pkmn
ミクリカップの終わった夜。
ハルカとヒカリ、ノゾミは一つの部屋に集まってパジャマパーティだ。
「そういえばハルカ、さっき途中になっちゃったけど」
「ん? 何?」
真っ先に部屋着に着替えたノゾミが待ってましたとばかりに口を開いた。
ハルカは少し苦笑いを浮かべながら答える。
「ジョウトのコンテストってどんな感じ?」
「やっぱり大変よ。ライバルのレベルも、みんな上がってるし……」
「ハルカが苦戦してるんだからかなりレベル高そうね」
ジョウトのコンテストに思いを馳せているのだろうか、目を閉じたノゾミは深く頷いた。
「私がまだまだ未熟なだけよ。シュウ……やっと勝てたと思ってたライバルなんだけど、また引き離されてるし。まだまだ修行の身よ」
そう言うハルカの瞳は、少し遠くを見つめているようだった。
「そういえば、さっきも“シュウ”って言ってたけど、もしかしてあの“貴公子”の?」
思い出したようにヒカリはハルカに尋ねた。
「ええ、そうよ」
「わー! ハルカ、シュウ君と知り合いなの!? いいなー!」
「ヒカリ、シュウのこと知ってるの?」
「勿論! コーディネーターだった私のママも、シュウ君はすごいって!」
「私も彼には一目置いてるよ。何と言っても、発想とポケモンの魅せ方がずば抜けて素晴らしいよ」
やっぱりシュウは有名なのね、とハルカは呟いた。
「シュウは私の1番のライバルよ。私が今コーディネーターを続けられているのは、シュウのお陰でもあるの」
目を瞑り、トップコーディネーターになると決めたあの夜とシュウの言葉を思い浮かべる。
「でも、かなりクールみたいだから近づき難い印象があるのよね」
「そうね、ちょっと気難しそうだし……」
ノゾミとヒカリが、少し残念そうな顔をした。
「確かに、シュウって気難しい感じがするわよね。カッコつけるし、サラッと嫌味言うし、天邪鬼だし、厳しいし……。私も、最初会った頃は苦手だったわ。
でもね! ポケモンたちのことをすごく大事にしてるし、真面目で、真っ直ぐで……。それに、本当は優しいところもあるのよ!」
「ふーん……」
突然、ヒカリが怪しい笑みを浮かべた。
「ハルカってもしかして、シュウ君のこと、好きなんだ?」
数秒間の空白の後、
「…へっ!?」
ハルカの短い叫びは、少し声が裏返っていた。
「大丈夫、大丈夫! 誰にも言わないわ! それに“舞姫”と“貴公子”なんて、お似合いじゃない!」
「ま、まだ“好き”だなんて、一言も……!」
ヒカリはらんらんと目を輝かせて、もう興味津津だ。
あうあうと口をぱくぱくするハルカに、ノゾミは苦笑いしながら言った。
「ハルカ、顔が真っ赤だよ?」
(了)
2008 初稿
2013.12.23 加筆修正
2022.2.2 加筆修正
3人がミクリカップの夜に、一部屋に集まって話してるの見て、
「なんか修学旅行っぽいなー」なんて思ったので。
ヒカリは恋愛話とか好きそうだと思ってた頃に書いた。
Lemon Ruriboshi.
ハルカとヒカリ、ノゾミは一つの部屋に集まってパジャマパーティだ。
「そういえばハルカ、さっき途中になっちゃったけど」
「ん? 何?」
真っ先に部屋着に着替えたノゾミが待ってましたとばかりに口を開いた。
ハルカは少し苦笑いを浮かべながら答える。
「ジョウトのコンテストってどんな感じ?」
「やっぱり大変よ。ライバルのレベルも、みんな上がってるし……」
「ハルカが苦戦してるんだからかなりレベル高そうね」
ジョウトのコンテストに思いを馳せているのだろうか、目を閉じたノゾミは深く頷いた。
「私がまだまだ未熟なだけよ。シュウ……やっと勝てたと思ってたライバルなんだけど、また引き離されてるし。まだまだ修行の身よ」
そう言うハルカの瞳は、少し遠くを見つめているようだった。
「そういえば、さっきも“シュウ”って言ってたけど、もしかしてあの“貴公子”の?」
思い出したようにヒカリはハルカに尋ねた。
「ええ、そうよ」
「わー! ハルカ、シュウ君と知り合いなの!? いいなー!」
「ヒカリ、シュウのこと知ってるの?」
「勿論! コーディネーターだった私のママも、シュウ君はすごいって!」
「私も彼には一目置いてるよ。何と言っても、発想とポケモンの魅せ方がずば抜けて素晴らしいよ」
やっぱりシュウは有名なのね、とハルカは呟いた。
「シュウは私の1番のライバルよ。私が今コーディネーターを続けられているのは、シュウのお陰でもあるの」
目を瞑り、トップコーディネーターになると決めたあの夜とシュウの言葉を思い浮かべる。
「でも、かなりクールみたいだから近づき難い印象があるのよね」
「そうね、ちょっと気難しそうだし……」
ノゾミとヒカリが、少し残念そうな顔をした。
「確かに、シュウって気難しい感じがするわよね。カッコつけるし、サラッと嫌味言うし、天邪鬼だし、厳しいし……。私も、最初会った頃は苦手だったわ。
でもね! ポケモンたちのことをすごく大事にしてるし、真面目で、真っ直ぐで……。それに、本当は優しいところもあるのよ!」
「ふーん……」
突然、ヒカリが怪しい笑みを浮かべた。
「ハルカってもしかして、シュウ君のこと、好きなんだ?」
数秒間の空白の後、
「…へっ!?」
ハルカの短い叫びは、少し声が裏返っていた。
「大丈夫、大丈夫! 誰にも言わないわ! それに“舞姫”と“貴公子”なんて、お似合いじゃない!」
「ま、まだ“好き”だなんて、一言も……!」
ヒカリはらんらんと目を輝かせて、もう興味津津だ。
あうあうと口をぱくぱくするハルカに、ノゾミは苦笑いしながら言った。
「ハルカ、顔が真っ赤だよ?」
(了)
2008 初稿
2013.12.23 加筆修正
2022.2.2 加筆修正
3人がミクリカップの夜に、一部屋に集まって話してるの見て、
「なんか修学旅行っぽいなー」なんて思ったので。
ヒカリは恋愛話とか好きそうだと思ってた頃に書いた。
Lemon Ruriboshi.