桜、ゆびきり、君と。
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「ねえ、昴流君」
「…?」
「どこにも…行かないでね? ずっと、私の側にいてね」
「……どうしたの。急に」
「昴流君は、突然どこかにふらっと行っちゃいそうで不安なの。…だから、約束して。ね?」
「………」
そう言って、あの日。
いつものように君は自分の右手の小指を、僕へ差し出してきた。
君は僕と約束を交わすのが──指切りが好きだったから。
「……どこにも、行ったりしないよ。僕は、ずっと君の側にいる」
だから僕は、その細い小指をぎゅっと結んだ。
君との約束をちゃんと守れるように。君と離れないように。
「……。絶対…絶対、約束…してね?」
「…うん。約束する」
……だけど、結局。
最後に交わしたその約束だけは、守れなかった。
突然どこかへふらりと行ってしまったのは僕ではなく、君の方だった。
僕と君が出会って二度目の桜の季節に、君は──いなくなった。
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