさん、行こう。俺が、あんたを静かな場所に連れて行く。こんな奴らの言うことを聞く必要はないんだ」
五条「おっと、恵。そんな怖い顔しなーいの。歓迎会はまだ始まったばかりだよ?」
五条が指先を鳴らすと、ナマエの目の前に見覚えのあるアイコンが空中投影された。
五条「ほら、これ。ゲームのメニュー画面。ナマエ、これ触れる?」
宙に浮く「プレゼント」のボタン。それを見つめる大人たちの瞳には、それぞれの欲望が渦巻いている。
硝子「……あーあ、可哀想に。ナマエ、あんまりこいつらを甘やかすと、一生その座から降ろしてもらえなくなるよ」
硝子の皮肉な忠告が、密室のような空気の中に溶けていった。
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