城之内夢
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《ファイヤー!》
優利羽は携帯を開く。
この着信音は。
『バイト終わった! 腹減ったぜ。さみぃ』
優利羽は返信を打ち込む。
『うちに来る? 両親いないし、夕飯これから作るとこだし』
送信ボタンを押して、案の定返ってきた『行くぜ! 待っててくれよな!』という返信で会話を終えた。
返信を確認した優利羽は改めてキッチンに立った。
もうすぐ夕飯が出来上がる。
最後にコタツの上のカセットコンロに専用の鍋を置いて準備万端。
あとは、コタツに入って城之内を待つだけ。
十分もしないうちに、ピンポーン、と軽快にインターフォンが鳴り、優利羽は慌ててドアを開ける。
「お、いい匂いがするな! おでんか!」
腹ペコだぜー、なんて言いながらいつもの笑顔を見せた。
優利羽は夫婦みたいだな、なんて恥ずかしいことが頭の中をよぎるが口にはしないでおく。
「ん? どうした?」
「べ、別になんでもないから! とにかく上がった上がった!」
コタツへと案内し、器や箸を並べる。
いただきます、と同時に箸の音。
「次、俺これな!」
「ちょっと! 取り箸で自分の器に盛ってよ!」
「いいじゃんかよ、俺と優利羽しかいねぇんだから」
城之内は、うめぇ!と言いながら卵を頬張った。
「……なんかさ」
「どうしたの?」
「夫婦みたいだな」
何も考えずに言ったのだろう、そういう顔をしている。が優利羽はそれどころではない。激しくむせ込んだ。
「おい、大丈夫かよ?」
「……あんたのせいだから」
「はぁ!? 何でだよ!?」
同じこと考えていたなんて、言える訳がない。
不意にピンポーン、と本日2度目の軽快な音が家に響き、会話が途切れた。
「誰だろ、こんな時間に」
覗き穴から外を見る。
思わず、優利羽の口からため息が出た。
「克也、喧嘩しないでよ?」
「は?」
ピンポンピンポンピンポンピンポーン!
急かすように鳴らされるチャイムの中、優利羽はイラついた様子で勢いよくドアを開けた。
「うるさい!」
そんな優利羽の言葉を無視して、チャイムの主は玄関で仁王立ちになった。
「優利羽!! 寂しくないよう、この俺が来てやったぞ!」
優利羽は2回目のため息をついた。
「義姉さま! 遊びに来たぜ!」
「いらっしゃい、よく来たわね。モクバ君は歓迎するわ」
俺も歓迎して欲しいものだ、という呟きは聞こえなかったフリをして聞き流す。
「海馬ァァア!? なんでこいつが来るんだよ!」
「それは俺の台詞だ、凡骨。貴様が何故ここに居る」
「何でって、優利羽に誘われた」
「何だと!? 優利羽、お前は俺というフィアンセがいながら凡骨を誘ったのか!?」
「優利羽、どういうことだ?」
「そうだぞ! 義姉さまは兄さまの婚約者なんだ!」
「瀬人! モクバ君に嘘教えるな!!」
「はぁ?」
「克也、落ち着いてよ、フィアンセは瀬人の妄想」
「違う! 俺の妄想ではない! 優利羽、貴様には少しお仕置きが必要なようだな!」
「おい瀬人、鼻血出すな」
「優利羽、どうなってるんだ?」
げ、限界!!
「静かに……せんかぁあ!」
もうツッコミ切れなかった。
ようやく静かになる。
優利羽は荒い息を落ち着かせ、一呼吸置いた。
「分かった、瀬人、お前のフィアンセでも何でもなってやる。この凡骨追い出しても構わない」
「何でも、だと!?」
鼻の下が伸びた。ろくなこと考えてないのが丸分かりで、3回目のため息が優利羽の口から零れる。
「ただし、このおでんを全部平らげられたらな!」
びしっ、とおでんを指差す。一瞬にして海馬の顔が凍る。
優利羽は密かに口端を曲げていた。
「う゛……!」
「兄さま、俺が!」
「モクバ君はダメ。瀬人じゃなきゃ意味がない」
「そうだ、これは俺の戦いだ。俺が必ず制し、優利羽を……!」
海馬はこたつに入り、優利羽は箸を取る。
はんぺんを掴み上げ、
「はい。口開けて」
遠慮がちに開いた口に、はんぺんを入れた、否、突っ込んだ。
「はい次、ちくわ」
優利羽は容赦なくおでんを海馬の口に詰め込んでいく。
「ふぁ、ふぁんま!」
口で手を塞ぎ、優利羽を制した。
そして立ち上がるとトイレへ駆け込んだ。
「兄さま!」
モクバはトイレの方へと行ってしまった。
「ふぅ。あー、忙しかった」
優利羽はこたつに戻り、寝転がる。
やっと落ち着いたぁ、と伸びをした。所謂、リラックスモード。
「おい、優利羽」
「んー?」
目も開けず、体勢を変えることなく、優利羽は城之内に返事をした。
「どうなってんだ? つうかさ」
耳元で音がした。びっくりして目を開けると、そこにはドアップの城之内。
……顔が近いってば!
「お前ら、本当にそういう関係じゃないんだな?」
「ないっ! 本当に! 克也が思うような関係じゃ本当にないから!」
「信じていいんだよな……?」
城之内の顔が優利羽の顔にどんどん近づいていく、その時。
「義姉さま! 俺と兄さまは今日……」
「優利羽、帰る。今日は機嫌が悪いと見え……」
海馬兄弟の言葉は途切れた。
優利羽に、凡骨という名の狼が襲いかかっている。
「キサマァァァァァァ!!」
(了)
2010.4.20 初稿
2021.2.25 加筆修正
2022.2.23 加筆修正
海馬がおでんを食べさせられてトイレに駆け込むシーンが先に浮かんだ。
城之内⇔ヒロインは決まってる上で、海馬が絡んで、壊れた海馬が見たかった。
海馬中心で妄想はなりたっています。意味不明☆
Lemon Ruriboshi.
優利羽は携帯を開く。
この着信音は。
『バイト終わった! 腹減ったぜ。さみぃ』
優利羽は返信を打ち込む。
『うちに来る? 両親いないし、夕飯これから作るとこだし』
送信ボタンを押して、案の定返ってきた『行くぜ! 待っててくれよな!』という返信で会話を終えた。
返信を確認した優利羽は改めてキッチンに立った。
もうすぐ夕飯が出来上がる。
最後にコタツの上のカセットコンロに専用の鍋を置いて準備万端。
あとは、コタツに入って城之内を待つだけ。
十分もしないうちに、ピンポーン、と軽快にインターフォンが鳴り、優利羽は慌ててドアを開ける。
「お、いい匂いがするな! おでんか!」
腹ペコだぜー、なんて言いながらいつもの笑顔を見せた。
優利羽は夫婦みたいだな、なんて恥ずかしいことが頭の中をよぎるが口にはしないでおく。
「ん? どうした?」
「べ、別になんでもないから! とにかく上がった上がった!」
コタツへと案内し、器や箸を並べる。
いただきます、と同時に箸の音。
「次、俺これな!」
「ちょっと! 取り箸で自分の器に盛ってよ!」
「いいじゃんかよ、俺と優利羽しかいねぇんだから」
城之内は、うめぇ!と言いながら卵を頬張った。
「……なんかさ」
「どうしたの?」
「夫婦みたいだな」
何も考えずに言ったのだろう、そういう顔をしている。が優利羽はそれどころではない。激しくむせ込んだ。
「おい、大丈夫かよ?」
「……あんたのせいだから」
「はぁ!? 何でだよ!?」
同じこと考えていたなんて、言える訳がない。
不意にピンポーン、と本日2度目の軽快な音が家に響き、会話が途切れた。
「誰だろ、こんな時間に」
覗き穴から外を見る。
思わず、優利羽の口からため息が出た。
「克也、喧嘩しないでよ?」
「は?」
ピンポンピンポンピンポンピンポーン!
急かすように鳴らされるチャイムの中、優利羽はイラついた様子で勢いよくドアを開けた。
「うるさい!」
そんな優利羽の言葉を無視して、チャイムの主は玄関で仁王立ちになった。
「優利羽!! 寂しくないよう、この俺が来てやったぞ!」
優利羽は2回目のため息をついた。
「義姉さま! 遊びに来たぜ!」
「いらっしゃい、よく来たわね。モクバ君は歓迎するわ」
俺も歓迎して欲しいものだ、という呟きは聞こえなかったフリをして聞き流す。
「海馬ァァア!? なんでこいつが来るんだよ!」
「それは俺の台詞だ、凡骨。貴様が何故ここに居る」
「何でって、優利羽に誘われた」
「何だと!? 優利羽、お前は俺というフィアンセがいながら凡骨を誘ったのか!?」
「優利羽、どういうことだ?」
「そうだぞ! 義姉さまは兄さまの婚約者なんだ!」
「瀬人! モクバ君に嘘教えるな!!」
「はぁ?」
「克也、落ち着いてよ、フィアンセは瀬人の妄想」
「違う! 俺の妄想ではない! 優利羽、貴様には少しお仕置きが必要なようだな!」
「おい瀬人、鼻血出すな」
「優利羽、どうなってるんだ?」
げ、限界!!
「静かに……せんかぁあ!」
もうツッコミ切れなかった。
ようやく静かになる。
優利羽は荒い息を落ち着かせ、一呼吸置いた。
「分かった、瀬人、お前のフィアンセでも何でもなってやる。この凡骨追い出しても構わない」
「何でも、だと!?」
鼻の下が伸びた。ろくなこと考えてないのが丸分かりで、3回目のため息が優利羽の口から零れる。
「ただし、このおでんを全部平らげられたらな!」
びしっ、とおでんを指差す。一瞬にして海馬の顔が凍る。
優利羽は密かに口端を曲げていた。
「う゛……!」
「兄さま、俺が!」
「モクバ君はダメ。瀬人じゃなきゃ意味がない」
「そうだ、これは俺の戦いだ。俺が必ず制し、優利羽を……!」
海馬はこたつに入り、優利羽は箸を取る。
はんぺんを掴み上げ、
「はい。口開けて」
遠慮がちに開いた口に、はんぺんを入れた、否、突っ込んだ。
「はい次、ちくわ」
優利羽は容赦なくおでんを海馬の口に詰め込んでいく。
「ふぁ、ふぁんま!」
口で手を塞ぎ、優利羽を制した。
そして立ち上がるとトイレへ駆け込んだ。
「兄さま!」
モクバはトイレの方へと行ってしまった。
「ふぅ。あー、忙しかった」
優利羽はこたつに戻り、寝転がる。
やっと落ち着いたぁ、と伸びをした。所謂、リラックスモード。
「おい、優利羽」
「んー?」
目も開けず、体勢を変えることなく、優利羽は城之内に返事をした。
「どうなってんだ? つうかさ」
耳元で音がした。びっくりして目を開けると、そこにはドアップの城之内。
……顔が近いってば!
「お前ら、本当にそういう関係じゃないんだな?」
「ないっ! 本当に! 克也が思うような関係じゃ本当にないから!」
「信じていいんだよな……?」
城之内の顔が優利羽の顔にどんどん近づいていく、その時。
「義姉さま! 俺と兄さまは今日……」
「優利羽、帰る。今日は機嫌が悪いと見え……」
海馬兄弟の言葉は途切れた。
優利羽に、凡骨という名の狼が襲いかかっている。
「キサマァァァァァァ!!」
(了)
2010.4.20 初稿
2021.2.25 加筆修正
2022.2.23 加筆修正
海馬がおでんを食べさせられてトイレに駆け込むシーンが先に浮かんだ。
城之内⇔ヒロインは決まってる上で、海馬が絡んで、壊れた海馬が見たかった。
海馬中心で妄想はなりたっています。意味不明☆
Lemon Ruriboshi.
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