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3章 星を継ぐ希求
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--東京湾アクアライン。
海面下数十メートル、何百万トンの海水と土塊に押し潰された巨大な筒の中には、行き交う車の喧騒とは切り離された「隙間」が存在する。
避難連絡坑へと続く管理用通路。コンクリートの壁は湿った海風を吸い込み、絶え間ない振動が心臓を不規則に叩く場所だ。
二人がその薄暗い空間に降り立った瞬間、鼻を突いたのは潮の香りではなく、腐敗した感情が煮凝ったような不快な臭気だった。
アオ(ナマエ)「……ひどい。……もう、これほどまで地表に漏れ出しているなんて」
アオの視線の先、コンクリートの継ぎ目から、どろりとした漆黒の汚泥が染み出していた。
それはこの星の住人が無意識に垂れ流した負の念、すなわち「呪い」の濃縮体だ。
まだ癒えてはいないが、かつて師を蝕み……この毒に触れただけで、アオ(ナマエ)の体内には呪いの結晶が産まれ、蓄積した結晶により死の淵へと追いやられたばかりだ。
…異世界の魔術師にとって、それは文字通りの致死毒である。
アオ(ナマエ)「……甚爾さん。……僕はこの汚泥によって生命の危機に晒されました。……身勝手なお願いなのは承知していますが、ポイントまで、僕を抱えて運んでいただけますか?」
甚爾は、隣で顔を青くさせているナマエを横目で見た。
彼は迷うことなく、その逞しい腕を彼女の膝の裏へと差し込む。
甚爾「……お安い御用だ、姫さん。……俺の身体は『絶縁体』なんだろ? ……この程度の泥、俺にとっちゃただの汚れだ。……しっかり掴まってな」
ふわりと身体が浮き上がり、ナマエは子供のように甚爾の太い腕の中に収まった。
彼の胸板からは、ドームで分かち合った時と同じ、荒々しくも頼もしい鼓動が伝わってくる。
汚泥に一歩も触れさせないという彼の傲慢なまでの優しさが、ナマエの恐怖をわずかに和らげた。
汚泥が最も色濃く噴出している中心部。そこへ辿り着くと、ナマエは甚爾の首に回していた腕を解き、祈るように両手を組んだ。
アオ(ナマエ)「……始めます。……ハートレス・サークル!」
彼(彼女)の足元、正確には甚爾が踏みしめている空間の周囲に、幾何学的で精密な青白い魔法陣が展開された。
薄暗い通路が、異世界の神聖な輝きに照らし出される。
「……天の理よ、地の底まで照らせ。
幾千の刻が産み落とした、濁った嘆きをすべて拭い、
清らかなる銀の光へと還したまえ。
響け、聖なる旋律。解けよ、古き呪縛!」
アオの唇から溢れる詠唱は、重苦しい空気を震わせる銀の鈴の音のように響いた。
魔法陣の紋様が脈動し、傷ついた大地を、そして蠢く汚泥を優しく包み込んでいく。
「さあ、命よ。
すべての毒を脱ぎ捨てて、透明な息吹を吹き返せ。
この星の涙を、今、至福の輝きに!」
爆発的な青白い光が収束し、周囲を埋め尽くしていた漆黒の汚泥が霧散していく。
コンクリートの壁に染み付いていた不浄な色は消え去り、そこには一時的ながらも、この星の理を超えた「清浄」がもたらされた。
ーー甚爾は、その光の渦のただ中に立っていた。
五条や夏油が脳を溶かさんばかりに悶絶したその魔法。だが、甚爾の感覚はどこか違っていた。
ソフィアによって「番」のマーカーを刻まれた身体は、その聖なるエネルギーを拒絶せず、むしろ馴染むように受け入れている。
頭や身体がすっきりと洗われるような爽快感はあるが、意識を失うような過剰な快楽には至らない。
甚爾「……ハッ。……相変わらず気持ちいい魔法だな。……これなら毎日、寝起きにでもかけてくれていいんだぜ?」
甚爾は腕の中のナマエを見下ろし、不敵に笑った。だが、魔法を終えたナマエの身体は、目に見えて力なく沈んでいる。
アオ(ナマエ)「……クスッ。……それは、魔力がいくらあっても足りないな。……っ、……あ……」
不意に、ナマエの視界がぐらりと揺れた。術後の反動と、まだ癒えきっていない肉体の疲弊が彼(彼女)を襲う。
甚爾「……おい、大丈夫か。……無理すんなって言っただろうが。……いいから、このまま大人しく抱かれてろ」
甚爾はさらに力を込めてナマエを抱き寄せ、彼(彼女)の背中を支えた。
アオ(ナマエ)「ありがとう、甚爾さん。……まだ、ちゃんと回復してなくてね。……少し、甘えさせてもらう。……じゃあ、約束通り、悟さんたちが待つ学校へ行きましょう」
ナマエは震える手首のデバイスを操作し、ホログラムのモニターを空間に投影した。指先が虚空を舞い、東京都立呪術高等専門学校の座標がセットされる。
アオ(ナマエ)「……ソフィ、転送シーケンス開始」
ソフィア「了解。……マスター、および登録個体:甚爾、高専正門前へのポイント転送を実行します」
二人の輪郭が激しくブレ始め、空間が歪む。海底の閉塞感、湿ったコンクリートの匂い、そして微かな余韻。すべてが情報の断片へと分解され、次の瞬間――。
そこには、山の冷涼な空気と高専の重厚な門が立ちはだかっていた。
甚爾「……到着か。……さて、あのアホ共は、どんなツラして待ってやがるかね」
甚爾はナマエ(アオ)を抱えたまま、不遜な足取りで敷地内へと踏み込んだ。
かつて自分を否定したその場所へ、今、彼は「番」という絶対的な権限を持って帰還したのだ。
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