トモダチこれくしょん?
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五条は暴れる恵を不可視の力で床に縫い付けたまま、悠然とした足取りでナマエに歩み寄った。
彼はベッドの端に腰を下ろすと、乱れた髪を整えるようにナマエの頬を優しく撫でる。その指先は驚くほど冷たく、先ほどまでナマエを抱いていた恵の熱を、容赦なく塗り潰していく。
五条「昨夜のことは、全部無かったことにしようか? 恵の記憶も、君の体の記憶も」
甘い、けれど逃げ場を許さない声音。ナマエは震える唇を噛み、五条を見上げた。
ナマエ「……そんな機能、なかったはずよ。トモコレに、特定の時間だけを消すなんて……」
五条「いいや、あるよ。セーブしてなかったろ?」
五条の指が、ナマエの目元の涙をそっと拭う。
五条「セーブの表示が見えたのは、君が空から降ってきた直後だ。それ以降、君は一度も『記録』していない。……今のこの状況、恵の暴走も、君が汚されたことも、全部『なかったこと』にして最初からやり直せるんだ」
五条はナマエの耳元に唇を寄せ、毒を注ぎ込むように囁いた。
五条「リセットボタンを押すだけ。そうすれば、恵はまた君の作った忠実で真面目な教え子に戻る。君の体も、彼に暴かれた痛みなんて忘れて、真っ白に戻れる。……ねえ、それが一番いい解決策だと思わない?」
ナマエ「…………っ」
五条の言うことは正しい。リセットすれば、この泥沼のような執着からも、今まさに恵に向けられている殺意からも逃れられる。
恵「やめろ……っ! 五条先生、やめてくれ……!!」
床に組み伏せられた恵が、喉を潰さんばかりに叫ぶ。
恵「消さないでくれ……! 頼む、それだけは……。俺が、俺が最低なことをした、それは分かってる。でも、あの夜の彼女は、確かに俺を見てたんだ……! 全部なかったことになんて、させない……!」
乙骨「……恵くん、君はもう黙っていたほうがいい」
乙骨が恵の首筋に手を置き、その意識を強引に沈めようとする。乙骨の瞳には、恵への憐れみと、ナマエを「正常な状態」に戻そうとする強固な意志が宿っていた。
甚爾「……ハッ、リセットかよ。お利口な解決策だな。だがよ、五条。ナマエがリセットを選んだとして、お前は本当に『忘れる』つもりか?」
甚爾が壁に背を預け、冷ややかな視線を五条に向ける。
五条「さあね。管理者が望むなら、僕はなんだって叶えてあげるよ。……さあ、ナマエ。選択して。君の指一本で、この醜い夜を消し去ってあげる」
五条がナマエの手を取り、宙に浮かぶ「リセット」の赤いボタンへと導く。
そのボタンを押せば、恵との間に刻まれた生々しい愛撫の記憶も、彼の熱も、すべてが幻になる。
--けれど、ナマエの指はボタンの直前で止まった。
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