カイト夢
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朝ご飯を終えたら、いつもの午前中が始まろうとしていた。
今日は天気が良い。洗濯日和だな、なんて考えていたところで、部屋の戸を叩く音がした。
慌てて戸を開ければ、小さな来客――ハルトが、今大丈夫? と少しはにかみながら部屋へ入ってきた。
「姉さん、お誕生日おめでとう! いつもありがとう!」
そう言って差し出されたのは、画用紙いっぱいに色鉛筆や折り紙や千代紙で模された銀河眼の光子竜で、
少し上手になった字で「ねえさん おたんじょう日おめでとう!」と上のほうに書かれている。
私はそれを受け取って改めて眺めた。
一生懸命に、自分のために作っているハルトの姿を思うと、いたたまれなくなって、
「ありがとぉー!」
と半ば涙混じりに、ぎゅうっとハルトを抱きしめた。
「姉さんがそんなに喜んでくれるなんて、僕も嬉しいよ」
ああ何ていい子なんだ! 実の弟でもないのに、まるで実の弟のように可愛くて仕方ない。
実の兄が溺愛する理由を改めて分かった気がした。
その後はいつもと変わらない1日だった。午前中はお礼にと一緒にお茶をし、午後はハルトに読み書きや算数を教えて過ごした。
否、いつも通りじゃないことが1つだけ。
毎食、カイトが食堂に現れない。
まあこれは時々あることなのだが。またきっと何かに没頭して手が離せないのだろう。
仕方がないので、別に皿を用意して盛り付けると「僕が持っていくよ」とハルトがカイトの部屋へと持っていった。
そして夜が更け始めた。
いつも通り、眠くなるまでにしよう、と本の世界に浸る。
ふと物音がして、私はうたた寝から目覚めた。
「カイト……!?」
しまったという顔で、その場でフリーズしている。
なかなか動かないカイトに、私は思わず吹き出した。
「わ、笑うな!」
そうは言われてもツボに入ってしまい、しばらくは止められそうにないな、と思っていると、ずいっと何かを突きつけられた。
「いいから手をだせ」
言われるがままに両手を差し出すと、手の上にころんと何かが落ちた。
小さいロボット、よく見るとオービタル7のような姿なのだが。
……申し訳ないが少し不細工だ。
「誕生日の、プレゼントだ」
「これ?」
ひっくり返すと、ボタンのような出っ張りが2つある。
「ああ。言っておくがちゃんと機能があってメッセージをろく」
カイトが言い終わらないうちに、適当にその突起を押してみれば、
「セツナ、た、誕生日、おめでと、う」
とロボットのスピーカーから聞こえてきた。
紛れもなく、カイトの声で。
「何故今押した!」
「いやだって知らないし!?」
ああもう、と額に手を当てるカイト。いつも通りの照れ隠しだと私は知っている。
「反対側のボタンが録音ボタン。説明は以上だ。おやすみ」
そう言い切るとそそくさと部屋を出て行ってしまった。
私は再びボタンを押す。流れ出したメッセージはこうだった。
「セツナ、た、誕生日、おめでと、う。
何が欲しいとか、俺にはよくわからない。だから俺なりに用意してみた。
思った以上に時間がかかった。だから、その、遅くなって、すまなかった。
いや、その、……すまない、一緒に祝え」
ここでぷつりと切れて最初に戻った。
けれど、何を言いたかったのか察しはつく。
さて、何と返そうか。
少し考えてから、私は録音ボタンを押した。
(了)
2014.6.2 初稿
2022.2.25 加筆修正
Yちゃん、お誕生日おめでとう!
非常ぉぉぉに遅くなって申し訳ないです…orz
少しでも、お腹満たしになりますれば有り難き幸せ…!
Lemon Ruriboshi.
今日は天気が良い。洗濯日和だな、なんて考えていたところで、部屋の戸を叩く音がした。
慌てて戸を開ければ、小さな来客――ハルトが、今大丈夫? と少しはにかみながら部屋へ入ってきた。
「姉さん、お誕生日おめでとう! いつもありがとう!」
そう言って差し出されたのは、画用紙いっぱいに色鉛筆や折り紙や千代紙で模された銀河眼の光子竜で、
少し上手になった字で「ねえさん おたんじょう日おめでとう!」と上のほうに書かれている。
私はそれを受け取って改めて眺めた。
一生懸命に、自分のために作っているハルトの姿を思うと、いたたまれなくなって、
「ありがとぉー!」
と半ば涙混じりに、ぎゅうっとハルトを抱きしめた。
「姉さんがそんなに喜んでくれるなんて、僕も嬉しいよ」
ああ何ていい子なんだ! 実の弟でもないのに、まるで実の弟のように可愛くて仕方ない。
実の兄が溺愛する理由を改めて分かった気がした。
その後はいつもと変わらない1日だった。午前中はお礼にと一緒にお茶をし、午後はハルトに読み書きや算数を教えて過ごした。
否、いつも通りじゃないことが1つだけ。
毎食、カイトが食堂に現れない。
まあこれは時々あることなのだが。またきっと何かに没頭して手が離せないのだろう。
仕方がないので、別に皿を用意して盛り付けると「僕が持っていくよ」とハルトがカイトの部屋へと持っていった。
そして夜が更け始めた。
いつも通り、眠くなるまでにしよう、と本の世界に浸る。
ふと物音がして、私はうたた寝から目覚めた。
「カイト……!?」
しまったという顔で、その場でフリーズしている。
なかなか動かないカイトに、私は思わず吹き出した。
「わ、笑うな!」
そうは言われてもツボに入ってしまい、しばらくは止められそうにないな、と思っていると、ずいっと何かを突きつけられた。
「いいから手をだせ」
言われるがままに両手を差し出すと、手の上にころんと何かが落ちた。
小さいロボット、よく見るとオービタル7のような姿なのだが。
……申し訳ないが少し不細工だ。
「誕生日の、プレゼントだ」
「これ?」
ひっくり返すと、ボタンのような出っ張りが2つある。
「ああ。言っておくがちゃんと機能があってメッセージをろく」
カイトが言い終わらないうちに、適当にその突起を押してみれば、
「セツナ、た、誕生日、おめでと、う」
とロボットのスピーカーから聞こえてきた。
紛れもなく、カイトの声で。
「何故今押した!」
「いやだって知らないし!?」
ああもう、と額に手を当てるカイト。いつも通りの照れ隠しだと私は知っている。
「反対側のボタンが録音ボタン。説明は以上だ。おやすみ」
そう言い切るとそそくさと部屋を出て行ってしまった。
私は再びボタンを押す。流れ出したメッセージはこうだった。
「セツナ、た、誕生日、おめでと、う。
何が欲しいとか、俺にはよくわからない。だから俺なりに用意してみた。
思った以上に時間がかかった。だから、その、遅くなって、すまなかった。
いや、その、……すまない、一緒に祝え」
ここでぷつりと切れて最初に戻った。
けれど、何を言いたかったのか察しはつく。
さて、何と返そうか。
少し考えてから、私は録音ボタンを押した。
(了)
2014.6.2 初稿
2022.2.25 加筆修正
Yちゃん、お誕生日おめでとう!
非常ぉぉぉに遅くなって申し訳ないです…orz
少しでも、お腹満たしになりますれば有り難き幸せ…!
Lemon Ruriboshi.