Phototaxis
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「…天使の羽ばたきを聞いたことがあるかい?」
ふわりと、いつかのように真っ白な羽が青い空に溶ける。
ヘヴンズタイムで雷門のフォーメーションなんて意に関さず、一人で歩いてきたアフロディ。
まるで遊ぶように笑った笑顔がこびりついて離れない。
そう、あの時だってそうだった。
「ゴッドノウズ」
凶悪な音を立てて、その力が雷門のゴールめがけて降り注ぐ。
そこにたった一人で立ちふさがるゴールキーパーの円堂。
皆はもうボロボロで、初めての試合の時のように地に伏せている。雷門がこれまで努力を積み重ねて編み出してきた必殺技たちはどれも紙切れを吹き飛ばすようにいなされて、みんなは次々に地面へ叩きつけられる。
最初の試合みたいに、帝国の試合のように。
傷ついて、苦しそうな表情を浮かべている。
諦めないと決めた雷門に、さらに追い打ちをかけていく世宇子中の猛攻。
そんな姿を、私達は見ている。
あきらめないと決めた彼らを最後まで見続けると決めたから。
前半で秋ちゃんたちが神のアクアの正体を暴いてくれた。あとは時間が来るまで…神のアクアの解析が終わるまで。
いや。
雷門イレブンが、世宇子中に勝つまで。
みんなが全力で向かっていって、そして吹き飛ばされていくのを見続ける。
(どうか)
喉が震える。
何度も、何度も円堂は立ち上がる。
倒れても、アフロディを睨み付けて、吠えて、そして立ち上がっていく。
そのあきらめの悪さに、不気味なほどのパワーにアフロディが焦っていくのが分かる。
そして倒れるほどに強くなる雷門イレブンの気持ちが、わかる。
まだ、まだ、
もっと、もっと、
「円堂…!!」
「円堂!」
思いが、あふれる。
「ッ…円堂!!!!」
「神の本気を、知るがいい…ッ!!ゴッドノウズ!!」
「これが俺の!!マジンザハンドだ!!!」
円堂の、雷門イレブンの…熱い思いが、感情が、絶対に負けないって気持ちが脳を、喉を、心臓を、
私は感情の激流に押し流される。
何も考えられない、ただ一つ彼らなら勝てる、という気持ちだけが胸に詰まっていた。
円堂がボールを止め、そして彼の止めたボールは鬼道につながり、そして豪炎寺へ。
「うおおおおツナミウォール!!!」
『ゴォオォォル!!!ミラクルシュート炸裂ッ!!!ついに世宇子中ポセイドンから1点をもぎ取ったぁぁーーーっ!!!』
勝って、
勝って
進め、進め、前へ、前へ!!!!
「最後の一秒まで全力で戦う!!」
「それが俺たちの、サッカーだ!!」
フェニックスが青い空に羽ばたき、そして豪炎寺が光を背に飛び立つ。
炎をまとったボールは、まっすぐに世宇子中のゴールを破った。
ピ、ピ、ピーーッ!!
試合終了のホイッスルが鳴って、私は思わずスコアボードに視線を向けた。
4-3。
雷門中学校の、廃部間近だったサッカー部が優勝をつかんだ瞬間だった。
私は、一生。この時のことを忘れないだろう。