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2章 囚われの魔術師
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呪術高専の夕飯時は、本来ならば一日の緊張から解放される唯一の安らぎの場であるはずだった。
西日に照らされた食堂には、炊きたてのお米の匂いと、甘辛い食欲をそそられる香りが漂っている。
修行に明け暮れた生徒たちが、騒がしくトレイを手に取り、育ち盛りらしい食欲で山盛りの食事を胃袋へと流し込んでいた。
その喧騒から少し離れた席に、五条悟と夏油傑の姿があった。
二人は授業の合間に舞い込む呪術総監部からの煩わしい通達や、各所への事後報告といった「大人たちの仕事」を片付け、ようやく食事にありついたところだった。
五条「……あーあ、マジでやってらんねぇ。上の方のジジイ共、またナマエの件でグチグチ言ってきやがった。……傑、聞いてる?」
五条はトレイに乗った焼き魚の身を適当にほぐしながら、気怠げに相棒に水を向けた。
夏油「聞いているよ、悟。……だが、彼らの懸念も理解はできる。二千年前の魔術師なんて、存在自体が特級以上のイレギュラーだからね」
夏油は行儀良く箸を動かしながら、穏やかな微笑を浮かべていた。だが、その瞳の奥には、ナマエを手中に収めたことによる静かな優越感が常に揺らめいている。
その時、食堂の入り口から、さらに気怠そうな足取りで家入硝子が入ってきた。
白衣のポケットに手を突っ込み、隈の浮いた目で献立表を眺めている。だが、五条の「六眼」が即座に違和感を捉えた。
五条(……いない。……隣に、あの白い影がいねぇ)
午前中、医務室で硝子に預けていたはずのナマエの姿がない。それどころか、校内の呪力分布を広域に見渡しても、あの「空白」――呪力を一切持たない伏黒甚爾という異質な質量も見当たらない。
五条「……ねぇ、傑。ナマエ、居なくね? ついでに甚爾も」
五条の声から、温度がスッと引いていく。夏油もまた、硝子が現れた瞬間に箸を止めていた。
夏油「……あぁ、いないね。……おかしいな。彼女は一人で出歩くことを禁じられているはずだが」
二人の思考は、瞬時に一つの結論へと収束した。
五条は椅子を鳴らして立ち上がると、トレイを持って席を探そうとしていた硝子に、遠くから大きな声を投げかけた。
五条「硝子ぉー! ナマエはー? 食欲ないの? 姿も見当たらないんだけどさぁ!」
その突き抜けるような声に、わいわいと騒いでいた虎杖や釘崎たち一年生、さらには二年生の面々も「え?」と一斉に硝子の方へ視線を向けた。
硝子は歩みを止めず、面倒そうに首を回して五条を見た。
硝子「んー。……ちょっとお出かけ中」
その一言が、食堂の空気を一変させた。
五条は長い脚を動かし、硝子の目の前まで詰め寄る。その背中から立ち昇るプレッシャーに、近くにいた生徒たちが息を呑む。
五条「硝子、質問。ナマエ、どこに隠した?」
五条の声には、いつもの軽薄な響きが欠片もなかった。サングラスの奥の青い瞳が、絶対的な強者の冷徹さで硝子を射抜く。
隣にいつの間にか立っていた夏油も、微笑を絶やしてはいないが、その周囲の空気は今にもひび割れそうなほど張り詰めていた。
硝子「……私の管理下にある患者を『隠した』なんて、人聞きが悪いね。……彼女、自分の家で調べたいことがあるって言うから、送り出しただけだよ。医者として、ストレス過多な環境からの解放を優先したまでだ」
夏油「……護衛に、あの男をつけて、かい?」
夏油が静かに、けれど明確な怒りを込めて言葉を紡ぎ、呆れたように鼻で笑った。
夏油「硝子、君は越権行為をした。……彼女を連れ出せるのは、僕か悟だけだ。それを、よりによって最も不適切な男を隣に添えて解き放つとはね。……あんな野獣、彼女の精神衛生に一番悪いだろう?」
硝子は二人の殺気混じりの視線を受け流し、ゆっくりと空いている席に腰を下ろした。
硝子「不適切? 独占欲で彼女を縛り付けるあんたたちより、甚爾の方が、彼女にとってはよっぽど『安全』なはずだけどね。……今頃、誰にも邪魔されない場所で、ゆっくり羽を伸ばしてるんじゃない?」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、五条が近くのテーブルにバンと手をついた。ミシリ、と分厚い木材が悲鳴を上げ、深い亀裂が入る。
五条「『誰にも邪魔されない場所』、ね。……傑、行くよ。……僕が彼女に付けておいた残穢の座標、そこを起点に洗い出す」
夏油「あぁ。……不届き者は、徹底的に排除しなきゃいけないからね」
二人は食事を残したまま、一瞥もくれずに食堂から飛び出していった。
その背中は、もはや教育者でも呪術師でもなく、奪われた獲物を取り戻しに行く狂気を孕んだ「男」そのものだった。
食堂に残された生徒たちは、凍りついたままその去り際を見送っていた。
釘崎「あーあ……。五条先生も夏油先生も、ガチギレじゃん。……あの顔、呪霊が見たらそれだけで消滅するわよ」
虎杖「……まさか知らない間に、甚爾先生と二人で出かけてたなんてな。……ナマエさん、大丈夫かな。あの二人が追ってきたら、山一つ吹き飛びそうじゃね?」
恵「……仕方ないとはいえ、……あの親父と二人で家に向かったのか。……はぁ。また面倒なことになりそうだ」
伏黒恵は、自分の父親がしでかすであろう不埒な行いを想像し、深くため息をついて頭を抱えた。
乙骨「……また一波乱ありそうですね。……というより、もう始まってる気がします」
狗巻「しゃけ……(ほんとね……)」
真希「……チッ。ほっとけ。バカ供の色恋沙汰なんて知るかよ。……それより肉だ、肉。食わねぇならあたしがもらうぞ」
パンダ「ハハッ! 真希は相変わらずだな! ……でもよ、最強二人が揃って嫉妬に狂う姿なんて、滅多に見られねぇぜ。……おもしれー話が聞けそうで胸アツじゃん!」
パンダが野次馬根性丸出しで笑う中、硝子だけは何事もなかったかのように静かに味噌汁を啜った。
硝子「……悪いね、ナマエ。……あいつら、思ったよりずっと狂ってるみたいだ。……あんたの平穏、一日も持たないかもね」
硝子の独り言は、騒がしさを取り戻そうとする食堂の雑音に紛れて消えた。
一方で、高専の門を爆速で駆け抜けた二つの影は、山を裂き、空を割り、ナマエの隠れ家へと一直線に向かっていた。
…奪われた時間は、倍にして返してもらう。
五条と夏油の心には、冷たい怒りと、抑えきれない渇望が渦巻いていた。
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