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3章 星を継ぐ希求
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午後六時。山々の端が紫紺に溶け、高専の敷地内には薄闇がしっとりと降りていた。
普段なら一日の終わりを告げる安堵の刻。広い食堂には、炊きたての米の匂いや、出汁の効いた煮物の香りが漂い、育ち盛りの生徒たちの胃袋を刺激している。
しかし、そこに集まった顔ぶれが放つ空気は、食欲を減退させるほどに重苦しかった。
夜蛾正道、家入硝子、そして五条悟と夏油傑。
一年生の虎杖、伏黒、釘崎に加え、二年生の乙骨、真希、パンダ、狗巻までもが勢揃いしている。その異様な集団の端で、甚爾は相変わらずふてぶてしく椅子にふんぞり返り、ナマエは静かにその隣に立っていた。
夜蛾「……して。報告とは何だ、悟。ただの夕食にこれだけの面々を招集したわけではなかろう」
夜蛾が太い腕を組み、険しい表情で口を開いた。
五条は隣にいるナマエに顎で合図を送る。
ナマエ「……はい。私から説明させていただきます」
ナマエが左腕を軽く払うと、空中に透明なガラスのようなパネルが浮かび上がり、鮮やかな光を放って拡大された。
生徒たちが「うおっ」と声を漏らす。彼らにとってそれは、SF映画から飛び出してきたような未知のオーバーテクノロジーだった。
ナマエ「現在、東京湾アクアライン――その海底深くの地層に、急速な負のエネルギーの沈殿が確認されています。地脈から溢れ出した『呪いの汚泥』が、臨界点を超えて噴出しようとしているのです」
ナマエがパネル上の地図を操作すると、海底トンネルの断面図に、禍々しい赤黒い反応が脈打つように表示された。
ナマエ「先程まで、僕と甚爾さんで現地に向かい、応急処置的にその噴出を遅らせる処置を施してきました。……ですが、私の魔力だけでは到底掃除し切れる量ではありません。あくまで数日間の日数稼ぎにしかなっていないのが現状です」
甚爾とナマエが一瞬、視線を交わして深く頷き合う。その「共犯者」じみた阿吽の呼吸に、五条と夏油の眉間がピクリと跳ね、恵は方眉を寄せたが、今は口を挟む空気ではなかった。
夜蛾「……その汚泥とやらが噴出したら、具体的にどうなる」
ナマエ「以前、廃校での任務に皆さんが当たられたのを覚えていますか? あの時、校舎を飲み込もうとしていた汚泥……あれが、数千、数万倍の規模で発生すると考えてください。泥自体が強力な呪霊となり、周囲のすべてを喰らい、土地を腐食させます。……最悪なのは、そこが海の下であり、首都圏の交通を支える大動脈だということです」
夜蛾は額に手を当て、深く、重いため息をついた。教育者として、そして術師の長の一人として、最悪のシナリオが瞬時に脳裏を駆け巡ったのだろう。
夜蛾「……交通を完全に止めることは不可能に近い。ましてや、海上のトンネル内での避難は困難を極めるか」
ナマエ「……はい。加えて、私の計算では、通常の特級を凌駕する個体が複数体、同時に産まれると想定しています。……知っていて見過ごすわけにはいきません。私たちが稼いだ数日の間に、情報の共有と、皆さんの協力を仰ぎたいと思っています」
五条「どのみち、僕らは出動することになるだろーねっ。これだけ派手な花火が上がるって分かってて、高専が動かないわけないし」
五条は椅子に深くもたれかかり、指先でテーブルをトントンと叩いた。その目は笑っていない。
夏油「あぁ。……なら、土壇場で慌てるよりはいい。先に敵の『質』を知っておくのは、自分たちの身を守る最低限の手段にもなるしね。……ナマエ、その日数稼ぎの間、君にはもっと詳しい解析を頼みたい」
真希「……要するに、その真っ黒な泥が噴き出す前に、根元から叩き切るか、噴き出した瞬間に皆殺しにするかって話だろ? シンプルでいいじゃねえか」
乙骨「……でも、海の下ですよね。もしトンネルが壊れたら……」
乙骨憂太の不安げな呟きに、食堂の温度がさらに一度下がった。
甚爾「ハッ! 怖気づいてんのか、お坊ちゃん。……そんなに海が怖けりゃ、浮き輪でも持って現場に来な. ……もっとも、泥に捕まれば浮く暇もねぇだろうがな」
甚爾の挑発に、パンダが「おい、その態度はよくないぞ」と割って入る。
釘崎「ちょっと! ナマエさんがせっかく危険を知らせてくれたんだから、このヒモ男は黙ってなさいよ!」
虎杖「まぁまぁ! とりあえず、飯食いながら作戦練ろうぜ。さっきから食堂、超いい匂いするし!」
不穏な空気が漂う中、運ばれてきた夕食の香りがわずかに場を和ませる。
しかし、誰もが理解していた。この温かな食卓の向こう側で、漆黒の深淵が口を開けて待ち構えていることを。
五条「……よし。じゃあ、まずは腹ごしらえだ。……ナマエー、僕の隣、空いてるよ?」
夏油「いいや、こちらに来るべきだ。……これからの作戦会議には、私の呪霊たちの配置も関係してくるからね」
甚爾「ケッ。……お前ら、さっきから俺の『妻』にちょっかい出しすぎなんだよ。……ほら、ナマエ。ここ座れ」
ナマエは困ったように微笑みながら、自らの運命の騒がしさを噛み締めていた。
東京湾の底で蠢く災厄。それと対峙するための、束の間の、けれど熾烈な晩餐が幕を開けた。
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