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2章 囚われの魔術師
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===回想 五条・夏油 Side===
山奥の静寂を引き裂くように、二人の怪物が廃道に降り立った。
五条悟の「六眼」が捉えるのは、色褪せた高専の社用車と、そこにこびり付いたナマエの魔力、そして鼻を突くあの「ゴミ屑」の残り香だ。
五条「……ハッ。いたいた。……傑、見てよ。あいつ、僕らのナマエを連れてこんな湿気臭い山の中に引き籠もってたわけ。……不法占拠もいいところだよね」
五条の声は笑っていたが、その周囲の空間は怒りで発した呪力の歪みでバキバキと悲鳴を上げていた。
隣に立つ夏油傑もまた、普段の仏のような微笑をかなぐり捨て、底冷えするような昏い瞳で森の奥を見据えている。
夏油「……あぁ。……不潔な男だ。……彼女をこんな場所に閉じ込めるなんて、救済が必要だね。……悟、座標がズレているなら、無理やり引き摺り出すまでだ」
夏油が袖から数多の呪霊を解き放つ。漆黒の濁流が森を侵食し、空間の「隙間」を呪霊で圧迫していく。
だが、その直後だった。
空間が激しく明滅し、視界のすべてが純白の光に飲み込まれた。
ナマエ「――浄化(ピュリフィケイション)!」
その声と共に放たれた光は、夏油の呪霊を一瞬で塵に還し、二人の脳を直接「快楽」という名の暴力で殴りつけた。
五条「……っあ、……え、……これ……っ」
五条の無下限をすり抜け脳の髄までが、極上のシルクで撫で回されるような……あまりの清浄さ。
最強の術師として、常にフル稼働させていた脳が、一瞬で真っ白に漂白されていく。
夏油「……は、……ぁ、……すごいな、これは……」
夏油もまた、膝から崩れ落ちた。普段、呪霊を飲み込み蓄積し続けている彼の魂にとって、ナマエの光は極上の毒薬だった。
蓄積された澱みが洗われ、多幸感が全身の神経をマッサージするように駆け巡る。
…二人は地面に這いつくばり、白目を剥かんばかりの恍惚とした表情で、ただ呼吸を繰り返すことしかできなかった。
そこへ、あの男が現れた。
甚爾「……ギャハハハ! おい見ろよ、最強様のご登場だぜ」
甚爾の卑しい笑い声が、快楽に浸る耳に不快に響く。
五条と夏油は、抵抗する意志すら奪われたまま、甚爾の手によって乱暴に担ぎ上げられた。
視界が揺れ、波紋を抜けた先に見えたのは、この世のものとは思えない……一瞬で景色が南国の海と夜空で彩られ、手入れされた庭に未来的な白亜のドーム。
甚爾「ほらよ。……お姫様のベッドよりは硬ぇが、お前らには贅沢すぎるだろ」
雑にソファへと投げ捨てられた衝撃で、五条はわずかに正気を取り戻した。
だが、身をよじった先に漂ってきたのは、紛れもないナマエの香りだ。
シーツやクッションに染み付いた、あの清冽で甘い残り香。
五条(……あぁ、……ナマエの匂いだ。……居心地よすぎて、もう死んでもいいかも……)
夏油(……悟、だらしない顔をするな。……と言いたいが、……私も同意見だ……)
二人がソファで「無能」を晒している間、部屋の主導権は完全に甚爾にあった。
「ソフィア」と名乗るAIが、甚爾のふてぶてしい命令に従い、ホログラムから豪華な椅子を実体化させる。
甚爾はそこで、ナマエの資産を使ってあつあつのホットドッグを頬張り、コーヒーの香りを撒き散らしていた。
…さらに耳障りだったのは、ナマエと甚爾のやり取りだ。
ナマエ「……ちょっと。……またカジノですか? 私のお金なんですからね!」
甚爾「あぁ? 増やしてやった分で遊んでんだよ。……文句ねぇだろ、お嬢ちゃん」
その会話の端々に滲む、隠しきれない親密さ。
二千年も生きてきた高潔な魔術師が、あんな下衆な男と「夫婦」のような軽口を叩き合っている。
その事実に、五条と夏油の胸の奥で、浄化魔法では消し去れないドス黒い嫉妬が鎌首をもたげた。
五条「……ねぇ、ナマエー。……ボク、まだちょっと頭が痛いんだ。……よしよししてよ」
五条は麻薬的な多幸感を引きずったまま、わざとらしくナマエの腰を抱き寄せ、その胸元に顔を埋めた。
彼女の柔らかさと体温を独占しようとする、子供じみた、けれど必死な略奪。
甚爾「おい、ソフィア。……こいつら邪魔だ。おれの嫁に触ってんだが。……排除しろ」
AIソフィア「了解。……マスター甚爾の要請に基づき、撃退プロトコルを開始します」
ナマエ「ソフィ待って! ……甚爾さん、いい加減にして!」
ナマエが必死に止めたことで事なきを得たが、五条と夏油の耳に、聞き捨てならない単語が残った。
夏油「……嫁? ……甚爾、君は今、なんて言ったんだい。……その口、縫い合わせてあげようか」
五条「……僕のナマエに、変な名前つけないでくれる。……ねぇソフィ、アイツこそ邪魔なんだけど」
しかし、返ってきたAIの報告は、二人のプライドを木っ端微塵に粉砕した。
AIソフィア「……個体:甚爾は、マスターの『番』として暫定登録されました。……同時に、彼は多次元で通用する『魂の口座』を保有し、資産運用を開始するところです。……お二方には、現在その権限はありません」
五条「……は? 口座? ……番?」
夏油「……たった半日で、……そこまで差をつけられたというのかい」
五条と夏油は、茫然として甚爾を見上げた。
自分たちが縋るような思いで彼女を追っていた間に、あの男は彼女の「唯一」という椅子に、物理的にも、システム的にも座り込んでいたのだ。
甚爾「……ハッ! 良かったな、お坊ちゃん達。……俺の口座が出来たら、地球じゃ味わえねぇような美味ぇお茶でも出してやるよ。」
甚爾が椅子に深くもたれかかり、勝利者の笑みを浮かべる。
五条は悔しさのあまりソファの端を握りつぶし、夏油は自身の無力さに唇を噛んだ。
最強と謳われた二人が、あの野獣に、愛の深さではなく「権限」という冷徹な数字で敗北を喫した瞬間だった。
五条(……絶対に、奪い返してやる。……口座だか何だか知らないけど、そんなの全部、僕が塗り替えてやるよ……!)
夏油(……あぁ、……まずはあの椅子から、彼を引き摺り下ろす方法を考えようか……)
ソファに沈み込む二人の瞳に、恍惚とは別の、執念に満ちた炎が灯る。
白亜のドームに、かつてないほど険悪で、けれどどこか熱っぽい空気が満ちていった。
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