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3章 星を継ぐ希求
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===1年生 恵・虎杖・釘崎 Side===
夕闇が校舎の影を長く引き伸ばし、喧騒の主役たちが校舎の中へと消えていく。
残された正門前には、嵐が過ぎ去った後のような虚脱感と、処理しきれない情報の濁流に飲み込まれた一年生三人が取り残されていた。
彼らの間には、先ほどの爆弾発言の数々が激しく頭の中を交錯していた。
虎杖「……なぁ、恵。大丈夫かよ。顔、真っ白だぞ。っていうか、今ので頭の整理ついた? 俺、もうキャパオーバーなんだけど!」
虎杖悠仁は、隣に立つ恵の横顔を盗み見る。その表情は、怒りを通り越して、宇宙の深淵を覗き込んでしまった学者のような、救いようのない絶望に彩られていた。
恵「……うるさい。整理なんてつくわけがないだろう。……あのクソ親父が、よりによってナマエさんと……。……あんな清らかな光みたいな人と、泥溜めみたいな男が、銀河レベルで繋がった? 呪いよりタチが悪い……なんの冗談だよ。」
伏黒恵の瞳は、揺れていた。ナマエが自分の肩に置いた手の温もり。
慈愛に満ちたあの微笑み。
それを信じたい自分と、その背後に透けて見える「甚爾の妻」という肩書き。その信じられない事実が彼の理性を内側から削り取っていく。
釘崎「ちょっと恵! あんたの親父、マジで何なのよ! 最悪を煮詰めて男の形にしたような奴じゃない! ……でも、ナマエさん……。あんなに可愛くて、性格まで聖母様みたいな人が『お母さん』になるなら、正直あんたには勿体なさすぎるわよ!」
釘崎野薔薇は、腕を組みながら心の中で地団駄を踏んでいた。ナマエへの憧れと、甚爾への嫌悪。
天秤にかけることすらおぞましい二つの感情が、彼女の中で火花を散らしている。
虎杖「……でもさ、ナマエさん、恵のことも俺たちのことも『好ましい』って言ってたじゃん。何かあったら協力したいってさ!……あれ、本気だと思うぜ。……恵、お前……新しいお袋さんに、結構気に入られてるんじゃねーの?」
虎杖の無邪気な思考が、恵の脳内に直接突き刺さる。
恵「……黙れ。そんなこと、一ミリも考えてない。……だいたい、あの親父があの人の隣に居座るだけでも災厄なのに、そこに五条先生と夏油先生がガソリン持って突っ込んでくるんだぞ。……俺の平穏は、今日この瞬間、銀河の彼方へ消え去ったんだ……」
三人の視線の先、校舎の入り口付近では、未だに不穏な空気が渦巻いていた。
ナマエを真ん中にして、左右を五条と夏油が固め、その背後から甚爾がこれ見よがしにナマエの腰を引き寄せようとしては、五条の「無限」に弾かれている。
釘崎「……ねぇ。見てよ、あの背中。地獄絵図ってああいうのを言うのね」
釘崎がようやく、物理的な声を発した。その声は少し震えている。
虎杖「あはは……。五条先生も夏油先生も、マジでナマエさんのこと離す気ねーもんな。……そこに甚爾先生が『夫』として君臨してんだろ? ……これ、高専が内側から爆発すんじゃないか?」
虎杖が乾いた笑い声を漏らす。彼は彼なりに、恵のショックを和らげようと努めていたが、目の前の光景があまりに「劇物」すぎて、フォローの言葉が追いつかない。
恵「……爆発すればいい。……いっそ、全部無かったことになればいいんだ」
恵は深く、深いため息をつき、項垂れた。
釘崎「何弱気なこと言ってんのよ。いい、恵。あんたは今日から『銀河の御曹司』なのよ。ナマエさんを味方につければ、あのクズ親父を合法的に高専から叩き出すことだってできるかもしれないじゃない!」
虎杖「おっ、それ名案! ナマエさんなら、恵の味方になってくれそうだしな!」
恵「……お前ら、他人事だと思って……。……だいたい、あの人、俺の『母親』になるって聞いて、あんなにポカンとしてたんだぞ。……自覚がないのが一番恐ろしいんだ」
恵は顔を上げ、校舎に吸い込まれていくナマエの銀髪を目で追った。
彼女が放つ、どこか浮世離れした優しさと美しさ。
その後ろには自分のルーツであるあの忌まわしい血。
恵「……好ましい、か」
小さく呟いた言葉は、隣の二人には届かなかった。
あんな親父の息子である自分を、彼女はあんなにも優しく受け入れようとしてくれた。その事実だけが、崩壊しそうな恵の心の均衡を、かろうじて繋ぎ止めている。
虎杖「……ま、とりあえず腹減ったし、中入ろうぜ。……今日のメニューは何かな!」
釘崎「そうね。あの男たちの愚痴という最高のスパイスを添えて夕飯頂こうじゃないの」
釘崎が鼻を鳴らし、一歩を踏み出す。虎杖もそれに続く。
恵は最後にもう一度だけ、誰もいなくなった正門を振り返り、それから観念したように二人を追った。
最悪な「父」と、最高すぎる「母」、そして執念深い「最強」の男たち。
彼らが織りなす狂想曲に、一年生たちは否応なしに巻き込まれていく。
高専の長い廊下に、三人の足音と、割り切れない想いだけが響いていた。
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