呪術廻戦*短編
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【やめてもらっていいですか!?】
食堂の窓の外は、眩しいほどの晴天だった。初夏の紫外線が容赦なく瞳を刺激する。
どこかの雑学で、人間は目に紫外線が当たると肌が日焼けするメカニズムを持っていると読んだ記憶が頭の片隅をよぎる。
そんな、どうでもいい知識をぼんやりと反芻しながら、私は一限目の打ち合わせのために高専の食堂へと足を運んでいた。
ーー私はこの呪術高専で教師の補助、もっと露骨に言えばただの雑用係をして生活している。理由は極めてシンプルかつ、不条理な私の体質にある。
流した涙が、術者の呪力を劇的に回復させる宝石へと変化する特殊な体質。穿血の術式のように、私の体液には常に呪力が混ざり合い、呪霊にとってはこれ以上ないほど栄養豊富で美味な御馳走として映るらしい。
つまり、戦闘能力は完全にザコであるにもかかわらず、万が一にも呪詛師の手に落ちれば、最悪の永久機関として拉致・監禁されかねない、どーしようもない存在というわけだ。だからこそ、高専の敷地外に出て生活することは厳重に禁じられている。
「おはよーございますー……」
ドアを開けると、すでに生徒たちの賑やかな朝食タイムが始まっていた。溢れんばかりの若さが、眩しすぎて少し目に染みる。
テーブルの端では、伏黒甚爾先生が今日も今日とて気怠そうにコーヒーカップを傾けていた。こちらを一瞥し、低く短い声を漏らす。
甚爾「おう」
…それだけだ。五条先生や夏油先生といった他の教師陣と違い、この男は細かい授業の準備や事務手続きを完全に私に丸投げしてくる。
仕事があるだけありがたいと喜ぶべきか、それとも少しは動けと釘を刺してやるべきか、毎朝のように私の胸の内では小さな葛藤が巻き起こる。
私は抱えていた資料を胸に抱え直し、彼の座る席へと近づいた。
ナマエ「甚爾先生、今日の授業は体力計測でしたよね? 必要なファイルを持ってきました。一応、手順の確認だけお願いしてもいいですか」
仕事の打ち合わせを始めようとした、その時だった。
甚爾先生の肩に、いつもがっちりと巻き付いている紫の不気味な影が、ぬうと動いた。醜悪な顔に不気味な笑みを浮かべた格納呪霊だ。
…私はこのブッサイクな芋虫が、心底苦手だった。
いや、嫌な予感がした時には、すでに手遅れだった。
「ま……ま、ぁ……っ」
お前そんな素早い動きができるのかと叫びたくなるほどの俊敏さで、醜い肉塊が甚爾先生の身体を離れ、私目掛けて飛び込んできた。
ナマエ「きゃっ、ちょっと――!」
重い肉の質量が容赦なく私の身体に巻き付く。その瞬間、強烈な嫌悪感と、肌に直接触れる生々しい呪霊の粘着質な感触が全身の鳥肌を立たせた。
「〇×△~……!!」
意味をなさない粘ついた声を漏らしながら、芋虫くんは私の耳や頬、速度を早めて狙いを定めたように唇へとその醜悪な口を押し当ててくる。ベロベロと容赦なく皮膚を舐め上げる感触に、喉の奥が恐怖と嫌悪でキュッと縮こまった。
ナマエ「……んむっ……ンン……、はぁ,ちょ、やめ……っ! んッ……!」
抵抗する隙など与えられない。呪霊のぬるりと湿った舌が、私の口内を乱暴にかき回すように強引に侵入してくる。体液に含まれる栄養を、一滴も残さず吸い尽くそうとする底なしの執着。頭の芯がジクジクと熱くなり、呼吸が浅くなる。酸欠と不快感で視界がチカチカと明滅した。
いつもの突発的な大惨事に、朝食を摂っていた生徒たちが一斉にギョッとした表情を浮かべ、箸を止めて横目で盗み見始める。
虎杖「おぁ、また始まった……。あの格納呪霊、ナマエ先生にだけは異常に飛びつくよなー。甚爾先生以外の人間に懐くことってあるんだなぁ…」
釘崎「ちょっと、悠仁、呑気に感心してんじゃないわよ。あのビジュアルに毎回ベロンベロンされてるの見せられるこっちの身にもなってよね。私なら一秒で精神崩壊して呪い殺してるわ、絶対に耐えられない」
恵「……お前ら、声が大きい。それに、あれは懐いてるっていう生易しいものじゃない。ナマエ先生の体質を考えれば、単に呪力を吸われてるだけだろ」
伏黒恵が苦々しい表情でトーストを噛み砕く。高専の生徒であれば、私のこの奇妙な特性のことは誰もが知っている。涙が宝石になるということは、唾液も血液も、すべての体液に呪力的な旨みが凝縮されているということだ。呪霊にとっての私は、歩く最高級の栄養ドリンクのようなものなのだろう。
遠巻きに観察する生徒たちの視線を浴びながら、事態はさらに悪化していく。
芋虫呪霊の醜い尻尾の先が、不穏な動きで私の制服のスカートの裾をめくり上げた。衣服の隙間から滑り込んだ冷たくて湿った肉塊が、太ももを這い上がり、下腹部へと伸びていく。
ナマエ「ん、ぁ……っ、だめ……っ、そこ……!」
年頃の高校生たちにはいささか刺激が強すぎる、あまりにも露骨で扇情的な光景。どこかのファンタジー小説で読んだ、醜悪な触手に捕らえられた女冒険者のソレが、現実の、しかも神聖なはずの高専の食堂で繰り広げられているのだ。
全身をがんじがらめに縛り上げられ、私はまともに立っていることすらできなくなった。膝の力が抜け、背後のソファへと崩れ落ちるように倒れ込む。
攻撃力が無いから3級呪霊並みとは言え…あの伏黒甚爾にくっつき続けられる力を持つこの格納呪霊の拘束を自力で振りほどくのは、術師としての戦闘能力が皆無な私にとって、不可能な話だった。
ショーツの上から、執拗に敏感な部分をふにふにと弄り、刺激される。その不快な刺激が脳へと達するたびに、私の身体はビクンと小さく跳ね上がった。
生理的な恐怖と恥ずかしさ、そして圧倒的な快楽もどきの刺激に耐えかねて、目元からポロリと涙が溢れ出る。
大粒の涙は、ポロポロと硬質な音を立てて純度の高い呪力宝石へと姿を変え、食堂の床へと虚しく散らばっていった。
甚爾「ハッ、朝から景気がいいねぇ。相変わらず隙だらけだなお前。そんなにその芋虫の舌が気持ちいいかよ、ナマエ?」
甚爾先生は、目の前で繰り広げられる私の無様な姿を助けようともせず、テーブルに片肘をついてニヤニヤと楽しそうに眺めている。
底意地の悪い笑みを浮かべ、コーヒーを一口すするその姿には、大人の余裕というよりは、単なる悪趣味なサディストの性質が色濃く出ていた。
そこへ、廊下から足音が響き、遅れて二人の大男が食堂に入ってきた。五条悟と夏油傑だ。二人は扉を開けた瞬間に広がっていた、あまりにも淫らで騒がしい光景を目にし、呆れたような、そして楽しむような視線を甚爾へと向けた。
五条「ちょーっと甚爾、何見て楽しんでんのさ。早く助けてやんなよ、可哀想に。……まあ、鑑賞物としてはこれ以上ないくらい最高にいい景色だけどね? 」
夏油「悟、冗談が過ぎるよ。甚爾、呪霊の制御は主人の仕事だろう。これ以上彼女をいたぶるのは感心しないね。……そりゃあ、私の中にある呪霊たちもその甘い体液の匂いを嗅ぎつけて、腹の底で気味悪いくらいザワついてるけれど。私なら、もっと静かな部屋でスマートに扱うよ」
夏油はジトっとした目で一瞥すると自身の唇を舐めていた。
甚爾「あン? 悪ぃが、こいつは俺の命令じゃなくて、この呪霊が勝手にやってる事だ。止められねぇナマエが弱ぇのが悪いんだろ。自己責任ってやつだ」
五条「そりゃそうだけどさー。ナマエの弱さは今に始まったことじゃないしね。高専生の頃からずーっとこれだからさ。もう改善する見込みなしーっ☆」
五条先生が軽薄にピースサインを作ってみせる。私は必死に彼らに向かって「助けて」と抗議の声を上げようとしたが、芋虫呪霊の太い舌が口内を乱暴にかき回しているせいで、ただの潰れた吐息にしかならない。
ナマエ「ふ,ぐ……ん,むぅ……っ!」
五条と夏油は、私の高専時代の一個上の先輩だった。あの頃から何一つ変わっていない。私が相変わらず弱いままなのも、彼らがこうして私をからかい、どこか楽しんでいる構図も、すべてはあの頃の延長線上にあった。
だからこそ「改善の見込みなし」と、昔馴染みの気安さで突き放されるのだ。
甚爾「チッ……まあ、これ以上やると書類仕事の代行がいなくなるからな。ほら、戻ってこい、ブタ」
甚爾先生はさすがに潮時と判断したのか、気怠げに腰を上げると、私の身体にへばりついていた格納呪霊の首根っこを掴んだ。
傷、人間離れした怪力で、力任せにベリベリと引き剥がした。
ナマエ「はっ……ぁ、げほっ、ごほっ……!」
解放された瞬間、私は激しく咳き込みながらソファにしがみついた。
私の頬は真っ赤に上気し、乱れた髪が肌に張り付いている。
そして何より、呪霊の粘液と私自身の唾液が混ざり合った透明な液体が、唇から顎のラインを伝って生々しく滴り落ちていた。衣服は乱れ、胸元が大きくはだけたその姿は、あまりにも艶めかしく、術師たちの本能を揺さぶる無防備さだった。
その一瞬の静寂。食堂全体に、妙に重苦しく、生々しい空気が張り詰める。
大人三人――五条、夏油、甚爾の視線が、同時に私の濡れた唇へと注がれた。彼らの瞳の奥に、一瞬だけ宿った、獣のような暗い執着の色。
生徒たちもまた、言葉を失ったようにその光景に釘付けになり、誰からともなく、ゴクリと静かに生唾を飲み込む音が響いた。
乙骨「……何度見ても、こればかりは、その……慣れませんね……」
乙骨憂太は完全に顔を真っ赤に染め、視線をどこにやっていいのか分からないといった風に、泳がせている。彼の隣にいる狗巻棘も、トレードマークの襟を限界まで引き上げ、耳まで真っ赤にしながら小さく「しゃけ……」と、掠れた声を漏らし、席を立つと静かに床の宝石を拾い集め始めていた。
虎杖「……いや、今日のはちょっと、一段とヤバかったッスね。何ていうか、見てるこっちの心臓に悪いっていうか……」
真希「ったく、毎回毎回見てらんねぇよ。甚爾のオッサンも、面白がってないで最初から止めろってんだ」
恵「……ッ」
伏黒恵だけは、何も言わずにただ口元を片手で固く押さえ、不自然なほど素早く視線を窓の外へと逸らした。
彼の脳裏には、昨日図書室で見かけた、ある古い小説の描写が不意にフラッシュバックしていた。
そこには、今の状況と酷似した、触手に陵辱される女の淫らな姿がこれでもかと詳細に書き連ねられていたのだ。
(……最悪だ。まるで、あの小説の場面をナマで見せつけられたような気分だ……)
胸の奥で急激に跳ね上がる鼓動を必死に抑え込みながら、恵は自分が動揺していることを誰にも悟られないよう、必死に冷徹なポーカーフェイスを保ち続けようとしていた。
ナマエ「ちょっと……! 皆してジロジロ見ないでよっ! 甚爾先生も、本ッッ当〜に最低ですからね!……っていうか、毎回毎回こういうの、本当に【やめてもらっていいですか!?】」
涙の宝石を床に転がしたまま、私はベソをかきながら乱れた衣服を整える。
そんな私の剣幕に、五条先生と夏油先生はまた何事もなかったかのように意地の悪い笑みを浮かべて軽口を叩き始める。
だが、私の衣服も尊厳をも荒らした甚爾の格納呪霊だけは、甚爾の背後で、その尻尾の先にべっとりと付着した私の「甘い蜜」を、じろりと私を見つめながら、満足そうに「あむ、あむ」と、ねっとり舐めとっていた。
その様子を、甚爾は勝ち誇った獣のような昏い眼差しで見下ろしながら、フッと低く、愉しげに鼻で笑うのだった。
END
5000アクセス記念
2026.5.26
もしかしたら続く…かも?(読みたいですか?)
甚爾とのベッド以外の野生の本番、五夏との種付けギャンブル、硝子立ち会いの人体実験、生徒たちのハプニング?など続きの構想だけありますが…
…応援お願いします(笑)
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食堂の窓の外は、眩しいほどの晴天だった。初夏の紫外線が容赦なく瞳を刺激する。
どこかの雑学で、人間は目に紫外線が当たると肌が日焼けするメカニズムを持っていると読んだ記憶が頭の片隅をよぎる。
そんな、どうでもいい知識をぼんやりと反芻しながら、私は一限目の打ち合わせのために高専の食堂へと足を運んでいた。
ーー私はこの呪術高専で教師の補助、もっと露骨に言えばただの雑用係をして生活している。理由は極めてシンプルかつ、不条理な私の体質にある。
流した涙が、術者の呪力を劇的に回復させる宝石へと変化する特殊な体質。穿血の術式のように、私の体液には常に呪力が混ざり合い、呪霊にとってはこれ以上ないほど栄養豊富で美味な御馳走として映るらしい。
つまり、戦闘能力は完全にザコであるにもかかわらず、万が一にも呪詛師の手に落ちれば、最悪の永久機関として拉致・監禁されかねない、どーしようもない存在というわけだ。だからこそ、高専の敷地外に出て生活することは厳重に禁じられている。
「おはよーございますー……」
ドアを開けると、すでに生徒たちの賑やかな朝食タイムが始まっていた。溢れんばかりの若さが、眩しすぎて少し目に染みる。
テーブルの端では、伏黒甚爾先生が今日も今日とて気怠そうにコーヒーカップを傾けていた。こちらを一瞥し、低く短い声を漏らす。
甚爾「おう」
…それだけだ。五条先生や夏油先生といった他の教師陣と違い、この男は細かい授業の準備や事務手続きを完全に私に丸投げしてくる。
仕事があるだけありがたいと喜ぶべきか、それとも少しは動けと釘を刺してやるべきか、毎朝のように私の胸の内では小さな葛藤が巻き起こる。
私は抱えていた資料を胸に抱え直し、彼の座る席へと近づいた。
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仕事の打ち合わせを始めようとした、その時だった。
甚爾先生の肩に、いつもがっちりと巻き付いている紫の不気味な影が、ぬうと動いた。醜悪な顔に不気味な笑みを浮かべた格納呪霊だ。
…私はこのブッサイクな芋虫が、心底苦手だった。
いや、嫌な予感がした時には、すでに手遅れだった。
「ま……ま、ぁ……っ」
お前そんな素早い動きができるのかと叫びたくなるほどの俊敏さで、醜い肉塊が甚爾先生の身体を離れ、私目掛けて飛び込んできた。
ナマエ「きゃっ、ちょっと――!」
重い肉の質量が容赦なく私の身体に巻き付く。その瞬間、強烈な嫌悪感と、肌に直接触れる生々しい呪霊の粘着質な感触が全身の鳥肌を立たせた。
「〇×△~……!!」
意味をなさない粘ついた声を漏らしながら、芋虫くんは私の耳や頬、速度を早めて狙いを定めたように唇へとその醜悪な口を押し当ててくる。ベロベロと容赦なく皮膚を舐め上げる感触に、喉の奥が恐怖と嫌悪でキュッと縮こまった。
ナマエ「……んむっ……ンン……、はぁ,ちょ、やめ……っ! んッ……!」
抵抗する隙など与えられない。呪霊のぬるりと湿った舌が、私の口内を乱暴にかき回すように強引に侵入してくる。体液に含まれる栄養を、一滴も残さず吸い尽くそうとする底なしの執着。頭の芯がジクジクと熱くなり、呼吸が浅くなる。酸欠と不快感で視界がチカチカと明滅した。
いつもの突発的な大惨事に、朝食を摂っていた生徒たちが一斉にギョッとした表情を浮かべ、箸を止めて横目で盗み見始める。
虎杖「おぁ、また始まった……。あの格納呪霊、ナマエ先生にだけは異常に飛びつくよなー。甚爾先生以外の人間に懐くことってあるんだなぁ…」
釘崎「ちょっと、悠仁、呑気に感心してんじゃないわよ。あのビジュアルに毎回ベロンベロンされてるの見せられるこっちの身にもなってよね。私なら一秒で精神崩壊して呪い殺してるわ、絶対に耐えられない」
恵「……お前ら、声が大きい。それに、あれは懐いてるっていう生易しいものじゃない。ナマエ先生の体質を考えれば、単に呪力を吸われてるだけだろ」
伏黒恵が苦々しい表情でトーストを噛み砕く。高専の生徒であれば、私のこの奇妙な特性のことは誰もが知っている。涙が宝石になるということは、唾液も血液も、すべての体液に呪力的な旨みが凝縮されているということだ。呪霊にとっての私は、歩く最高級の栄養ドリンクのようなものなのだろう。
遠巻きに観察する生徒たちの視線を浴びながら、事態はさらに悪化していく。
芋虫呪霊の醜い尻尾の先が、不穏な動きで私の制服のスカートの裾をめくり上げた。衣服の隙間から滑り込んだ冷たくて湿った肉塊が、太ももを這い上がり、下腹部へと伸びていく。
ナマエ「ん、ぁ……っ、だめ……っ、そこ……!」
年頃の高校生たちにはいささか刺激が強すぎる、あまりにも露骨で扇情的な光景。どこかのファンタジー小説で読んだ、醜悪な触手に捕らえられた女冒険者のソレが、現実の、しかも神聖なはずの高専の食堂で繰り広げられているのだ。
全身をがんじがらめに縛り上げられ、私はまともに立っていることすらできなくなった。膝の力が抜け、背後のソファへと崩れ落ちるように倒れ込む。
攻撃力が無いから3級呪霊並みとは言え…あの伏黒甚爾にくっつき続けられる力を持つこの格納呪霊の拘束を自力で振りほどくのは、術師としての戦闘能力が皆無な私にとって、不可能な話だった。
ショーツの上から、執拗に敏感な部分をふにふにと弄り、刺激される。その不快な刺激が脳へと達するたびに、私の身体はビクンと小さく跳ね上がった。
生理的な恐怖と恥ずかしさ、そして圧倒的な快楽もどきの刺激に耐えかねて、目元からポロリと涙が溢れ出る。
大粒の涙は、ポロポロと硬質な音を立てて純度の高い呪力宝石へと姿を変え、食堂の床へと虚しく散らばっていった。
甚爾「ハッ、朝から景気がいいねぇ。相変わらず隙だらけだなお前。そんなにその芋虫の舌が気持ちいいかよ、ナマエ?」
甚爾先生は、目の前で繰り広げられる私の無様な姿を助けようともせず、テーブルに片肘をついてニヤニヤと楽しそうに眺めている。
底意地の悪い笑みを浮かべ、コーヒーを一口すするその姿には、大人の余裕というよりは、単なる悪趣味なサディストの性質が色濃く出ていた。
そこへ、廊下から足音が響き、遅れて二人の大男が食堂に入ってきた。五条悟と夏油傑だ。二人は扉を開けた瞬間に広がっていた、あまりにも淫らで騒がしい光景を目にし、呆れたような、そして楽しむような視線を甚爾へと向けた。
五条「ちょーっと甚爾、何見て楽しんでんのさ。早く助けてやんなよ、可哀想に。……まあ、鑑賞物としてはこれ以上ないくらい最高にいい景色だけどね? 」
夏油「悟、冗談が過ぎるよ。甚爾、呪霊の制御は主人の仕事だろう。これ以上彼女をいたぶるのは感心しないね。……そりゃあ、私の中にある呪霊たちもその甘い体液の匂いを嗅ぎつけて、腹の底で気味悪いくらいザワついてるけれど。私なら、もっと静かな部屋でスマートに扱うよ」
夏油はジトっとした目で一瞥すると自身の唇を舐めていた。
甚爾「あン? 悪ぃが、こいつは俺の命令じゃなくて、この呪霊が勝手にやってる事だ。止められねぇナマエが弱ぇのが悪いんだろ。自己責任ってやつだ」
五条「そりゃそうだけどさー。ナマエの弱さは今に始まったことじゃないしね。高専生の頃からずーっとこれだからさ。もう改善する見込みなしーっ☆」
五条先生が軽薄にピースサインを作ってみせる。私は必死に彼らに向かって「助けて」と抗議の声を上げようとしたが、芋虫呪霊の太い舌が口内を乱暴にかき回しているせいで、ただの潰れた吐息にしかならない。
ナマエ「ふ,ぐ……ん,むぅ……っ!」
五条と夏油は、私の高専時代の一個上の先輩だった。あの頃から何一つ変わっていない。私が相変わらず弱いままなのも、彼らがこうして私をからかい、どこか楽しんでいる構図も、すべてはあの頃の延長線上にあった。
だからこそ「改善の見込みなし」と、昔馴染みの気安さで突き放されるのだ。
甚爾「チッ……まあ、これ以上やると書類仕事の代行がいなくなるからな。ほら、戻ってこい、ブタ」
甚爾先生はさすがに潮時と判断したのか、気怠げに腰を上げると、私の身体にへばりついていた格納呪霊の首根っこを掴んだ。
傷、人間離れした怪力で、力任せにベリベリと引き剥がした。
ナマエ「はっ……ぁ、げほっ、ごほっ……!」
解放された瞬間、私は激しく咳き込みながらソファにしがみついた。
私の頬は真っ赤に上気し、乱れた髪が肌に張り付いている。
そして何より、呪霊の粘液と私自身の唾液が混ざり合った透明な液体が、唇から顎のラインを伝って生々しく滴り落ちていた。衣服は乱れ、胸元が大きくはだけたその姿は、あまりにも艶めかしく、術師たちの本能を揺さぶる無防備さだった。
その一瞬の静寂。食堂全体に、妙に重苦しく、生々しい空気が張り詰める。
大人三人――五条、夏油、甚爾の視線が、同時に私の濡れた唇へと注がれた。彼らの瞳の奥に、一瞬だけ宿った、獣のような暗い執着の色。
生徒たちもまた、言葉を失ったようにその光景に釘付けになり、誰からともなく、ゴクリと静かに生唾を飲み込む音が響いた。
乙骨「……何度見ても、こればかりは、その……慣れませんね……」
乙骨憂太は完全に顔を真っ赤に染め、視線をどこにやっていいのか分からないといった風に、泳がせている。彼の隣にいる狗巻棘も、トレードマークの襟を限界まで引き上げ、耳まで真っ赤にしながら小さく「しゃけ……」と、掠れた声を漏らし、席を立つと静かに床の宝石を拾い集め始めていた。
虎杖「……いや、今日のはちょっと、一段とヤバかったッスね。何ていうか、見てるこっちの心臓に悪いっていうか……」
真希「ったく、毎回毎回見てらんねぇよ。甚爾のオッサンも、面白がってないで最初から止めろってんだ」
恵「……ッ」
伏黒恵だけは、何も言わずにただ口元を片手で固く押さえ、不自然なほど素早く視線を窓の外へと逸らした。
彼の脳裏には、昨日図書室で見かけた、ある古い小説の描写が不意にフラッシュバックしていた。
そこには、今の状況と酷似した、触手に陵辱される女の淫らな姿がこれでもかと詳細に書き連ねられていたのだ。
(……最悪だ。まるで、あの小説の場面をナマで見せつけられたような気分だ……)
胸の奥で急激に跳ね上がる鼓動を必死に抑え込みながら、恵は自分が動揺していることを誰にも悟られないよう、必死に冷徹なポーカーフェイスを保ち続けようとしていた。
ナマエ「ちょっと……! 皆してジロジロ見ないでよっ! 甚爾先生も、本ッッ当〜に最低ですからね!……っていうか、毎回毎回こういうの、本当に【やめてもらっていいですか!?】」
涙の宝石を床に転がしたまま、私はベソをかきながら乱れた衣服を整える。
そんな私の剣幕に、五条先生と夏油先生はまた何事もなかったかのように意地の悪い笑みを浮かべて軽口を叩き始める。
だが、私の衣服も尊厳をも荒らした甚爾の格納呪霊だけは、甚爾の背後で、その尻尾の先にべっとりと付着した私の「甘い蜜」を、じろりと私を見つめながら、満足そうに「あむ、あむ」と、ねっとり舐めとっていた。
その様子を、甚爾は勝ち誇った獣のような昏い眼差しで見下ろしながら、フッと低く、愉しげに鼻で笑うのだった。
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