ドブネズミの決意
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この世界は残り滓、肥溜めのようなものだと。
そう思っていた時期があった。
ドブ川のように不純な色に澱んでいて、綺麗なものなんて何もなくて。
きっとこれが世界の本質で、あるがままの姿なのだろうと、そう思っていた。
…あの日以来、ずっと。
だけど、汚れていたのは──濁っていたのは、世界じゃなく僕の方だった。
その『声』は、ドブネズミのような僕の心の中に不意に入り込んできて、すぅっと染み渡っていった。
まるで僕をそこから──ドブ川の底から這い上げるような力を、その声に、歌に感じた。
その歌の持つ世界は、僕が思っていたものと正反対で。
どこまでも汚れなく、ただひたすらな白の世界。
歌という力で、『白』を創り上げる人。
それは僕という一匹の薄汚れたネズミの全てを変えた。
そして僕は、こう思った。
願わくはこの歌を、この声を。
そして、この人を──。
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