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2章 囚われの魔術師
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医務室の空気は、熱に浮かされたナマエの荒い呼吸音だけを吸い込んで重く沈殿していた。
視界は白濁し、誰が隣にいるのかさえ定かではない。ただ、頬を撫でる大きな手のひらの冷たさだけが、火照った肌には至上の救いに感じられた。
ナマエ「……っ、つめたい……。きもち、いい……」
ナマエはそれが自分を追い詰めた強敵の手であることも忘れ、縋り付くようにその掌に頬を擦り寄せた。五条は一瞬、目を丸くしたが、すぐに慈しむような、それでいて独占欲を孕んだ笑みを深める。
五条「あはは。可愛いね。そんなにボクのことが好きになっちゃった?」
そんな甘い空気を一変させたのは、ナマエの顔を覗き込もうと一歩踏み出した虎杖悠仁だった。彼の頬に、突如として不吉な裂け目が走り、呪いの王がその貌を現す。
宿儺「よお。……お前、ナマエだろ? 久しいな。ひどい面してやがる」
医務室の温度が数度下がったかのような錯覚。唐突に響いた宿儺の低く、愉しげな声に、その場にいた全員が凍りついた。
五条「え? 宿儺、今なんて言った? ナマエ? この子の名前、ナマエって言うの? 知り合い? 待って、どう見たって二十歳そこらでしょ。宿儺、君の知り合いってことは……何歳なの、この子?」
パニックを隠しきれない五条が、珍しく声を荒らげる。隣にいた夏油も、いつもの余裕をかなぐり捨てて驚愕に目を見開いていた。
意識の泥に沈んでいたナマエだが、鼓膜を震わせたその「懐かしい響き」に、魂が強制的に現実に引き戻されていく。重い瞼を戦慄かせながら、彼女は震える唇を動かした。
ナマエ「……? ……すく、な……?」
宿儺「おう。覚えていたか。お前は大きくなっても昔と変わらねぇな。……あぁ、だが、当時よりは美味そうになったか」
宿儺は虎杖の頬の裂け目から傲慢に笑った。彼は話し始めた。かつて、ナマエがまだ子供だった頃。師匠と呼ばれる者たちに連れられてこの地に現れた異邦の少女と、呪いの王が出会っていたことを。
宿儺「お前、あの師匠だかってのと同じ末路を辿っているぞ。体内で呪いの澱の結晶が経路を塞いでやがる。……死ぬ前に俺が食ってやろうか?」
宿儺の言葉に、医務室を包む戦慄は極限に達した。
夏油「……待て、どういうことだい。彼女が千年前の宿儺と面識があり、今、瀕死だと言うのか? 呪いの結晶が経路を塞いでいるとは、一体どういう……」
甚爾「ケッ、お伽話かよ。だが、その結晶ってのを抜けば、こいつは助かるんだろ?」
宿儺「あぁ、間違ってねぇぞ。……俺なら延命できるかもしれねぇが、この小僧に体を交代してもらわねぇとできねぇなぁ」
宿儺は口の端を釣り上げ、五条たちを試すように見やった。
五条「……交代? 君がナマエを治療するって言うの? あの宿儺が? 太陽が西から昇るレベルの発言だね」
宿儺「勘違いするな。俺の獲物が、こんな人間風情の澱みで壊れるのが不愉快なだけだ。……いいか、五条。こいつの体内にある結晶は、繊細な呪力操作で俺が直接取り込む必要がある。器のままでは指先ひとつ動かせん」
宿儺の算段は、極めて官能的で、かつ危険なものだった。虎杖の身体を完全に支配した上で、ナマエと身体を密着させ、その体内深くに眠る魔力の経路に自身の呪力を潜り込ませる。結晶化した負のエネルギーを、宿儺の強大な呪力で「毒として喰らい尽くす」ことでしか、彼女を救う術はないと言うのだ。
五条「体を重ねて、呪力で結晶を抜く……? 冗談じゃないよ。そんなこと、ボクが許すと思う?」
宿儺「ならば見殺しにしろ。あと数刻もすれば、こいつの魔力回路は結晶に焼き切られ、魂ごと砕け散る。……それとも、現代最強の術師様が、この異邦の魔力を治せるのか?」
宿儺の試すような嘲笑に、五条は拳を握りしめ、言葉を失った。ナマエの肌は今も異常な熱を帯び、呼吸は浅くなっていく。
ナマエ「……すくな、……だめ、……君の……毒に……なっちゃう……」
熱に浮かされながらも、ナマエはかつての友を案じるように呟いた。その健気な言葉に、宿儺はさらに愉快そうに目を細める。
宿儺「案ずるな。俺にとっては、極上のデザートに過ぎん。……さあ、どうする? 悟、傑。この女の命か、俺への一時的な身体譲渡か。……選ばせてやるよ」
静まり返った医務室で、三人の男たちの執着と、宿儺の冷酷な慈悲が火花を散らす。ナマエの命の灯火が揺れる中、最悪の「治療」が始まろうとしていた。
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