メランコリック・レイニー・デイ
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私は学校近くのスーパーで夕飯の買い出しを済ませ、昴流君の家に向かうところだった。
行ったらちょうどタイムセールやってるなんて、本当グッドタイミングだよね。
お肉とか野菜とかすごく安くて、思わず沢山買っちゃった。
ふーむ、今日は何作ろっかなあ。
(バラ肉とじゃがいもが一杯あるから、肉じゃがにしようかな? あ、でもオーソドックスにカレーライスも捨てがたいし…)
今晩の献立をあれこれ思案しつつ、パンパンになったエコバッグを肩からぶら下げて歩く私。
昴流君は食べる量こそ多くないけど、好き嫌い自体はほとんどない。私が作った物は大体ちゃんと食べてくれる。
だからこちらとしては作り甲斐があるというものだ。
…という事を前友達に話したら、「やっだー、もう奥さん気取りなワケ?」なんて冷やかされたっけ。
ちょっと恥ずかしかったけど、でも良いの。
昴流君が私の料理を「美味しい」って言ってくれるの、すごく嬉しいから。
今はこうして奥さん気取りの真似事かもしれないけど、将来は真似事なんかじゃなく、本当に…。
「えへへ…。へへへへ…」
にやけ笑いを浮かべて、私は一人妄想タイムに突入していた。
我ながら気が早いっていうか、想像力が逞しいというか。
でもさ、好きな彼と結婚して、愛する旦那さんの帰りを待ちわびながら晩ご飯を作る健気な妻…っていう妄想くらい、女なら誰でも一度はした事あるでしょ?
だから私は異常なんかじゃないよ。むしろ健全なのですよ。
…と、何だか訳の分からない自己主張をしたところで。
ふと頬の辺りに冷たい感触が走った。
「…え?」
──ぽたり。
真上から落ちてくる雫。
それが雨粒だと気づくまで、そう時間はかからなかった。
「…えっ? 雨…? 嘘でしょ!?」
──ぽつ、ぽつ、ぽつ。
次第に雨音は速度を早め、更に激しさを増していく。
「ちょ、ちょっと待ってよ。今日雨降るなんて聞いてないよ! 天気予報でも今日は一日晴れだって…」
私の言葉など空の上に届く訳もなく、雨は私の身体を容赦なく濡らしていく。
そして…。
「きゃああああっ!! 何なのおぉっ!?」
──ザアアアアアアア
あっという間に雨の粒は雨の槍へと変わった。本当に一瞬の事だった。
突き刺すような雨に私はもうお手上げ状態。
予想外の雨だったから、傘なんてもちろん持ってない。
ここから昴流君の家までは歩いて十分以上はかかる。
どうしよう……。
「ひいいぃぃ!! とにかく、帰るっ!!!」
私は一人大声を上げながら、全速力で走り出した。
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