トモダチこれくしょん?
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「――見ーつけた」
暗がりに響いたのは、心臓を直接撫でるような、五条の軽薄で冷徹な声だった。
灯台の放つ白い光が旋回し、岩陰に立つ白銀の髪を照らし出す。その隣には、不敵な笑みを湛えた夏油が静かに佇んでいた。
直哉「……ちっ、もう来たんか。しつこい連中やな」
直哉がナマエを抱きしめる腕に力を込めたその時、もう一つの足音が、絶望的なまでの執念を伴って橋を駆けてきた。
恵「離せ……離してください、直哉さん!」
肩で激しく息をしながら現れた恵の瞳は、これまでにないほど鋭く据わっていた。彼は五条たちの横を通り抜け、直哉とナマエの間に強引に割り込む。
恵「五条さんには夏油さん、直哉さんには甚爾が、それぞれ恋人として隣にいるじゃないですか。……それが、ナマエさんが画面の向こう側で望んだ『幸せな島の形』だったはずですよね? 二人とも、今すぐ自分の家に帰ってください」
恵の言葉は、この世界の「理」を突いた、残酷なまでの正論だった。
一瞬、五条の口角が下がり、夏油の瞳から光が消える。自分たちがナマエによって「設定」された関係性を、今さら恵に突きつけられるとは思ってもみなかったのだろう。
恵「ナマエさんを、これ以上あんたたちの身勝手な欲望で振り回さないでくれ」
恵は直哉の腕を乱暴に振りほどき、戸惑うナマエの手を強く、折れそうなほど必死に握りしめた。
直哉「……恵、自分、分かってて言うてんのか。設定なんか、もう……!」
五条「へぇ……恵、随分と生意気な口を利くようになったね。僕らを追い返して、君はどうするつもり?」
恵は五条の射抜くような視線から逃げることなく、ナマエを自分の背後に隠した。
恵「俺は、あんたたちみたいに彼女を利用しない。……ナマエさん、行こう」
恵はナマエの手を引くと、島クリエイトで作られた灯台へと続く狭く長い一本橋を走り出した。背後で大人たちが追いかけてこようとする気配を感じるが、橋は一人ずつしか通れないほど細い。恵はナマエを急かしながら、住宅街の隅にある、自分の小さな家へと彼女を導いた。
---扉を閉め、鍵を二重にかける。
狭いワンルームの中、ようやく二人きりになった静寂が、ナマエの鼓膜に痛いほど響く。
恵「……はぁ、っ、……すみません、強引に。でも、あそこにいたら、本当に……」
恵は玄関に背を向けたまま、ナマエの手を離しようとしなかった。握られた掌は、先ほどの直哉のものとは違う、冷たく湿った、けれど確かな震えを伴っている。
恵「……俺だけなんです。ナマエさんがこの島で作った関係の中で、誰とも繋がっていないのは。……俺には、この家だけ。隣にいるべき相手も、最初から用意されていなかった」
ゆっくりと振り返った恵の顔には、真面目ゆえに抱え込んでしまった、真っ黒な情熱が渦巻いていた。
恵「それが、これほど嬉しいと思ったことはありません。……ナマエさん。俺だけを見てください。俺が……俺だけが、アンタを一番に必要としてる」
恵はナマエを壁際へと追い詰め、逃げ場をなくすように両手を突いた。不器用な愛し方しか知らない少年の、執念にも似た独占欲が、夜の空気の中に濃く、生々しく溶け出していく。
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