後編
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私はただ一人歩き続ける。逃げるように歩き続ける。
もう一度思い出す。私の目的は、Xに愛想を尽かされて魂ごと消されること。そして「本当の意味で」死ぬこと。
私に残ったものはそれだけ。たった一つのその目的だけが、私が今行動する理由だ。こんな所で油を売っている暇はない。
私を邪魔するものは全て遮断して、排除して、見えないように、聞こえないようにして。そうして私はこの馬鹿げた世界から解放されるのだ。
XにはXの目的があるように、私にも私の目的がある。決してそれを忘れてはいけない。
歩き続けている内に、一本の木が目の前に現れた。小さくもなく大きくもなく、普通の大きさの木だった。
近くから大きめの石を持ってきて木の下に置き、その上に立つ。
胸元に結ばれていたネクタイをほどいて木の幹に結び、もう一方の先端で輪の形を作った。
その輪の中に、首を通し。
──私は、乗っていた足元の石を思い切り蹴り飛ばした。
支えを失った私の体は、空中にぶらぶらと垂れ下がった。
私の体の
作り物のようにこわばった眼球は、もうどこを向いているのか自分でも分からなかった。
呼吸ができなくなり、身体中の関節は人形のように歪な形に固まっていく。
そして力の抜けた手足がだらりと垂れ下がり、視界は霞む。
そうだ、これでいいんだ。これが本来私がやるべき事。Xは私にとって何でもない存在。たまたま同じ世界にいて、同じ時間にいただけ。私が完全に消え去るための手立てでしかない、それ以上でもそれ以下でもない存在。
さあX。早く私を消しなさい。
──私はまた、意識を失った。