カイト夢
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昼間の公園で俺は凍りついた。
「兄さん、赤ちゃんってどこから来るの?」
気分転換にハルトとセツナを連れて訪れた春の暖かい公園は、老若男女問わず、のんびりと過ごす人で賑わっている。
中には赤ん坊を連れた家族、臨月の女性とその旦那であろう夫婦などもいて、ハルトは彼らを見て疑問に思ったのだろう。
「ねぇ、兄さん?」
俺はどうしたらいい? 本当のことを教えるのはハルトにはまだ早すぎないか?
だからと言って嘘は如何なものか。
ぐるぐると思考は回り、果たして俺は今、何を見つめているのだろう。
幸か不幸か、セツナは飲み物を買いに行っていてここにはいない。
ハルトは、兄さん? と右から不思議そうな目を向けて詰め寄ってくる。
「どうしたの?」
瞬間、脳内が真っ白になった。なんというタイミング。
声の主であるセツナの方を向いて、手渡された缶コーヒーを受け取る。
「暑いの? 顔が赤いけど?」
「……知らん」
カコンと缶を開けて、さっきまでのどろどろとした気持ちと一緒に飲み込んだ。
セツナはハルトにアップルジュースを手渡すと、ハルトの右隣に座って自分の分のプルタブを引いた。
「セツナ姉さん」
「なぁに?」
「赤ちゃんってどこから来るの?」
セツナの顔が驚きで強張った。
しかし、それでもたじろぐことはなく、うーん、と少し考えてから、
「赤ちゃんはね、デュエルの特殊召喚と同じなの」
何だその例えは。俺は内心で頭を抱える。
「どういうこと?」
「特殊召喚は色々な条件をクリアしたら出来る召喚方法でしょ? 赤ちゃんも同じで、色々な条件をクリアすると神様がお母さんのお腹に赤ちゃんを送ってくれるんだよ」
まあ、強ち間違いではない、多分。デュエルで例えるのは如何なものかと思うが、ハルトには分かりやすかったようで、なるほど、と興味深そうにセツナの話を聞いている。
「例えばどんな条件があるの?」
セツナはうーん、と少し考えると、
「お母さんになる人とお父さんになる人が最高に愛し合う……、とかかな」
デュエルで例えておきながら非常に抽象的だが、ハルトが納得するならこの際何でも良い。早くこの会話を終わらせたいと俺が思う一方で、もう少し大きくなったらハルトくんにも分かるよ、と慈しむようにセツナはハルトの頭を撫でている。その様子に、俺は少しだけ苛立ちを覚えた。
「じゃあ、兄さんとセツナ姉さんにも、もうすぐ赤ちゃんが来るのかな?」
弟か妹が出来るとでも思ったのか、嬉しそうにハルトが言う。
飲み込みかけていたコーヒーが気管に入り、俺はひどく咳き込んだ。
(了)
2014.5.3 初稿
―赤どこ(赤ちゃんはどこからくるの)される兄さん妄想だけで1ヶ月くらい生きてた。
2022.2.26 加筆修正
2026.4.4 加筆修正
―夢主がデュエル脳になった。
Lemon Ruriboshi.
「兄さん、赤ちゃんってどこから来るの?」
気分転換にハルトとセツナを連れて訪れた春の暖かい公園は、老若男女問わず、のんびりと過ごす人で賑わっている。
中には赤ん坊を連れた家族、臨月の女性とその旦那であろう夫婦などもいて、ハルトは彼らを見て疑問に思ったのだろう。
「ねぇ、兄さん?」
俺はどうしたらいい? 本当のことを教えるのはハルトにはまだ早すぎないか?
だからと言って嘘は如何なものか。
ぐるぐると思考は回り、果たして俺は今、何を見つめているのだろう。
幸か不幸か、セツナは飲み物を買いに行っていてここにはいない。
ハルトは、兄さん? と右から不思議そうな目を向けて詰め寄ってくる。
「どうしたの?」
瞬間、脳内が真っ白になった。なんというタイミング。
声の主であるセツナの方を向いて、手渡された缶コーヒーを受け取る。
「暑いの? 顔が赤いけど?」
「……知らん」
カコンと缶を開けて、さっきまでのどろどろとした気持ちと一緒に飲み込んだ。
セツナはハルトにアップルジュースを手渡すと、ハルトの右隣に座って自分の分のプルタブを引いた。
「セツナ姉さん」
「なぁに?」
「赤ちゃんってどこから来るの?」
セツナの顔が驚きで強張った。
しかし、それでもたじろぐことはなく、うーん、と少し考えてから、
「赤ちゃんはね、デュエルの特殊召喚と同じなの」
何だその例えは。俺は内心で頭を抱える。
「どういうこと?」
「特殊召喚は色々な条件をクリアしたら出来る召喚方法でしょ? 赤ちゃんも同じで、色々な条件をクリアすると神様がお母さんのお腹に赤ちゃんを送ってくれるんだよ」
まあ、強ち間違いではない、多分。デュエルで例えるのは如何なものかと思うが、ハルトには分かりやすかったようで、なるほど、と興味深そうにセツナの話を聞いている。
「例えばどんな条件があるの?」
セツナはうーん、と少し考えると、
「お母さんになる人とお父さんになる人が最高に愛し合う……、とかかな」
デュエルで例えておきながら非常に抽象的だが、ハルトが納得するならこの際何でも良い。早くこの会話を終わらせたいと俺が思う一方で、もう少し大きくなったらハルトくんにも分かるよ、と慈しむようにセツナはハルトの頭を撫でている。その様子に、俺は少しだけ苛立ちを覚えた。
「じゃあ、兄さんとセツナ姉さんにも、もうすぐ赤ちゃんが来るのかな?」
弟か妹が出来るとでも思ったのか、嬉しそうにハルトが言う。
飲み込みかけていたコーヒーが気管に入り、俺はひどく咳き込んだ。
(了)
2014.5.3 初稿
―赤どこ(赤ちゃんはどこからくるの)される兄さん妄想だけで1ヶ月くらい生きてた。
2022.2.26 加筆修正
2026.4.4 加筆修正
―夢主がデュエル脳になった。
Lemon Ruriboshi.
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