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3章 星を継ぐ希求
!!必読!!夢小説名前設定
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「ナマエさん! 本当に大丈夫だったのか!?」
「心配したのよ、アイツに無理矢理おかしなことされてないでしょうね!?」
「顔色、さっきよりずっと良くなってて安心したよ」
ドアが開いた瞬間、まるで決壊したダムのように、一年生と二年生の面々が椅子を蹴立ててわらわらとナマエの元へと駆け寄ってきた。
その後ろからは、先ほどまで死んだ魚のようだった五条悟と夏油傑までもが、目を輝かせて大股で歩み寄ってくる。
誰もが口々に彼女の無事を気遣う言葉をかけ、感謝を伝えようとするのだが、全員が一気に、しかも全力の熱量で喋り出すため、食堂の一角は瞬く間にひっくり返ったような賑やかさに包まれた。
虎杖悠仁が距離を詰めようと一歩踏み出した、その時だった。
甚爾「……あぁ? っこら、ガキ共。人の女の周りでぎゃあぎゃあウルセェよ。少しは静かに喋りやがれ」
甚爾は鬱陶しそうに低く唸ると、大きな手のひらで自身の頬をガリガリと掻き回した。そして、躊躇うことなくナマエの華奢な肩へと逞しい腕を回し、自らの身体へと強く引き寄せるようにして、周囲を威嚇するように抱きしめた。
そのあまりにも自然で傲慢な独占欲の誇示に、駆け寄った生徒たちの足がピタリと止まる。
釘崎「ちょっと! どさくさに紛れてまたそうやって独り占めしようとする! ナマエさん、嫌なら嫌って言っていいのよ!?」
真希「けっ、相変わらず縄張り意識の強い野良犬だぜ。少しは他人に触らせる余裕を持てよ、エロ親父」
真希が木刀でも構えるかのような鋭い視線を向けるが、甚爾はフンと鼻で笑い飛ばし、抱きしめる腕の力を緩めようとはしなかった。
そんな騒がしい仲間たちのやり取りを見つめながら、ナマエは甚爾の胸の中で、本当に嬉そうにその唇を綻ばせた。彼女は腕の中からひょこっと顔を出すと、集まった全員の目を真っ直ぐに見つめ、凛とした、けれど柔らかな声で告げた。
ナマエ「あ、あの……皆さん、今回の過酷な任務、本当にありがとうございました! おかげさまで、誰一人として犠牲者を出すこともなく、こうして皆で生きて高専に帰ってくることができました。私の魔法を信じて戦ってくれて、本当に、感謝しています」
ナマエが心の底からの親愛を込めてそう微笑むと、それまで一歩引いて見ていた夏油傑が、ふっとその表情をいつもの穏やかなものに緩め、優しく諭すように首を振った。
夏油「いや、ナマエ。お礼を言うべきなのは、間違いなく私達の方だよ。アクアラインのあの規模の天変地異と呪霊の群れを、もし君の驚異的な治癒魔法や防衛結界なしで、しかも事前の作戦もなしに対応していたとしたら、どうなっていたか。間違いなく、ただの"珍事件"の枠には収まらず、この国の歴史を塗り替えるレベルの、取り返しのつかない大惨事になっていたはずさ。君がいてくれて、本当によかった」
五条「ほーんと、傑の言う通り。ボク達がいくら現代最強の術師だからってさ、地脈の暴走なんていう未知の現象の正確な情報が最初から無きゃ、あそこまで完璧に対応しきれていたかどうか怪しいもんね。誰も死なさずに世界を守れたのは、君のサポートのおかげだよ。ありがとう、ナマエ」
五条も珍しく素直に、アイマスクの奥の六眼を優しく細めて、彼女の功績を称えた。
真希「そうだぜ。特にあんたが私らに掛けてくれた、あの身体能力を底上げする魔法……『ヘイスト』だったか? あれはマジでヤバかった。急に身体が軽くなってさ、呪霊を叩き切るのが最高に爽快だったよ。また機会があれば、是非あのブーストを味わいたいもんだね」
真希が不敵に笑いながら拳を合わせると、虎杖が待ってましたとばかりに、その間に身を乗り出してきた。
虎杖「そうそう! 俺もさ、戦ってる最中に疲れが一気に吹き飛んで、なんか体の奥からどんどん元気が湧き出てくるのが分かったんだ! 魔法と自分たちの体術との連携、めちゃくちゃ楽しかった! なぁ、ナマエさん。今度落ち着いたらさ、その魔法のこと、もっと俺たちに見せてくれよ! どんな種類があるのか、すげぇ興味あるんだわ!」
伏黒「……俺も、あの魔法の術式構成には非常に興味があります。十種影法術の式神たちにあの防衛魔法を付与できれば、戦術の幅が今までの数倍に広がる。ナマエさんが良ければ、今度じっくり講義をしてほしいです」
乙骨「あはは、みんな一気に頼み込みすぎだよ。でも、実は僕も、ナマエさんに聞きたいことが本当に沢山あってさ。あの驚異的な発動速度と魔力の練り方、もし僕の術式で『模倣』させてもらえるなら、今後のどんな危険な任務でも、もっと確実にみんなを守れるようになると思うんだよね」
みんなが口々に、自分の魔法を絶賛し、これからの未来の話を輝かしい瞳で語りかけてくれる。
そんな、熱量に満ちた騒がしくも温かい掛け合いを全身に浴びているうちに、ナマエの胸の奥底には、これまで感じたことのない、更なる確かな灯火が、ぽっと新しく灯っていくのを確かに覚えていた。
彼女はこれまで、二千年以上という気が遠くなるほどの長い間、組織の機械的な命令に従い、宇宙の孤独な旅をただ黙々と続けてきた観測者だった。
訪れた星々では、現地民との深い交流をあえて避け、特に複雑な感情を持つ「人間」という種族とは、傷つき、傷つけられることを恐れて、一定の距離を保ち続けてきたのだ。冷徹な観測者であり続けることこそが、自らの身を守る唯一の術だと信じて疑わなかった。
ーーけれど、今こうして目の前で笑い合い、自分を必要としてくれる仲間たちの姿を見つめていると、かつての頑なだった心の殻が、音を立てて融けていくのが分かった。
(……人と関わるって、誰かと心を交わし合うって……。案外、思っていたよりも…ずっと楽しいことなのかも知れないな)
ここにいる、不器用で、けれどどこまでも真っ直ぐで愛おしい高専の仲間たち。
そして何よりも……、頑なだった自分の二千年の孤独を強引にこじ開け、人を心から愛することの歓びと切なさを教えてくれた、今も自分を隣で強く抱きしめてくれている、この伏黒甚爾という男。
ナマエの冷たい心を、完全に溶かし尽くしたのは、間違いなくこの地球で出会った彼らとの、奇跡のような温かい交流のすべてだった。
ナマエは、自身の肩を抱く甚爾の強い腕にそっと自分の手を重ね、もう一度、今度は涙が出るほどに愛おしい世界に向けて、満面の笑みを咲かせた。
ナマエ「はい! 皆さん、僕の魔法で良ければ、いくらでもお見せします。これから、たくさん、…たくさんお話ししましょう!」
高専の食堂に、彼女の晴れやかな声が響き渡る。その紫色の瞳には、もう、どこを探しても孤独な観測者の影は残っていなかった。
力を合わせて守り抜いた新しい世界の光が、彼らの未来を、どこまでも明るく照らし続けている。
【END】