後編
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「…分かったでしょ?ユウリ。」
やめてよ。
その気持ちに気づかないように、期待なんかしないように、避けていたのに。
……今更、私の願いなんか叶うわけないのに。
涙が溢れて止まらない。その涙の理由さえ分からないまま、何も感じないようにしていた心はかき乱されていく。
「嘘よ……うそよ………私が愛されるわけ……」
Xが、強く掴んだ私の腕を引き寄せる。
そして自分の方へ引き寄せた私を、その大きな両腕で抱きしめた。
体が包まれる感覚。何かが崩れていく感覚。
何が起きているのか分からなかった。
「これでも分からない?」
頭上から響くのは、いつもと変わらない、Xの柔らかい声だった。
「ユウリ。僕は君を愛してるんだよ。」
愛してる。あいしてる。
ゆっくりと、ゆっくりと、その言葉が私の中へと溶けてゆく。
──信じても、いいのだろうか?
もし彼の言葉が本当なら。
もう一度、期待してしまう自分を許してしまってもいいのだろうか。
彼に私の全てを委ねても、いいのだろうか。
「……本当、に?
信じても、いいの……?」
「うん。本当だよ。
僕は君が望むものを何でも与えてあげられる。ずっとずっと、永遠に君のそばにいてあげられる。」
ああ。やっと、分かった。
私の望むものは、ずっとずっと近くにあったんだ。どうして気づかなかったんだろう。
みっともなくてもいい。終わりなんかなくたっていい。私はただ、Xの愛が欲しい。
愛してくれると、言ったから。
ずっとそばにいてくれると、言ったから。
あなたの愛さえあれば、私はどんな姿に成れ果てたっていい。どんな罪を背負う事になったっていい。だって私は、きっとあなたに出会うために生まれてきたのだから。
生き地獄のような日々は全部、私たちの出会いのためにあった。そう思うと、今は痛みも苦しみも全てが愛おしい。
憎しみ。怒り。裏切り。妬み。恨み。呪い。軽蔑。侮辱。嘲り。批難。
そんな汚い感情でさえ、全て抱きしめたくなるほどに愛おしく感じる。
私の中に、優しく温かく──そしてどこか狂った熱い感情が満ちていく。
もう答えは目の前にある。
私はもう、迷わない。
「────X。
私も、愛してるわ。」
虚空の中で、私は笑った。
お母さん、お父さん。
愛って、とっても美しいものね。
たとえあなたにどれだけ傷つけられたって構わない。
一分でも、一秒でも、一瞬だとしても、私に愛を注いでくれた事は事実だもの。
私はそれに応えたい。
だから。
お母さんも、お父さんも、そしてあの星の全ての人にも、たくさんの愛をあげるわ。
少しくらい痛いのも愛のうち。
少しくらい壊れていても、それも愛。
私が今いるこの世界は、望むものがなんでもある場所。
ねえ、だから。早くこっちへ来て。
みんな、導いてあげるわ。
終わりも始まりもない、