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YGO

12月25日。

「お待たせ、ユート!」

待ち合わせの場所に立つユートの姿を見つけると、瑠璃は手を振りつつ駆け寄ってきた。
まだ約束の時間よりも早いというのに、いつものあの笑顔で。
ユートも、よう、と手をあげてそれに応えた。
ああ、なんて可愛いんだろう……。
心が踊る。一段と可愛く見えるのはクリスマスのせいだ、きっと。

「待たせたか?」

少し遅れて到着した瑠璃の兄の声に、慌てて緩んでいた口元を正した。

「いや、今さっき俺も来たところだ」



赤と白の飾りがハートランドの街を彩り始めた頃、ユートの帰宅時間は日毎に遅くなった。
きらきらするショッピングエリアを男一人歩くのはなかなか勇気が要る。

隼へのプレゼントはすぐに決まった。少し良いレザーのデッキケースだ。
しかし一向に、瑠璃へのプレゼントが決まらない。

(女の子にはどんなプレゼントがいいのだろうか……)

あらゆる雑貨店に入っては、ピンときたものもなく、また別の店へ。
次第にその日が近づき、焦りだしていたある日。
ユートはそれを見逃さなかった。
メインストリートから外れた店のショーウィンドウに、蒼い石で出来た小鳥のチャームが3つ、飾られているのを。
石はラピスラズリだろうか。
早速、店に入って1つ見せてもらった。

「デッキがいくつ作れるだろう……」

思わずそう呟く。それほどに1つでも良い値がする。3つは流石に学生の自分には無理だ。
しかし、3つで一組、いや3羽の家族のようにも見えるそれを、自分が引き離すのは気が引ける。
一晩考えることにして、ユートは店を後にした。





だからこそ、ユートは楽しみだった。
瑠璃がどんな笑顔で応えてくれるか、それを何度も想像しては胸が高鳴り、親友の隼と話している今でさえ思え浮かべるほど。
尤も、買いに行った時には最後の1つになっていて、3羽一緒でないことが心残りではあったのだが。

「ユート、兄さん、2人にクリスマスプレゼントよ!」

カフェでそれぞれ注文をしたあと、瑠璃が小さな包みをユートと隼に1つずつ手渡した。

「俺も、2人にプレゼントがある」
「オレもだ」
「それじゃあ、みんな一緒に開けましょう」

それぞれがそれぞれのプレゼントを開けていく。感嘆の呟きがその場に溢れる。
そして瑠璃の笑みに真っ先に気付いたのはユートだった。

「どうした?」
「これ」

にこにこと笑う瑠璃の手の中に、2つの蒼い小鳥。

「でね?」

瑠璃のハンドバッグに、1つ、蒼い小鳥がキーホルダーになって下がっていた。

「みんな、考えることは同じみたい」

ぽかんと口を開けるユートと隼を見て、瑠璃はまた笑った。そして蒼い小鳥は3つとも、ハンドバッグのキーホルダーのリングに下げられた。

「これでまた、一緒よ」

瑠璃は、ありがとう、と2人に礼を言った。
それはユートが知る中で、1番の笑顔だった。

 (了)




2016.12.24 初稿
2017.5.1 加筆修正
2019.11.26 加筆修正
2022.2.18 加筆修正

呟きでクリスマスにうpしたユト瑠璃+隼を再掲。
エクシーズ組可愛いよぉ!

Lemon Ruriboshi.
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