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YGO

ハイウェイを疾走しながら、物思いに耽るなんて危ないことこの上ない。
しかし、よくもまあデュエルしながらバイクで走ろうなんて思ったな、と今の流行に私は苦笑した。
まあ、その開発には自分自身も関わっているから、否定するつもりなぞ微塵もないが。

幼い頃、父さんが聞かせてくれたあの話を私は忘れられない。

「未来のデュエルディスクって、きっとバイクに搭載されるんだって!」
「は? 何それ?」

母さんは呆れた顔をしていた。

「絶対そうだって!」
「バイクでデュエルって……。危険じゃない、絶対有り得ない」
「だーっ! 明日香は夢がないなぁ!」

そういう父さんに幼い私はふと疑問を持った。

「お父さん、未来に行ったことあるの?」
「行ってはないけど……、未来人には会ったぜ!」
「ふーん?」

私は頷くしかなかった。壮大すぎたせいと、きっと母さんに似て現実主義なせいだろう。
……まさか、現実になるとは誰が思ったか。
いや、知っている人間がいたからこそ、実現出来たのかもしれない。

「君、デュエリストだね?」

モニターを通して誰かが声を掛けてきた。
デュエルを挑まれる程に普及したもんだ、と改めて思う。
初号機を開発した頃は、勿論だがテストコースしか無かった。それに相手は開発に携わった仲間しかいないものだから、マンネリもいいところだった。今思えば、全部良い思い出なのだけれど。

「ライディングデュエル・アクセラレーション!」

これからどうなるんだろうか。
システムも見た目もまだまだ改良しようがあるし(尤も、父さんには「こんな外見じゃ無かった」と何度ケチをつけられたことか)、そして、デュエルの姿ももっと変わるかもしれない。

「カードを2枚伏せてターンエンド」

それでも、父さんや母さんの気持ち、私の気持ちが残った未来であって欲しい。

「ドロー!」

次のターンが楽しみだ。

 (了)




2011.2.27 初稿
2014.3.28 加筆修正
2022.2.2 加筆修正

映画アンコールで十代が可愛すぎて、オフの帰りの新幹線の中で、勢いで書いた思い出

Lemon Ruriboshi.
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